1.概要(法務大臣の裁決の特例)
法務大臣の「例外的な恩恵的措置」であり、在留外国人の権利として認められているものではありません。
①永住許可を受けているとき
②かつて日本国民として日本に本籍を有していたことがあるとき
③人身取引等により他人の支配下に置かれて、日本に在留するものであるとき
④その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき
2.在留特別許可に係るガイドライン(平成18年10月)
①在留特別許可に係る基本的な考え方
在留特別許可の許否に当たっては、個々の事案ごとに、在留を希望する理由、家族状況、生活状況、素行、内外の諸情勢、人道的な配慮の必要性、更には我が国における不法滞在者に与える影響等、諸般の事情を総合的に勘案することとしている。
②在留特別許可の許否判断に係る考慮事項
A 積極的要素
(1)外国人が、日本人の子又は特別永住者の子であること
(2)外国人が、日本又は特別永住者との間に出生した実子(嫡出子又は父から認知を受けた非嫡出子)を扶養している場合であって、次のいずれにも該当すること。
ア 実子が未成年かつ未婚であること。
イ外国人が実子の親権を現に有していること。
ウ外国人が実子を現に日本において相当期間同居の上、監護及び養育していること。
(3)外国人が、日本人又は特別永住者と婚姻が法的に成立している場合(退去強制を免れるために、婚姻を仮装し、又は形式的な婚姻届を提出した場合を除く)であって、次のいずれにも該当すること。
ア 夫婦として相当期間共同生活をし、相互に協力し扶助していること。
イ 夫婦の間に子がいるなど、婚姻が安定かつ成熟していること。
(4)人道的配慮を必要とする特別な事情があるとき。
- 難病・疾病等により日本での治療を必要とする場合
- 日本への定着性が認められ、かつ、国籍国との関係が希薄になり、国籍国において生活することが極めて困難である場合
B消極的要素
(1)刑罰法令違反又はこれに準ずる素行不良が認められるとき。
(2)出入国管理行政の根幹に係る違反又は反社会性の高い違反をしているとき。
<例>
- 不法就労助長罪、集団密航に係る罪、旅券等の不正受交付等の罪などにより刑に処せられたことがあるとき。
- 資格外活動、不法入国、不法上陸又は不法残留以外の退去強制事由に該当するとき
(3)過去に退去強制手続を受けたことがあるとき
■在留特別許可申請という申請はありません!
日本に不法滞在する外国人の方は、入管法で、日本から出国することを前提とした退去強制手続を受けることとなります。
しかし何らかの理由で「このまま日本で生活したい」という方は、この手続の中でその理由をあげ、引き続き日本で生活したいことを申し出ることができますが、これは「在留特別許可の申請」ではありません。
この手続の中で最終的に法務大臣から特別に在留を認められた場合に限り、引き続き日本で生活できるようになるのです。これが認められなかった場合には、出身国へ強制送還されることになります。
不法滞在を入管に出頭申告しても、不法滞在の状態が解消されたことにはなりません。
法務大臣から在留が認められない限り、入管法に違反している状態は変わりませんから、原則的には働くことも認められていません。
したがって、法務大臣の判断が出るまでは、警察に入管法違反で逮捕されることもありますし、働いている工場や会社・お店等で、入管や警察に摘発される場合もあります。