第三十五条(通信の自由)
接受国は、すべての公の目的のためにする領事機関の自由な通信を許し、かつ、保護する。領事機関は、自国の政府並びに、いずれの場所にあるかを問わず、自国の外交使節団及び他の領事機関との通信に当たり、外交伝書使又は領事伝書使、外交封印袋又は領事封印袋及び暗号又は符号による通信文を含むすべての適当な手段を用いることができる。ただし、領事機関が無線送信機を設置しかつ使用するには、接受国の同意を得なければならない。
領事機関の公用通信は、不可侵とする。公用通信とは、領事機関及びその任務に関するすべての通信をいう。
領事封印袋は、開封し又は留置することができない。もつとも、接受国の権限のある当局は、封印袋が4に規定する通信、書類又は物品以外のものを含んでいると信ずる十分な理由がある場合には、派遣国の委任を受けた代表によつて当該当局の立会いの下に当該封印袋が開封されることを要求することができる。要求が派遣国の当局によつて拒否された場合には、当該封印袋は、発送地に返送される。
領事封印袋である包みには、領事封印袋であることを外部から識別し得る記号を付するものとし、公用通信、公の書類及び専ら公に使用するための物品のみを入れることができる。
領事伝書使は、自已の身分及び領事封印袋である包みの数を示す公文書を交付されていなければならない。領事伝書使は、接受国の国民であつてはならず、また、派遣国の国民である場合を除くほか、接受国に通常届住している者であつてはならない。ただし、接受国の同意がある場合は、この限りでない。領事伝書使は、任務の遂行について接受国により保護される。領事伝書使は、身体の不可侵を享受するものとし、いかなる方法によつても抑留されず又は拘禁されない。
派遣国並びにその外交使節団及び領事機関は、臨時の領事伝書使を指名することができる。この場合には、5の規定が適用される。ただし、5に定める免除は、臨時の領事伝書使が自已の管理の下にある領事封印袋を受取人に交付した時に適用されなくなる。
領事封印袋は、公認の入国港又は入国空港に到着予定の船舶又は商業航空機の長に輸送を委託することができる。当該船舶又は商業航空機の長は、領事封印袋である包みの数を示す公文書を交付されるが、領事伝書使とはみなされない。領事機関は、適当な地方当局との取決めにより、当該船舶又は商業航空機の長から直接にかつ自由に領事封印袋を受領するため、領事機関の構成員を派遣することができる。