退去強制令書発付処分等取消請求事件
昭和50年(行ウ)第34号
原告:Aほか3名、被告:法務大臣ほか1名
東京地方裁判所(裁判官:佐藤繁・中根勝士・佐藤久夫)
昭和54年2月19日
判決
主 文
原告らの請求をいずれも棄却する。
訴訟費用は原告らの負担とする。
事 実
第一 当事者の求めた判決
一 請求の趣旨
1 被告法務大臣が昭和五〇年三月一四日原告らに対してした出入国管理令四九条一項に基づく
異議の申出を棄却する旨の裁決をいずれも取り消す。
2 被告東京入国管理事務所主任審査官が昭和五〇年三月一四日付で原告らに対してした退去強
制令書発付処分をいずれも取り消す。
3 訴訟費用は被告らの負担とする。
二 請求の趣旨に対する答弁
主文と同旨
第二 当事者の主張
一 請求原因
1 原告A(大正九年生)と原告B(昭和五年生)は夫婦であり、原告Cはその二女(昭和三二年
生)、原告Dはその三男(昭和三九年生)であつて、いずれも日本国籍を有しない者である。
2 原告Aは、昭和四八年九月一二日出入国管理令(以下「令」という。)四条一項四号に該当す
る者としての在留資格(在留期間六〇日)を付与されてラオスから日本に入国し、その後五回
にわたつて在留期間の更新を受けて日本に在留していた。
また、原告B、同C、同Dは、昭和四八年三月一九日令四条一項一六号、特定の在留資格及び
在留期間を定める省令一項三号に該当する者としての在留資格(在留期間九〇日)を付与され
てラオスから日本に入国し、その後三回にわたつて在留期間の更新を受けて日本に在留してい
た。
3 ところが、原告B、同C、同Dは昭和四九年三月八日、原告Aは同年一〇月一九日、それぞれ
の在留期間更新申請につき被告法務大臣から不許可処分(以下「本件各更新不許可処分」とい
う。)を受け、在留期間の経過をまつて東京入国管理事務所入国審査官から令二四条四号ロに該
当すると認定されたので、同所特別審理官に口頭審理の請求をしたところ、入国審査官の認定
はいずれも誤りがない旨判定された。
そこで、原告らは、被告大臣に対し令四九条一項に基づく異議の申出をしたところ、同被告
は昭和五〇年三月一四日右異議の申出をいずれも棄却する旨の裁決(以下「本件各裁決」とい
う。)を原告らに通知し、更に、被告東京入国管理事務所主任審査官は同日付で原告らに対し退
去強制令書を発付した(以下「本件各令書発付処分」という。)。
4 しかしながら、次に述べる諸事情からすれば、被告大臣が本件各更新不許可処分をし、更に、
原告らの異議申出につき令五〇条一項の在留特別許可を与えることなく本件各裁決をしたこと
は、憲法一三条に違反し、また、裁量権の行使を誤つたものというべきである。
 原告らは、もと中国国籍を有し、台湾で暮していたが、原告Aの勤務(航空会社の技術者)
の都合で昭和四〇年ベトナムに移住し、更に昭和四四年にはラオスに移住した。しかし、イ
ンドシナ半島の戦乱がますます激化してきたうえ、原告Bが婦人病と高血圧症に悩まされ、
ラオスでは治療が不可能であつたため、同原告は、日本にいる親族訪問、病気治療を目的と
して、前記のとおり昭和四八年三月一九日原告C、同Dとともに日本に入国した。原告Aは
ラオスに残つたが、以前たまたま中華人民共和国の映画を同僚と見たことが台湾政府情報部
に知られ、右同僚が台湾に連行されたまま音信不通になつたり、台湾政府が同原告に対し再
三帰国を催促してきたことなどから、危険が感じられるようになり、更に、昭和四八年八月
には勤務先の航空会社が解散して失業し、罹患していた十二指腸潰瘍等の病気を治療する必
要もあつたので、前記のとおり昭和四八年九月一二日原告Bらのいる日本に入国した。
なお、これより先、原告A夫婦の長女Eと二男Fは既に日本に在留しており、また、長男G
も昭和四九年一二月日本に入国し、ここに原告ら一家全員が日本で生活することとなつた。
 原告Aは、日本において十二指腸潰瘍、糖尿病の検査及び治療を受け(昭和四九年二月に
は十二指腸潰瘍の手術を受けた。)、現在も安静加療を要するかなりの重症で、もとより働く
ことはできない。原告Bも、入国後、慢性胃炎、高血圧症、子宮筋腫の病名で入院及び通院治
療を受け、現在も毎週通院している。
 原告Bは、昭和四八年四月に購入した中野区野方の土地建物で中華料理店を経営していた
が、昭和五〇年三月経営がいきづまつてこれを人手に渡してからは、遠戚の者が経営する中
華食料品販売店の手伝いをして収入を得、そのほか、日本に帰化している同原告の兄、姉、妹
の三名からの援助と貯金(現在は香港に一〇〇〇万円、日本に三〇〇万円)の払戻しを合わ
せて一家の生活を維持している。このように、原告らにとつては、日本では親族からの経済
的援助も期待できるので、一家が生活していく見込みがあるし、また、原告C、同Dは日本で
勉学を継続したい強い希望をもつている。
これに対し、台湾には原告Aの親族はおらず、台湾で就職できる見込みもなく、そのうえ、
台湾に帰れば前記の映画見物の件により台湾政府から責任を追及されるおそれが大きい。原
告Bの母と弟一人は台湾にいるが、いずれからも経済的援助を期待できる状況ではない。
 原告らの入国事情、在留状況は右のとおりであるから、いま原告らを日本から退去させる
ことは、病気の原告A、同Bにとつて生命の危険を伴うばかりでなく、やつと再会できた一
家を離散させ、その生活を破壊し、病気の治療や勉学の継続を不可能ならしめるものであつ
て、著しく人道に反するというべきである。
特に、原告らは旧日本領であつた台湾の住民であるから、日本国としては、その在留に関
して他の一般外国人と異なる特別の保障をすべき法的義務があるものといわなければならな
い。また、原告Aは、前記の映画見物の件で台湾政府から責任追及を受けるおそれがあるた
め日本に入国してきたいわば政治的難民でもあり、政治的難民に対して在留を認めることは
国際的な傾向である。
 ところで、令四九条一項に基づく異議の申出に対して裁決がされた者のうち、被告大臣が
在留特別許可を与えた者は、昭和四七年において一一五〇人中九六二人(八三・七パーセン
ト)、昭和四八年において八九八人中七〇八人(七八・八パーセント)、昭和四九年において
七四五人となつており、在留特別許可を与えないほうがむしろ例外であつて、しかも、在留特
別許可を与えられた者のうちでは韓国・朝鮮人、中国人が圧倒的多数を占めているのであり、これら
の者に対しては在留特別許可を与えることが実務慣行となつている。
5 以上のとおりであつて、本件各更新不許可処分には憲法一三条違反及び裁量権行使の誤りが
あるから、これを前提としてされた本件各裁決及び各令書発付処分も当然に違法である。
仮に本件各更新不許可処分が適法であつたとしても、本件においては原告らに対して在留特
別許可を与えるべきであり、これを与えることなく本件各裁決をしたことは、右同様に違憲、
違法である。しかも、右在留特別許可の実際の運用をみても、これを与えるか否かはなんらの
具体的基準なくして決定されているのであるから、その決定は、杜撰かつ不公平であるととも
に非民主的、独善的なものとして、裁決を違法ならしめるものというべきである。したがつて、
右各裁決を前提としてされた本件各令書発付処分もまた違法である。
更に、原告らは、本件各令書発付処分後である昭和五一年八、九月に、いずれも中国国籍を離
脱し、無国籍となつた。その結果、中国には原告らの送還を受け入れる義務がなくなり、他の第
三国に原告らの送還を受入れさせることも不可能となつたから、本件各令書発付処分は全体と
して執行不能により取り消されるべきである。
6 よつて、本件各裁決及び各令書発付処分の取消しを求める。
二 請求原因に対する認否
1 請求原因1ないし3の事実は認める。
2 同4の冒頭の主張は争う。のうち、原告らの居住関係と原告ら及びその余の家族の入国及
び在留の事実は認めるが、原告らの入国目的がその主張のとおりであることは否認する。の
病気の程度は争う。のうち、原告Bが中野区野方の土地建物を購入し、その後これを手離し
たこと、同原告の身内が日本に帰化していることは認めるが、台湾では生活を維持できないと
の点は否認する。、はいずれも争う。
3 同5の違法の主張は争う。
三 被告らの主張
1 本件各裁決及び各令書発付処分の前提となつた本件各更新不許可処分は、次のとおり適法で
ある。
 原告Aについては、観光客としての在留資格で入国を認め、在留期間を二度更新したとこ
ろ、昭和四九年二月一八日に提出された更新申請からは、病気加療という理由で申請がされ
るようになつたので、帰国のための旅行に差支えない程度に治療がされるまでの間やむをえ
ず観光客の資格のままでの在留期間の更新を許可してきたが、その後、同原告の病状が航空
機による旅行にはなんら支障のないことが判明したので、昭和四九年八月一九日に更新を許
可した際には、今回限りであることを明示し、許可された在留期間の満了する同年九月七日
までには帰国するよう指導したのである。しかるに、同原告は同年八月二九日病気加療を理
由に更に在留期間の更新を申請してきたのであるが、真実は病気加療のためではなく日本で
の永住が目的であると認められた。そこで、当時既に同原告の妻及び子供二名について後述
のように在留期間の更新が認められず不法残留者として退去強制手続中であつたことから、
同原告の右更新申請を不許可としたのである。もともと、同原告の入国目的は、当初から日
本に永住して妻とともに中華料理店を経営することにあつたのに、これを申し立てると上陸
を許可されないために、あえて虚偽の申請をして入国したものであり、このような者につい
てわが国での在留を認めるべきではない。
また、原告Bについては、在日の姉夫婦と留学中の子供の訪問並びに診察の目的で査証申
請があり、かつ、許可された在留期間内に帰国する旨の誓約があつたので、右在留資格と在
留期間九〇日に限つて入国を認めたのであり、その後の在留期間更新についても病気治療の
ためこれを許可してきたのである。しかし、その後に審査したところ、右入国目的は事実と
相違し、真実の入国目的は日本において飲食店を経営し永住することにあることが判明し
た。すなわち、同原告は、昭和四八年に入国する以前にも数回日本に観光客として入国して
いたが、その当時から将来の日本永住のための準備として、入国の都度香港から日本の銀行
へ預金を移したり、不動産業者に家屋の物色を依頼するなどしたうえ、昭和四八年三月一九
日に真の入国目的を偽つて入国するや、直ちに中野区野方に土地建物を購入し、同年七月か
ら中華料理店を経営する一方、原告Cを都立高校定時制に、同Dを小学校にそれぞれ入学さ
せているのである。このように同原告らの営業及び在学自体が虚偽の申立てに基づく法的在
留活動であつて、右の事実があることをもつて在留期間の更新を認めることはできない。
 原告らは、一家全員が日本に在留していると主張している。しかし、右家族のうちで正規
に在留が認められたのは、長男、長女、二男だけで、長男及び二男はその後に在留期間を経過
して不法残留者となつており、長女も勉学のために在留特別許可が与えられているものであ
つて、学業が終了すれば帰国すべきことが予定されているものである。このように家族全員
の日本在留は一時的にたまたま作り出されたものにすぎない。
 原告A、同Bの健康状態が良好でないとしても、帰国のための旅行は可能であり、また、日
本でなければ治療ができない病気でもない。原告らには相当の資産があるのであるから、原
告らにその意思さえあれば、台湾等において治療を受け、生計を立て、更に勉学を続けるこ
とは不可能ではないのである。
2 被告大臣のする在留特別許可の許否と異議申立に対する裁決とはそれぞれ別個独立のもので
あるから、在留特別許可を与えなかつたことが裁決の違法事由となる余地はない。
仮にそうでないとしても、本件において被告大臣が原告らに対し在留特別許可を与えなかつ
たことは裁量権の範囲内である。すなわち、在留特別許可は、異議申出人の個人的事情のみな
らず、国際情勢、外交政策等一切の事情を総合的に考慮したうえで決定されるべき恩恵的措置
であつて、その裁量の範囲は極めて広いものであるところ、既に述べたとおり、原告らは出入
国管理制度を悪用し脱法行為により日本在留を図つているものであることからすれば、これに
対して在留特別許可を与えるべき理由はまつたくない。
第三 証拠《省略》
理 由
一 請求原因1ないし3の事実は、当事者間に争いがない。
二 原告らは、本件各裁決及び各令書発付処分の取消事由として、まず、これらに先行する本件各
更新不許可処分が違憲、違法であると主張する。しかし、右更新不許可が違法なものであつても、
それが無効であるか又は取り消されていない以上、その違法は当然には爾後の令四九条に基づく
異議申出に対する裁決と令書発付処分を違法ならしめるものではないから、本件においては、右
各更新不許可処分自体の適否を論ずる必要はない。
三 原告らは、次に、被告大臣が原告らに対し在留特別許可を与えることなく本件各裁決をしたこ
とは、憲法一三条に違反し、裁量権の行使を誤つたものであるから、右各裁決及びこれを前提と
する本件各令書発付処分は取り消されるべきであると主張する。
1 令四九条一項に基づく異議申出に対する被告大臣の裁決は、特別審理官によつて誤りがない
と判断された入国審査官の認定の当否を重ねて審査・判断するものであるが、令五〇条及び令
施行規則三五条によれば、被告大臣は、裁決にあたり、異議の申出が理由がないと認める場合
でも一定の要件が存するときは、異議申出人に在留特別許可をすることができるのであるか
ら、異議を棄却する被告大臣の裁決は、右入国審査官の認定を相当とするとの判断に基づいて
異議を排斥する処分であると同時に、在留特別許可をすべき場合にも当たらないとしてこれを
付与しない処分としての性質をも併せ有するものというべきである。そうすると、裁決に際し
在留特別許可を与えなかつた被告大臣の判断に違法がある場合には、異議の申出を棄却した裁
決は違法となるものであり、右裁決に基づいてされた令書発付処分もまた当然に違法となるこ
とを免れない。
2 そこで、本件各裁決に際し在留特別許可を与えなかつた被告大臣の判断の適否について検討
する。 
前記当事者間に争いのない事実と、《証拠略》を総合すると、次の事実を認めることができる。
 原告らは、長く台湾で暮していたが、航空会社の整備技術者をしている原告Aの勤務の都
合により、昭和四〇年ごろベトナムに移住し、更に同四四年にはラオスに移住した(右居住
関係については当事者間に争いがない。)。この間昭和四二年ごろ、原告Bが、日本に居住し
ている兄、姉らを訪問するため子供を連れて日本に入国し、しばらく滞在したのち長男Gと
長女Eを日本に残してベトナムに帰国したところ、右長男、長女について在留特別許可が与
えられた(長男はその後出国)ことから、原告ら一家は、戦乱の激しいインドシナ半島を離れ
て日本に住みたいと考えるようになつた。このため、原告Bは、その後しばしば観光客の資
格で来日した機会に、香港等にあつた預金を日本の銀行に移したり、将来日本で住む場合の
住居の物色を不動産業者に依頼したりしたうえ、昭和四八年三月、日本にいる長女及び二男
F(昭和四七年来日)らの訪問と自分の病気診察を理由として、未成年の子である原告C、同
Dを伴い日本に入国した。そして、翌四月中野区野方に土地建物を購入してこれに居住する
とともに(右購入の事実は当事者間に争いがない。)、同年七月からは自己の名で営業許可を
得て中華料理店を経営し、また、右未成年の子二人を高校と小学校に入学させた。
一方、原告Aは、同年七、八月ごろ勤務先の航空会社が解散して失業し、カナダへの移住を
計画したものの結局実現できなかつたので、家族とともに日本で生活すべく、同年九月観光
を理由として日本に入国し、右中華料理店の手伝いなどをしていた。その後、同原告の長男
Gも来日し、中野区野方の住居で家族全員が共同生活をすることになつた(長男、長女、二男
の在留の事実は当事者間に争いがない。)。
昭和四九年原告らに対して本件退去強制手続が開始されたのであるが、右長男及び二男に
対しても、在留期間経過を理由に退去強制令書が発付された(両名が右令書発付処分の取消
訴訟を東京地方裁判所に提起し、その後これを取り下げたことは、当裁判所に顕著な事実で
ある。)
 原告Aは、来日後、十二指腸潰瘍、肝機能障害、糖尿病を患い、昭和四九年二月ごろ一か月
くらい入院したが、その後は一、二週間に一回通院して診察と投薬を受けている。また、原告
Bは、高血圧症と子宮筋腫の病気があり、前者については時折症状が重くなるので継続して
通院投薬を受けており、後者については本件令書発付処分後である昭和五二年九月ごろに手
術を受けた。しかし、両名とも送還に堪えられないほどの症状ではなく、また、台湾その他の
国においても治療を受けることが可能である。
 原告らの親族としては、原告Bの兄、姉、妹が日本におり、経済的援助を期待できるが、原
告ら自身も相当の資産を有しており、日本を離れると直ちに生活ができなくなるとか、必要
な医療や教育を受けることができなくなるという状態ではない。
このように認められ、原告A、同B各本人尋問の結果中右認定に抵触する部分は採用しが
たく、他に右認定を動かすに足りる証拠はない。なお、右原告両名は、原告Aがかつてラオス
で中華人民共和国大使館の貼り出した写真を見ていたのを台湾政府に知られたため同政府か
ら責任を追及されるおそれがある旨供述するが、右責任追及を受けるとの点は憶測の域を出
ず、十分な根拠をもつものとは認めがたい。
以上認定の諸事実に加え、原告らは入国後約一年ないし一年半ほどで本件各更新不許可処
分及び退去強制手続を受けるに至つた者であり、日本社会との結びつきもいまださほど密接
なものではなかつたと考えられることなどを総合勘案すると、本件において原告らの在留を
認めることなくその退去を強制することが、著しく苛酷であつて正義に反するということは
できない。原告らの本国である台湾が旧日本領であつたとの事実は、右の判断を左右するも
のではない。
原告らは、韓国・朝鮮人、中国人に対しては在留特別許可を与えることが実務慣行となつ
ていると主張するが、外国人に在留特別許可を与えるかどうかは、被告大臣の広汎な裁量に
委ねられており、その決定にあたつては、当該外国人の個人的事情のみならず、わが国にお
ける社会・経済事情、国際情報、外交政策等の諸般の事情をも斟酌し、時宜に応じた的確な
判断をしなければならないものであることを考えると、従前の在留特別許可の付与状況が仮
に原告らの主張のとおりであつたとしても、そのことから直ちに、右の主張のような実務慣
行が存在しているものと認めることはできない。また、かかる在留特別許可の性格からすれ
ば、その裁量判断の具体的基準があらかじめ定められていないというだけでは、当然にその
判断が杜撰、不公平その他原告らの主張するような瑕疵を帯びることになるとすることはで
きない。
そうすると、被告大臣が原告らに対して在留特別許可を与えなかつたことにつき憲法一三
条違反あるいは裁量権行使の誤りがあつたとはいえないから、右違憲、違法のあることを前
提として本件各裁決及び各令書発付処分の違法をいう原告らの主張は失当である。
四 また、原告らは、本件各令書発付処分後に原告ら全員が中国国籍を離脱し無国籍となつたこと
により送還先がなくなつたから、右処分は執行不能として取り消されるべきであると主張する。
しかし、無国籍者に対する退去強制処分が執行不能でないことは令五三条の規定からも明らかで
あり、右主張は採用することができない。
五 以上のとおりであるから、原告らの本件各請求はいずれも理由がないものとしてこれを棄却す
ることとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条、九三条を適用して、
主文のとおり判決する。

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