昭和28年10月30日違法処分取消請求上告事件
昭和26年(オ)第412号
上告人(原告・控訴人):A、被上告人(被告・被控訴人):新潟県農地委員会
最高裁判所第二小法廷
昭和28年10月30日

判決
一、主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。

二、理由
上告代理人弁護士〇〇〇の上告理由は別紙記載のとおりである。

上告理由第一点について。
論旨は、原判決は自作農創設特別措置法一五条一項二号の適用を誤つているというのである。
右自作農創設特別措置法一五条一項二号が、同法によつて自作農となるべき者について、その賃借権等を有する宅地建物の、いわゆる附帯買収の申請をすることができる旨を規定しているのは、同法一条に定める耕作者の地位の安定等の目的達成のためにほかならない。従つて同号による宅地建物は、所論のように場所的にも機能的にも売渡農地に附随していなければならないものではない。(昭和二五年七月一三日第一小法廷判決、判例集四巻七号三二五頁参照)しかしながら一方また、農地の売渡を全然受けない者の同条による附帯買取申請のゆるされないことは、同条の文理上からも明白であり同条による買収が農地売渡に附帯して行われるものである以上、売渡農地の経営に必要でない宅地建物まで買収を申請できる趣旨とは解せられない。(昭和二六年一二月二八日第二小法廷判決、判例集五巻一三号八四九頁参照)また、極めて僅少な農地の売渡を受けた場合に、その売渡を受けた者の農業経営全般に、当該宅地建物が必要であるからと言つて、直ちに、その宅地建物が売渡農地の経営に必要であるとして買収することはゆるされないものと解すべきである。
(昭和二七年八月二三日第三小法廷判決、判例集六巻八号七二三頁参照)いまこれを本件宅地建物について見るに、右宅地建物が訴外Bの農業経営に必要であることは原判決の確定するところであり、同人の売渡を受けた農地は同人の耕作する全農地の半ばに近い二反九畝二〇歩であつて、このような場合、本件宅地建物は売渡農地の経営にも必要であると解することができ、従つてこれを買収したからと言つてそれだけでは附帯買収の性質に反するものということはできない。なお論旨は、本件宅地建物と右売渡農地との距離が約十町あり、その間附随性がないと主張するのであるが、附随性を要しないことは前段説明のとおりであるから、論旨はその前提において理由がないと言わなければならない。

同第二点について。
論旨は要するに、裁判所が買収計画の当否を判断するについては、計画の当時の事実関係によるべきではなく、弁論終結に至るまでの各般の事情の変動も参酌しなければならないというに帰するが、行政処分の取消又は変更を求める訴において、裁判所が行政処分を取り消すのは、行政処分が違法であることを確認してその効力を失わせるのであつて、弁論終結時において、裁判所が行政庁の立場に立つて、いかなる処分が正当であるかを判断するのではない。所論のように弁論終結時までの事情を参酌して当初の行政処分の当否を判断すべきものではない。(昭和二七年一月二五日第二小法廷判決、判例集第六巻一号二三頁参照)なお論旨は原判決が自作農創設特別措置法一五条二項一号の解釈を誤つているというのであるが、右条項は昭和二四年六月法律二一五号八条による自作農創設特別措置法の改正によつて加えられたものであり、原判決もそれ以前に定められた本件買収計画にこれを適用しているのではない。論旨は理由がない。
以上説明のとおり論旨はすべて理由がないから、本件上告はこれを棄却することとし、民訴四〇一条、九五条、八九条を適用し裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

上告代理人弁護士広瀬通の上告理由

第一点 
原判決は自作農創設特別措置法第十五条に所謂附帯買収の対象たるべき宅地建物につき、同
条第一項第二号の適用を誤つている。
原判決は「自作農創設特別措置法(以下自創法と称す)第十五条第一項第二号による宅地建物の買収をなし得るためには、当該宅地建物が自作農となるべき者の耕作の業務に利用され得ること、即ち買収農地の農業経営に必要であることを要するにとどまり云々」と判示しているが、問題の要点は其の「農業経営に必要」ということの意味である。これには実務上も広狭さまざまの見解が行われているのであつて、即ち自創法第十五条による買収要件を最もゆるやかに解するものは(例えば行政裁判月報二十二号裁判例(379)月報二十三号裁判例(404)参照)「農家として生活する上に必要な宅地も広い意味では農業経営に必要である」との趣旨の下に、単に農家の生活本拠たるに止まる土地家屋をも買収の対象として認め、又右の買収要件を最も厳格に解するものは(例えば和歌山地方裁判所昭和二十四年九月十二日言渡判決月報二十三号裁判例(388)田中秀雄行政法規の解釈と法の優位、民商法雑誌二五巻四号)当該農地と場所的にも機能的にも密接不可分の関係に在る農業用土地、農業用建物、例えば「小作人が其の小作地の一部に肥料又は農具格納の小屋を建てた場合に於ける其の用地若しくは地主所有の上記小屋を農地と共に賃借していた場合に於けるその小屋等に限り」(前掲和歌山地方裁判所判決)之を附帯買収の対象と認めようというのである。この点について上告人は其の附帯買収の対象たる宅地建物が当該買収農地の営農的利用との間に直接的且具体的の関連性を有することを必要とするものと解し、原審に於ても準備書面(昭和二十五年九月六日付)を以て詳細の理由を十分に説明したに拘らず、原判決は徒らに「農業経営に必要」を繰返すのみで、其の真意が果して直接具体の関連性を要するとする意なのか、それとも一般的(或は間接的)関連性を以て足るとする意なるか、その孰れなるかを容易に捕捉し難いのを遺憾とするのであるが、しかし判文前後の脈絡をたどつてみれば結局原判決は『本件宅地建物がたとえ一部分的にであるにしろ本件買収農地の営農上直接に利用せられている以上、当該「買収農地が他の耕作農地に比し著しく零細なものでない限り」右宅地建物と買収農地との営農上の関連性を否定することはできないから、それは自創法第十五条第一項第二号による買収の対象となり得る』というに帰着するものの如く解せられる。果して然りとするならば判示は法の真意を誤つているものと謂うべく、左に其の理由を説明する。
 自創法第十五条第一項第二号所定の宅地、建物についても同条第一項第一号所定の農業用施設等の場合と同様に、「買収する農地の利用上必要な」宅地、建物に限定せらるべきものなりと信ずる。
なるほど右第二号所定の宅地、建物については、「買収農地の利用上必要な」という前掲第一号の如き制限的字句は附加せられていないので文理上は別異の解釈を容れる余地なしとしないけれども、農地買収に附帯するという第十五条本来の趣旨に照して考察するならば、所詮前段の解釈に落ち着かざるを得ない。殊に例えば同条第一項第二号所定の牧野についてみるも、これは所謂小作牧野であつて、自創法第四十条ノ二に其の買収の要件が規定せられているが、之に該当しないものでも同法第十五条第一項第二号によつて買収し得ることは、それが当該「買収農地の利用上必要」であることを前提とすることによつて初めて其の妥当性を理解し得べく、されば同号所定の宅地、建物についても亦同様に解してこそ、其の買収の妥当性を是認し得ると謂うべきであろう。ところで問題は「農地の利用上必要な」ということの解釈であるが、それは畢竟当該買収農地に於ける農耕経営のために直接的且つ具体的に利用せられている宅地、建物であることを要するという趣旨、換言すれば当該買収農地の営農的利用との間に直接具体の関連性を有する宅地、建物たることを必要とするということを意味するのであつて、例えば当該買収農地に於ける収穫物の収納、加工、其の他農耕経営の用に直接供せられている土地建物が対象となることを意味するに外ならぬのである。
此の点につき上告人は原審に於て「当該買収農地に附随し其の農地に於ける農耕経営の用に供されている宅地、建物であることを要する」と述べたのであるが、其の「附随」という言葉の意味が場所的な密接性を言いあらわすものではなく、むしろ機能的な従属性を表示する趣旨であることは前後の文意に照し自ら明瞭であり、従つて右叙述の意味するところは結局、前段説明の如き直接具体の関連性を有する宅地、建物たることを要するという趣旨に外ならぬ(原判決は、之を場所的密接な従属性の主張なるかの如く解しているようであるがそれは上告人の真意にそわない)。
なお叙上の意味に於ける直接具体の関連性という要件については、昭和二十三年六月十五日附農林省農政局長の各府県知事宛通達第二項に於ける「宅地、建物はあくまで農業経営上必要なものに限り、又其の位置及び環境から見て農地改革の一環として買収するに不適当なものは買収すべきでない」という通達趣意からも之を窺い知ることができる。殊に亦自創法第二十九条第二項により同法第二十八条を準用している趣旨から考察すれば、解放農地による自作農家が自作をやめようとするときは農地と共に買受けた土地、建物を再び政府に売戻し政府はこれらを農地と共に遅滞なく他の適正自作農に売渡すこと(同法第二十八条第二項)になるのであるからそれは、どこまでも当該農地に機能的に附随して之と運命を共にする土地、建物でなければならぬことが自ら明瞭である。
又このことは、これらの土地、建物につき移動統制の規定(農地調整法第四条第六項)を新設し之に因つて、それらの土地、建物が知事の許可又は市町村農地委員会の承認を得ないで第三者に譲渡せられても所有権移転の効力を生ぜず、政府はこれに対し先買権(自創法第二十九条第二項、第四十一条第四項、第二十八条)を行使し得ることになつた事情からみても之を推察するに難くないのである。
そこで、今、前叙自創法第二十八条の準用による買戻の理を本件の場合について考えてみれば、Bに於て買収農地たる田二反九畝二十歩に関し之が自作をやめることになれば、曩に自創法第十五条による右買収農地に附帯して買収し得たる本件宅地、建物は之を政府に売戻すことになり、政府は之を遅滞なく他の自作農に右被附帯農地と共に売渡すことになる筈であるが、其のことの結果が如何に不当なものであるかはあらためて説明を要しないであろう。この一点から推してみても、本件宅地、建物を附帯買収することの失当が推測し得られる。
 ところで自創法第十五条に所謂農地とは、同法第三条の規定により買収する農地即ち新たに解放を受くる農地に限るのであり、当該解放農地につき新たに自作農となるべき者のみが同法第十五条の附帯買収を申請する権利を有すると共にこの規定により買収の対象となるものは新たに解放によつて取得した農地について其の営農上直接必要な土地建物である。従つて申請人が従前から所有し耕作していた農地には何らの関係なく又従来農家の単なる住宅であつた建物、或は其の敷地についても関係がないのである。唯茲で問題になるのは右土地又は建物につき、原判決の示しているような一部分的な利用関係̶̶営農上の̶̶を存する場合についてであつて、此の点につき原判決は「買収農地が他の耕作農地に比し著しく零細なものでない限り」たとえ部分的にせよ、営農的直接の利用関係が成立するに於ては当該土地、建物を全体として一括買収することが許されると解しているが此の解釈は全く法意を無視するものであり、結果に於ても著しく妥当を欠くものありて、到底承服し得ないのである。かかる場合、即ち当該土地、建物につき解放農地との間に営農的利用関係が見られる場合には、主として当該解放農地の営農に利用せられる関係なりや否やによつてその附帯買収性の如何を決定することが法の趣旨であり、且結果としても妥当を得ることができるものと信ずる。そこで本件の場合にBの受けたる解放農地と土地、建物との利用関係につき其の利用割合が問題となるのであるが、本件買収計画樹立当時(昭和二十四年二月十一日)Bは田六反五畝二十五歩及び畑一畝十一歩を耕作しており其の内、田二反九畝二十歩は同人に於て昭和二十二年十二月二日自創法第一条により解放を受けた所謂買収農地なることは当事者間に争なく、従つて、原審に於ける弁論の全趣旨に徴すればBは右田二反九畝二十歩の解放を受ける以前から既に田三反六畝五歩及び畑一畝十一歩の農地を所有し耕作してきたこと、並びに本件宅地、建物は右農地解放以前に於て既に自作農B一家の生活上の本拠として利用せられ、同時に其の一部分即ち本件家屋四十三坪の内、十坪の土地(間口二間三尺奥行四間)と本件宅地九十六坪の内、右家屋の敷地となつている部分を除く約五十坪の地積とは共に従前の自作農Bの前示農業経営上、直接的に利用せられる関係に在つたことが推認せられる。しかし、勿論それは本件解放農地とは何の関係もなかつたのであるが其の後Bに於て前記田二反九畝二十歩の解放を受けるに及んで、此の解放農地のためにも、其の収穫物の収納等の用に供せられる関係が追加成立することになつたであろうことは容易に推察し得られるところであるけれども、右宅地、建物の従前の利用状態、殊に解放農地と従前の耕作地積との比率等の事情から考察すれば、右解放農地のための直接利用歩合は極めて低率のものとならざるを得ない筋合である。即ち本件建物について其の利用歩合を算定してみれば、従前(本件の農地解放前)の直接的営農上の利用歩合は建物全体の4分の1弱であり、本件解放農地についてのそれは其のまた2分の1強程度として、全体からいえば8分の1程度の利用率となる筈である。
同様の算定方法により其の宅地については全体の宅地からいえば4分の1程度の利用率を得ることになる筈である。
してみれば、本件建物については其の約8分の7程度の部分が本件解放農地の営農上の利用以外の目的のために利用せられ、又本件宅地については其の約4分の3程度の部分が本件解放農地の営農上の利用以外の目的のために利用せられている関係であつて、然るかぎり解放農地のために前段説明の如き「主として利用せられている」という利用状態は成立しない。加之、右宅地については地内に梅の木二本、柿の木二本の果樹の外、桐松等の樹木生立し、これらの果実は終始上告人に於て之を収穫し、又地内に存在する井戸も上告人に於て使用してきたのであるから、右宅地の利用状態はそれだけ制限せられていたものである。以上の諸事情に照してみても、本件解放農地の附帯として右宅地、建物を買収することは著しく当を失するものと謂わざるを得ない。
 なお本件宅地、建物は解放農地と約十丁を距てた地点に在つて、肥料其の他収穫物の運搬は通常水路によつて行われその所要時間は約二十五分である。買収されたる宅地、建物が場所的に必ずしも解放農地と密接していることを要しないことについては既に最高裁判所の判例の存するところで(昭和二十五年七月十三日最高裁第一小法廷判決)あるが、同判旨は必ずしも本件の場合に適切なりと謂うべからず、即ち右判示の場合は両者の距離が僅か二十間の場合であつて本件の場合と事情を異にするのである。本件の場合は原判示の如く両者が約十丁もかけ離れて所在する場合であり、されば機能的にも所謂「附随の関係」乃至は「運命を共にする関係」は成立し難く、其の意味に於て宅地、建物の所謂「位置環境等により買収を不適当とする場合」に該当するのであるから原判決の判断は当を失している。
以上に挙げた諸事情に依つてみれば、結局原判決は自創法第十五条第一項第二号の定むる附帯買収の要件につき法令の適用を誤りたるに帰し到底破毀を免れない。

第二点 
原判決は自創法第十五条第二項第一号の解釈を誤り法令に違背している。
原判決は本件買収計画の当否を判断するに当つては其の処分当時に於ける諸般の状態を基準として判定すべきものであつて、其の後弁論終結に至るまでの間に生じたる各種状況の変動を参酌して勘案すべきものではないと解し、此の解釈に基ずき本件買収処分当時に於ける自作農B家の主たる所得が農業による所得であつて、それは農業以外の職業による所得を上廻つていることを認定し、以て此の点に関する上告人の主張を排斥している。しかし自創法第十五条第二項第一号の所謂兼業農家の場合について、農業による所得と農業以外の職業による所得との比較衡量の基準を孰れの時点に置くべきかは実務家の間に議論の存するところであるが行政争訟の理論上は当然終局判決言渡当時の法規及び状態を基準として判断すべきものとの見解を正当とする。蓋し行政訴訟のねらいとするところは行政法規の適用を保障するに在つて、殊に現在に於て何が正しい法であるかを決することを第一義の目的とし、決して係争の処分が其の処分当時に於て適法であつたか否かを確定し以て当該行政庁の責任を質すことに在るのではないからである。従つて係争処分のなされた当時に於ける法規若しくは事実関係が其の後終局判決の言渡当時までの間に変化した場合には他に特段なる規定のない限り、終局判決言渡当時に於けるそれを基準とすべきであつて、処分当時に於けるそれを基準とすべきではない。此の見解については既に行政裁判所の判例(例えば昭和二年一月八日言渡判決)の是認するところであり(尤も行政裁判所昭和十二年十月二十八日判決は反対)学説としても異論あるを見ない(田中二郎行政法講義案上巻三一四頁、三一五頁、美濃部達吉昭和十二年度公法判例評釈)、なおこの点についてはドイツの学説と実務とを通じて異論を見ないところであるが、唯警察処分については処分当時の法律及び状態を基準とすべきことが通説となつていることが注意せられるべきである。
Fleiner, F. Institutionen des deutschen Verwaltungsrechts. 3. Aufl. 1913. S. 255. Anm. 76.
Hatschek, J. Lehrbuch des deutschen und preussischen Verwaltungs rechts, 6. Aufl. 1927. S.
401f. Giese, F. crc., Deutsches Verwaltungsrecht. 1930. S. 125.
Schulzenstein, Zur Urteilsunterlage im Verwaltungsst reitverfahren nach dem
Landesverwaltungsgesetze.(Verwaltungsarchiv 21. S. 1ff.)
なお東京地裁昭和二十四年三月二十三日判決(月報二十号裁判例(136)、年鑑二十四年度(385))は処分時後、口頭弁論終結に至る迄の事実関係を参酌し得べきことを認め、東京高裁昭和二十五年五月十六日判決も亦之を支持している。(東京高裁裁判例集)
ところで本件に於けるBの一家の所得関係を本件記録について検討してみれば、兼業による所得に因つて生活を維持していることが明瞭である。即ち昭和二十三年度に於ては農業所得が年額四万四千五百五十八円(乙第六号証)なるに対し、兼業所得の額はBの副業所得として年額一万円、長男Cの会社勤務に因る賃金所得が年額二万四千五百七十一円二十銭の外、次男Dの賃金所得は、原判決認定の如く昭和二十三年八月までの勤務に因るものとし、且一ケ月の平均賃金を三千五百円と算定(他に特段なる事情なき限り此の算定方法によるを妥当と思料する)することによつて合計金二万八千円を得るわけであるから、同年度の兼業所得合算額は金六万二千五百七十一円二十銭となり、又昭和二十四年度の農業所得が七万七千五百円なるに対し、兼業所得の合算額は原判決の認定の通りとして金八万二百五十七円六十銭(長男Cの賃金所得につき原判決は所得手取賃金の実額を以て算出しているが、これについては税込賃金額を所得額と算定すべきものと思料するも一応原判決の算出方法による。なお次男Dについても勤労に因る賃金所得がある筈であるが、金額の証明方法を欠くため一応除外するも、固より含み賃金として考慮せらるべきものと思料する。)又昭和二十五年の農業所得が六万五千二百円なるに対し兼業所得は原判決の認定通りとして合計十二万六千七百四十二円となる。以上の計算によつてみても、本件買収計画樹立(買収処分)当時たる昭和二十四年度に於て既に兼業所得が農業所得を上廻つており、殊に昭和二十五年度に於ては殆ど倍額程度に上廻つていることが明瞭である。してみれば、本件買収処分当時に於ける状態を基準とするにしても、或は亦原審の終局判決言渡当時のそれを基準とするにしても、本件は自創法第十五条第二項附帯買収を許すべからざる場合に該当するものと謂わなければならぬ。斯くみてくれば原判決は判決の基礎たる事実関係の範囲につき、法の解釈を誤り延いて自創法第十五条第二項第一号の適用を誤つたことに帰着するのであつて、此の点に於ても亦破毀を免れない。
なお原判決は判決の基礎たる事実関係については、行政処分当時の状態を基準とすることを要するとなしながら、適用すべき法規については処分時後の改正法(昭和二十四年六月の改正)を適用しようとするものの如くであつて、それ自体矛盾を含んでいることが留意せらるべきである。

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