集民178号279頁

(判例要旨=集民178号)
一 出入国管理友ぴ難民認定法(平成元年法律第七九号による改正前のもの)四条一項一六号、同法施行規則(平成二年法務省令第一五号による改正前のもの)二条三号に基づく在留資格をもって本邦に在留する外国人の在留期間の更新申請に対し在留期間を一年と指定して許可する処分の取消しを求める訴えは、その利益を欠く。
二 外国人登録法(昭和六二年法律第一〇二号による改正前のもの)一四条は、憲法一三条、一四条に違反しない。


主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。


理由
一 上告代理人の上告理由書(一)記載の上告理由第一章第一について
  原審の適法に確定した事実関係の下においては、上告人は、本件処分当時、出入国管理及び難民認定法(平成元年法律第七九号による改正前のもの)四条一項一六号、同法施行規則(平成二年法務省令第一五号による改正前のもの)二条三号に基づく在留資格をもって本邦に在留する者に当たるというべきである。右のような在留資格で本邦に在留する外国人については、当然に一定期間本邦に在留する権利が保障されているものということはできないから、その在留期間の更新申請に対し、在留期間を一年と指定してこれを許可した本件処分が、上告人の権利ないし法律上保護された利益を侵害するものであると解することはできない。したがって、本件処分の取消しを求める訴えは、その利益を欠くから、これを不適法として却下すべきものとした原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、独自の見解に立って原判決を非難するものにすぎず、採用することができない。
二 同第一章第四について
  在留期間を三年と指定して在留期間の更新を許可することを求める訴えを不適法として却下すべきものとした原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、独自の見解に
立って原判決を非難するものにすぎず、採用することができない。

三 上告代理人の上告理由書(一)記載のその余の上告理由及び上告理由書(二)記載の上告理由について我が国に在留する外国人について、外国人登録法(昭和六二年法律第一〇二号による改正前のもの。以下同じ。)一四条は、同法一条の「本邦に在留する外国人の登録を実施することによって外国人の居住関係及び身分関係を明確ならしめ、もって在留外国人の公正な管理に資する」という目的を達成するため、戸籍制度のない外国人の人物特定につき最も確実な制度として、指紋押なつ制度を採用したものであって、その立法目的には十分な合理性があり、かつ、必要性も肯定することができる。そして、上告人が指紋押なつを拒否した昭和六〇年六月二七日当時における制度の内容は、押なつ義務が五年に一度で、押なつ対象指紋も一指のみであり、加えて、その強制も罰則による間接強制にとどまるものであって、精神的、肉体的に過度の苦痛を伴うものとまではいえず、方法としても、一般的に許容される限度を超えない相当なものであったと認められる。したがって、外国人登録法一四条は、憲法一三条に違反するものではない。
  また、在留外国人を対象とする指紋押なつ制度には、右のような目的の合理性、必要性、相当性が認められ、戸籍制度のない外国人については、日本人とは社会的事実関係上の差異があって、その取扱いに差異
を設けることには合理的根拠があるので、外国人登録法一四条は、憲法一四条に違反するものでもない。

  以上のように解すべきことは、当裁判所大法廷判決(昭和四〇年(あ)第一一八七号同四年一二月二四日判決・刑集二三巻一二号一六二五頁、同五〇年(行ツ)第一二〇号同五三年一〇月四日判決・民集三二巻七号一二二三頁、同二九年(あ)第二七七七号同三一年一二月二六日判決・刑集一〇巻一二号一七六九頁、同二六年(あ)第三九一一号同三〇年一二月一四日判決・刑集九巻一三号二七五六頁、同三七年(あ)第九二七号同三九年一一月一八日判決・刑集一八巻九号五七九頁)の趣旨に徴して明らかであり(最高裁平成二年(あ)第八四八号同七年一二月一五日第三小法廷判決参照)、右に説示したところによれば、外国人登録法一四条が、市民的及び政治的権利に関する国際規約(昭和五四年条約第七号)七条、二六条に違反すると解することもできない。これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができる。

  そして、原審の適法に確定した事実関係の下においては、所論のその余の点に関する原審の判断は、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。

  論旨はいずれも採用することができない。

 よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

お気軽にお問合せください

お電話でのお問合せ

03-5809-0084

<受付時間>
9時~20時まで

ごあいさつ

VISAemon
申請取次行政書士 丹羽秀男
Hideo NIwa

国際結婚の専門サイト

VISAemon Blogです!

『ビザ衛門』
国際行政書士事務所

住所

〒150-0031 
東京都渋谷区道玄坂2-18-11
サンモール道玄坂215

受付時間

9時~20時まで

ご依頼・ご相談対応エリア

東京都 足立区・荒川区・板橋区・江戸川区・大田区・葛飾区・北区・江東区・品川区・渋谷区・新宿区・杉並区・墨田区・世田谷区・台東区・中央区・千代田区・千代田区・豊島区・中野区・練馬区・文京区・港区・目黒区 昭島市・あきる野市・稲木市・青梅市・清瀬市・国立市・小金井市・国分寺市・小平市・狛江市・立川市・多摩市・調布市・西東京市・八王子市・東久留米市・東村山市・東大和市・日野市・府中市・福生市・町田市・三鷹市・武蔵野市 千葉県 神奈川県 埼玉県 茨城県 栃木県 群馬県 その他、全国出張ご相談に応じます