第五十三条(領事上の特権及び免除の享受の開始及び終了)
領事機関の構成員は、赴任のため接受国の領域に入つた時又は、既に接受国の領域内にある場合には、領事機関における自已の任務に就く時から、この条約に定める特権及び免除を享受する。
領事機関の構成員の世帯に属する家族又は当該構成員の個人的使用人は、当該構成員が1の規定により特権及び免除を享受する日又は当該家族若しくは当該個人的使用人が接受国の領域に入つた日若しくはその地位を得た日のうち最も遅い日からこの条約に定める特権及び免除を享受する。
領事機関の構成員の任務が終了した場合には、当該構成員、その世帯に属する家族又は当該構成員の個人的使用人の特権及び免除は、通常、その者が接受国を去る時又は接受国を去るために要する相当な期間が経過した時のいずれか早い時に消滅する。当該特権及び免除は、武力紛争が生じた場合においても、第一文に規定する時まで存続する。2に規定する家族及び個人的使用人の特権及び免除は、これらの者が領事機関の構成員の世帯に属する者でなくなり又は領事機関の構成員のために役務を行わなくなつた時に消滅する。ただし、これらの者が相当な期間内に接受国を去る意思を有する場合には、これらの者の特権及び免除は、退去の時まで存続する。
もつとも、領事官又は事務技術職員が任務の遂行に当たつて行つた行為についての裁判権からの免除は、無期限に存続する。
領事機関の構成員が死亡した場合には、その世帯に属する家族は、接受国を去る時又は接受国を去るために要する相当な期間が経過した時のいずれか早い時まで、与えられた特権及び免除を引き続き享受する。