船員法違反出入国管理令違反被告事件
昭和42年(あ)第2287号
上告人:被告人A
最高裁判所第三小法廷
昭和43年7月16日

決定
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人高良一男の上告趣意は、単なる法令違反の主張であつて、刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない(出入国管理令二五条一項、二条三号にいう「乗員」とは、船舶所有者らと雇入契約を締結し、実際に船内労働に従事する者をいうのであるから、たとえ、形式上有効な船員手帳を所持し、船員法三七条、三八条による雇入契約公認の手続を経ている者であつても、船内労働に従事し、その対償として給料等の支払を受ける意思がなく、単に出入国の手段として、雇入契約を仮装したにすぎないような場合には、その者は、出入国管理令にいう「乗員」にはあたらず、旅券に出国の証印を受けることなく出国すれば、同令七一条違反の罪が成立するとした原判断は相当である。)。
よつて、同法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

弁護人の上告趣意
第一審判決並に之を容認した原判決には法令の解釈適用を誤つた違法があり、破棄しなければ著しく正義に反すると思料します。
第一点 本件帆船B丸の所有者がCである事実は評拠上明らかであります。同人は韓国人である為船舶法上、日本人であるC’ 名で登録されたものと推認されます。
CはDから金二十五万円を借り受けたが其の返済が出来なかつた為その担保としてB丸をDに引渡し、同時に船舶運航に必要な一切の書類等もDに預けていた事実が認められる。
DはCの了解を得てE’ ことEとの間に本件B丸を一ケ月五万円で裸チヤーターする契約が纒りEは本件B丸と其を運航するに必要な一切の書類等をDから受取り、賃料五万円を同人に支払つて居る事実もまた明らかであります。
従つてEは船員法第五条の船舶借入人に該当します。
同人は船舶借入人としてFを船長として雇入れて居り、被告人もEと話合いの上船員として雇入れて貰い、雇入契約の公認は船長無筆の為Eが申請して公認を受けて居ります。
乗船後は甲板員として作業に従事した事実もEの証言に依り明らかであります。
第一審並に原審が這般の事実を看過し船員法違反を以て問擬したのは明らかに法令の解釈を誤つた違法があり破棄しなければ著しく正義に反すると思料します。
第二点 被告人には本件当時罪を犯す意が全くなかつた。被告人と同様な手続きに依り日本と韓国の間を往復する船舶に船員として本邦を出国し、再入国した韓国人は一九五四年十一月から一九六三年七月迄の間に五〇一名に達して居り、被告人自身昭和三五年五月一〇日船員手帳の交付を受け本件迄四、五回本邦と韓国を往復して居ります。
被告人の出国は関係官庁、係員が立会し正式の手続に依つて為され再入国も正規の手続を踏んで許可されて居り、その様な経験を持つて居る被告人は本件の場合も合法だと云ふ確心の許で為された行為であり、罪を犯す意なき行為と解するのが相当と思料します。
此の点に於ても第一審判決並に之を支持した原判決には法の解釈を誤つた違法があり破棄を免れないと思料します。

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