退去強制令書執行停止申立事件
平成13年(行ク)第149号
申立人:A、相手方:東京入国管理局主任審査官
東京地方裁判所民事第3部(裁判官:藤山雅行・鶴岡稔彦・廣澤諭)
平成14年6月20日
決定
主 文
1 相手方が平成13年9月5日付けで申立人に対して発付した退去強制令書に基づく執行は、本案
事件(当庁平成13年(行ウ)第374号退去強制令書発付処分取消等請求事件)の第一審判決の言渡
しの日までの間これを停止する。
2 申立費用は相手方の負担とする。
理 由
第1 当事者の申立て
1 申立ての趣旨
主文第1項同旨
2 相手方の意見
本件申立てを却下する。
第2 申立ての理由
本件申立ての理由の要点は、法務大臣が、申立人は難民であるのに申立人のした難民認定申請
を認めず、申立人の出入国管理及び難民認定法(以下「法」という。)49条1項の異議の申出に対
して、在留特別許可を認めずに同異議の申出に理由はない旨の裁決(以下「本件裁決」という。)
をしたところ、申立人は難民であるのに申立人を難民に該当しないと判断した法務大臣の判断に
は重大かつ根本的な事実誤認による裁量権の逸脱濫用がある上、申立人に対し法49条1項の異議
の申出に理由がないとの裁決を行うことは、申立人を本国に送還することを是認する処分である
というべきであるから、難民を迫害のおそれのある国に送還することを禁じた難民の地位に関す
る条約(以下「難民条約」という。)33条1項、法53条3項に違反していて(ノン・ルフールマン
原則違反)、本件裁決は違法であり、本件退去強制令書発付処分は、違法な裁決を前提とする点で
違法なものであるほか、それ自体についても、送還先をパキスタンとする点でノン・ルフールマ
ン原則違反、「拷問及びその他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取り扱い又は刑罰を禁止
する条約」(以下「拷問等禁止条約」という。)違反があり、難民不認定処分に対する異議申出権を
侵害する違法なものであって、本件退去強制令書発付処分は取り消されるべきであるから、本件
は「本案について理由がないとみえるとき」(行政事件訴訟法25条3項)に当たらず、申立人には
本件退去強制令書の収容部分及び送還部分のいずれについても回復困難な損害を避けるため執行
停止を求める緊急の必要性がある、というものである。
第3 当裁判所の判断
1 「回復の困難な損害を避けるため緊急の必要があるとき」(行政事件訴訟法25条2項)の要件の
有無について
 本件退去強制令書発付処分に基づく収容の執行について
ア 行政事件訴訟法25条2項の「回復の困難な損害」とは、処分を受けることによって生ずる
損害が、原状回復又は金銭賠償が不能であるとき、若しくは金銭賠償が一応可能であっても、
損害の性質、態様にかんがみ、損害がなかった現状を回復させることは社会通念上容易でな
いと認められる場合をいう。
この点につき、相手方は、「行政処分の執行によって通常生じる損害は、そもそも『回復の
困難な損害』には当たらない。」として、退去強制令書発付処分の執行によって生じる身柄の
拘束そのものは「回復困難な損害」に当たらないという趣旨の主張をする。しかしながら、こ
のような解釈は、行政事件訴訟法25条2項の文言から当然に導き出される解釈ではない上
に、現在の裁判実務においても、一般的には採用されていない解釈であるといわざるを得な
い。例えば、退去強制令書発付処分に関してみても、その送還部分の執行によって「回復困難
な損害」が生じるものとして執行停止を認めることが可能であることは一般的に承認されて
いる事柄であるけれども、その根拠として指摘されているのは、強制的に出国させられるこ
とにより訴訟代理人との打合せ等に困難が生じ、本案訴訟の追行が困難になること等である
が、これは、まさに送還部分の執行によって必然的かつ類型的に生じる損害なのであり、こ
れを送還そのものと区別し、処分の執行によって「通常」生じる損害ではないというのは、言
葉の遊びにすぎない。また、建築物の除却処分や物件の廃棄処分によって当該建築物や物件
が失われるということは、まさに処分によって「通常」生じる損害のはずであるが、それによ
って失われる価値(その価値の中には、金銭的、文化的、歴史的価値等様々なものが含まれよ
う。)がいかに大きなものであれ、「通常」生じる損害にすぎないから、執行停止が認められる
余地はないとは解されていないはずであり(その価値の程度によっては、「回復が困難な損
害」に当たらない場合もあり得ようが、それは、価値の程度等に着目してそのようにいえば
足りるのであって、わざわざ「通常」生じる損害に当たらないなどという議論を持ち出す必
要はない。)、ここでも「建築物や物件の喪失」とそれによって失われる価値の喪失とを区別
して、「建築物や物件の喪失」そのものは「回復の困難な損害」に当たらないと主張すること
にどれだけの意味があるのかは疑問である。以上を要するに、処分によって通常生じる損害
であるかどうかで「回復の困難な損害」に当たるかどうかを区別しようとする見解には、論
理的な無理があるといわざるを得ないのであり、採用できるものではない。
また、相手方は、「回復の困難な損害を避けるため緊急の必要」があるかどうかについては、
行政処分の執行等により維持される行政目的の達成の必要性とこれを執行することによって
行政処分の相手方が被るおそれのある損害とを比較衡量する必要があるところ、退去強制令
書の発付を受けた者を送還するためにその身柄を確保し、本邦内での活動を制限するという
行政目的には極めて大きな公益上の必要があり、これは、身柄の収容によって通常生じる損
害を上回るものであるから、単に身柄が収容されるというのみでは上記の要件を充たすもの
ではないという主張もするのであるが、この主張は、その前提に誤りがあるものといわざる
を得ない。すなわち法52条5項は、入国警備官は、退去強制を受ける者を直ちに本邦外に送
還することができないときは、送還可能のときまで収容を行うことができるという趣旨の規
定を置く一方、同条6項は、入国者収容所長又は主任審査官は、上記の場合において、退去強
制を受ける者を送還することができないことが明らかになったときは、住居及び行動範囲の
制限、呼出に対する出頭の義務その他必要と認める条件を付して、その者を放免(特別放免)
することができると定め、また、法54条は、退去強制令書発付処分に基づいて収容されてい
る者に対し、一定の条件等を付して仮放免をすることができる旨を定めている。これらの規
定、特に、特別放免、仮放免制度を定めた法52条5項、54条の規定は、退去強制手続を受け
ている外国人といえども人身の自由が認められるべきものであり、退去強制のためとはいえ
合理的な理由もなく、その身柄を拘束し続けることは相当ではないところから、逃亡等によ
って退去強制の執行が困難になるおそれが低い場合には、一定の条件を付した上で、当該外
国人の身柄を解放することを定めたものであり、このことは、退去強制令書発付処分に基づ
く収容は、あくまでも、退去強制の執行を確保するための手段として行われるものにすぎず、
それ自体が退去強制令書発付処分の目的ではないし、また、外国人の本邦内における活動を
制限することを目的とするものでもないことを意味するものというべきである(以上のよう
な解釈は、決して当裁判所の独自の解釈ではない。出入国管理事務の担当者の著作である坂
中英徳=斎藤利男・出入国管理及び難民認定法逐条解説543頁は、法39条の収容の目的は、
「退去強制手続において被退去強制容疑者の出頭を確保して容疑事実の有無についての審査
を円滑に行うため、及び最終的に退去強制の処分が確定したときにその者の送還を確実に実
施する」ことにあるとし、同606頁は、退去強制令書に基づく収容も、被退去強制者の送還と
いう目的を達成するためのものであるという趣旨の説明をした上、同612頁において、上記
の特別放免の目的が、被退去強制者について「送還の目処も立たないのに収容を続けること
は、人道上問題である」ことから行われるものであるとし、被退去強制者の人身の自由の観
点からの処分であることを肯定している。そして、現在の出入国管理実務においても、退去
強制令書発付処分取消訴訟を提起している者について、収容期間が相当程度長期に及んだ場
合には、仮放免を認めるという運用がされている例が多く、これは、まさに、上記のような配
慮に基づくものと解されるのであり、身柄の確保の必要性を常に身柄収容によって生じる損
害よりも上位に置く相手方の主張は、自らの見解や実務にも反するものといわざるを得ない
のである。)。したがって、相手方の主張を前提としたとしても、比較衡量されるべきは、退去
強制の執行という目的のために身柄を確保しておく必要性の程度と収容によって生じる損害
の程度なのであり、しかも、この考量に当たっては、身柄確保の必要性を具体的に判断すべ
きものであると解することこそが、上記のような規定の趣旨に合致するものというべきなの
であって、身柄確保の必要性が一律に身柄収容によって生じる損害を上回ると断定すること
は法の趣旨に合致しない主張であるといわざるを得ない(相手方の引用する杉本良吉・行政
事件訴訟法の解説の記載は、「具体的事情の下において、後者(当該処分の不停止によって維
持される公共の福祉)とにらみ合わせて、それ(停止によって原告の受くべき利益)を犠牲と
してもなお救済に値いする程度の損害かどうか相対的に決まる」というものであることから
すると、この比較衡量は当該処分の一般的な行政目的と処分によって通常発生する損害とを
類型的に比較することでは足りず、当該処分をすべき必要性とそれによって生ずる原告の不
利益とを個別、具体的に比較衡量すべきであって、このことは、執行停止制度の趣旨のみな
らず、警察比例の原則からしても当然のことであって、相手方の引用する平成14年4月26日
最高裁判所第2小法廷決定も、その文言からして同様の立場に立つものと思われる。)。
以上に検討した点を総合考慮し、かつ、人身の自由は重大な法益であって、それが侵害さ
れた場合には、その回復そのものは極めて困難であることを考慮すると、少なくとも、後記
4のとおり本案について理由がないものとはいえず(その意味で、退去強制令書発付処分が
違法である可能性が排除されず)、しかも、後記4のとおり当該外国人のこれまでの行動
や、生活状況、収容期間が既に8ヶ月を超えていること、身元保証人の存在その他の事情に
照らし、逃亡のおそれが低く、退去強制の執行のために身柄確保の必要性が低いにもかかわ
らず行われるような身柄の拘束は、いわば「いわれのない身柄の拘束」であって、それによっ
て生じる損害は、それ自体として「回復の困難な損害」に当たるものというべきである。
なお、相手方は、「収容部分の執行停止を得た外国人は、何ら在留資格がないにもかかわら
ず、特別放免や仮放免の場合のような制限を受けることもないまま本邦内で活動することが
できることになり、この結果は、容認し難いものである。」という趣旨の主張もしているが、
この主張は、執行停止制度の存在意義を正面から否定するものであるのみならず、後記4
及び5のとおり、申立人について収容によってその活動を制限することの適否又はその必要
性には大いに疑問があるし、仮に相手方において申立人の活動に制限を加える必要性がある
と認めるのであれば、退去強制令書発付処分を自庁取消しした上で、改めてその発付をする
とともに、職権で仮放免とすることも可能なのであるから、いずれにせよ上記主張は理由が
ないものというべきである。
イ また、仮に、申立人の受ける損害が相手方のいうように金銭賠償により回復が可能である
としても、違法な退去強制令書に基づく収容については刑事補償法のように無過失責任を認
める法的手当がされていないため、これまでの入管実務やこれに対する裁判所の対応状況に
照らすと、相手方に相当重大な事実誤謬があるなどの事情がない限り、当該収容について国
家賠償法上の違法性が否定され、金銭賠償が全く認められない可能性が高く、この意味でも
損害の回復が困難であることに留意しなければならない。
ウ しかして、本件においては、前記のとおり、本件処分によって申立人は、事後的に回復する
ことが困難な損害を受ける蓋然性が高いものといわざるを得ないし、仮に、本件において、
行政目的の達成の必要性をも考慮すべきである旨の相手方の上記主張を前提とするとして
も、現時点において申立人を収容しなければ将来の退去強制の執行などの行政目的に支障が
生ずることについて、具体的なおそれの有無を検討することなく、抽象的かつ一般的なおそ
れを指摘するのみで、単なる行政処分で身柄拘束という重大な人権侵害行為を行い、かつ、
その執行停止を認めないことには、憲法上の問題も生じかねず、この点について具体的な支
障が生ずることの疎明がない本件においては、申立人には事後的に回復することが困難な損
害を受ける蓋然性が高いものというほかない。
 本件退去強制令書に基づく送還の執行について
本件において、本件退去強制令書に基づき申立人がパキスタンに送還された場合には、申立
人の意思に反して申立人を送還する点で、そのこと自体が申立人にとって重大な損害となるほ
か、申立人と訴訟代理人との間で訴訟追行のための十分な打合せができなくなるなど、申立人
が本案事件の訴訟を追行することが著しく困難になることは明らかである。また、仮に申立人
が本案事件について勝訴判決を得ても、その送還前に置かれていた原状を回復する制度的な保
障はないことや、後記のとおり申立人については本案事件において勝訴の見込みが相当程度あ
ると考えられることをも考慮すれば、申立人は、本件退去強制令書に基づく送還の執行により
回復の困難な損害を被るものと認められ、本件については、こうした損害を避けるため本件退
去強制令書に基づく送還の執行を停止すべき緊急の必要があるというべきである。
2 「本案について理由がないとみえるとき」(行政事件訴訟法25条3項)に該当するかどうかの判
断のあり方
この点については、「本案について原告が主張する事情が法律上理由がないとみえ、又は事実上
の点について疎明がないとき」と解すれば足りるのであり、後記認定のように本案の慎重な審理
を経ずして相手方に裁量権の逸脱濫用がなかったと断ずることが困難な場合には、この要件を充
たすものというべきである。
なお、相手方は、この「本案について理由がないとみえるとき」とは、双方から提出された疎明
方法に照らして、本案に関する申立人の主張が一応理由なしと認められるときという意味である
としているところ、その意味するところは必ずしも明らかではないが、相手方は、自説を裏付け
るものとして、「行政事件訴訟法に基づく執行停止をめぐる実務上の諸問題」司法研究報告34輯
1号59頁を参照すべきものとしており、同頁には上記の当裁判所の見解と同旨の記載がされてい
る。
3 本件退去強制令書の送還部分について「本案について理由がないとみえるとき」に該当するか
否か
 前記2の説示を前提に本件の同要件該当性を検討するに、申立人は、前記第2のとおり、本
案事件において、本件処分の取消しを求める理由の一つとして、本件退去強制令書において送
還先をパキスタンとしたことが難民を迫害のおそれのある国に送還することを禁じた難民条約
33条1項、法53条3項のノン・ルフールマン原則に違反している旨主張して本件処分の取消
しを求めている。したがって、申立人が難民であると認められる場合には、本件退去強制令書
において難民である申立人の送還先を迫害のおそれのあるパキスタンとした点でノン・ルフー
ルマン原則違反があることとなり、少なくとも本件処分の送還部分が違法となり得るものであ
るから、まず、申立人の難民該当性について検討する。
 疎明資料によれば、申立人の出身国であるパキスタンの情勢及び申立人につき、次の事実が
一応認められる。
ア イギリス領インド時代のカシミールは藩王国を形成しており、藩王はヒンドゥー教徒であ
ったのに対し、藩民の約5分の3はイスラム教徒であったところ、1947年のインド・パキス
タンの分離独立に際して、カシミール藩王が最終的にヒンドゥー教国のインドへの加入を選
択したことから、これに反発したイスラム教国である隣国パキスタンとインドとの間で、同
年に第1次インド・パキスタン戦争が勃発し、1949年に停戦が成立したものの、カシミール
は、国連決議に基づいて取り決められた停戦ライン(1971年の戦争の後「管理ライン」と再
定義された。)により両国で暫定的に分割領有された。その結果、約10.5万平方キロメートル
のインド側はジャンムー・カシミール州としてインド連邦の1州を構成し、パキスタン側カ
シミールは、7.9万平方キロメートルはアーザード・カシミール州及び北方地域とされた。
イ JKLF(ジャンムー・カシミール解放戦線)は、カシミールのインド・パキスタンからの独
立を求める団体であるNLFを前身とし、カシミールのインド・パキスタン両国からの独立を
目指すとの思想を掲げ1985年から活動を開始した政治組織であり、活動開始の当初は、カシ
ミールで活動する主要な軍事的集団の一つであったが、1993年ころまでには軍事的勢力を
失い、1994年にはJKLFの指導者であるヤシン・マリクが軍事的闘争の放棄を宣言し、政治
的交渉を提唱するに至った。
ウ パキスタン政府は、少なくともJKLFが平和的対話路線に転換した後はこれを支援してい
ない。
エ 申立人は、1973年にパキスタン領カシミールの《地名略》で出生したパキスタン国籍を有
する者であるところ、1991年にカレッジ(日本の短大に相当する。)卒業後、自らと同じ思想
を掲げるJKLFの準会員となり、同年11月ころからは、JKLFのメンバーとともにインド統治
下のカシミールに赴き、カシミールの解放を求めてインド政府軍との戦闘に加わった。
申立人は、1993年5月ころ、パキスタン統治下のカシミールに戻ってきたところを、パキ
スタン政府の軍情報機関(ISI)により逮捕され、インドに渡った目的や所属組織を黙秘し、
かつ、ISIがインドに渡り再び戦うように強要したのを拒否したことにより、4ヶ月にわた
り、殴る蹴るの暴行、さらには電気ショックなどの拷問を受けた。
オ 申立人は、身柄解放後の1994年6月19日、正式にJKLFのメンバーとなり、ムザファラバ
ードに設置されたJKLFの事務所において、主に思想啓蒙活動(パンフレット作成、会合のア
レンジ等)を担当する部署に配置され、1996年からは当務部署のリーダーを務めるようにな
った。
カ JKLF の創設者のマクウール・バットの命日である1998年2月11日にムザファラバード
で1万人規模の集会が行われ、申立人は、この集会で、カシミールの独立を阻止しようとす
るパキスタン政府を非難する演説をし、演説中、パキスタンの国旗に火を付けて燃やした。
警備に当たっていた警察官らはすぐさま申立人を取り押さえようと駆け付けたが、同時に
JKLFのメンバー多数がこれを止めようとして抵抗したため、会場全体が混乱状態となり、そ
の隙に申立人は何とか逃亡した。
申立人は、ムザファラバードにあるJKLFが用意した隠れ家で2日間過ごしたが、集会の
翌日には警察官が申立人の実家を訪れ、申立人を逮捕するため捜査している旨を両親に告
げ、その旨記載された書面(疎乙4の3)を父親に渡したことを知った。その書面には、申立
人が、15名から20名の者を率いて、国旗を燃やしたことのほか、パキスタン政府に反逆を宣
言して公共施設を壊したり、公務執行を妨害し、その結果、警官1名が負傷したことなど、申
立人が関与したとは考えていない事項についても申立人に責任がある旨の記載がされてい
た。
そこで、申立人は、同じくJKLFの事務所があるイスラマバード近くの《地名略》の隠れ家
に移動した。
キ 申立人は、その隠れ家で1ヶ月半ほど身を潜めていたが、このままでは身柄を拘束され、
JKLFに所属していることを理由として、身に覚えのない罪を認めるよう拷問を受け、その結
果、不当な刑罰を受けるおそれがあると危倶し、国外に逃亡するしかないと考えるに至り、
申立人の叔父も、国外逃亡を勧め、友人であるBという者に申立人を国外に逃亡するための
手配を依頼した。
Bは、申立人に対し、直接庇護国へ出国することは無理で、とりあえずケニアへ出国した
後に、第三国への出国を手配することは可能である旨述べ、申立人は、同人の手配により
1998年4月初めごろケニアへ入国した。
ク その後、Bは、日本へ入国するなら手配できるとして準備を進め、申立人は、JKLFの事務
所があるヨーロッパヘの出国を希望していたが、Bに従い、日本に向けて出発し、1998年7
月25日、短期滞在の在留資格で日本に入国した。
 以上の事実によれば、申立人は、今回の我が国入国時には、その本国であるパキスタンにお
いて、特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受け、かつ、拷問
を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する者であったということができ、難
民条約31条所定の難民に該当していたと一応認められる。また、相手方の提出した連合王国内
務省移民・国籍局国際情報及び政策部作成のアセスメント(疎乙28の2)中に、パキスタンで
は「警察は、人々を常に拷問し、虐待する」との記載があることからすると、自らに対する容疑
を全面的に認めていない申立人に対する拷問が行われるおそれは十分にあると考えられ、申立
人をパキスタンに送還することは、拷問等禁止条約3条に違反すると一応認められる。
相手方は、JKLFのメンバーが政治的意見を理由に迫害を受けたり、特に重い処罰を受けると
考えるに足りる理由がない旨主張し、前記アセスメントを提出する。同アセスメントには、一
般論としては相手方の主張に沿った部分もあるが、必ずしもJKLFがパキスタン国内でどのよ
うな位置付けにあるかについて具体的に記載したものではないし、逆に、JKLFの情報源では、
アーサード・カシミール州の裁判所での処分の公平性は状況によるとして、裁判の公平性を疑
わせる記載もあることにかんがみれば、上記の事情のみによって、申立人の難民性を否定した
り、申立人の供述につき信用性がないものと評価するのは早計といわざるを得ない。
また、相手方は、申立人が当初の事情聴取の際に、申立人が平成7年に日本に入国しようと
して上陸を拒否されたことにつき虚偽の供述を述べるなどして、これを秘匿していたことや、
1993年の身柄拘束・拷問の事実を何ら供述していないことによれば、1993年の身柄拘束や拷
問は存在しないものであるというべきであるし、そもそも申立人の供述全体が信憑性を欠くも
のである旨主張する。さらに、1998年の集会での演説や国旗を燃やしたことにかかる一連の事
実経過に関する供述もその具体的状況について一貫性を欠き、迫害を受けたことはなかったと
評価すべきであるとも主張する。しかし、一般に難民は、身体的又は精神的に強度のショック
を受けていることが多いことから、苦痛の原因となった出来事を話すことによる感情の再体験
に強いためらいを感じることや意識的か無意識的かを問わず、過去の特定の出来事しか思い出
せないことも多く、また、日付や場所、距離、事件や重大な個人的体験までも混乱することがあ
ると認められ、体験すべてを正確に記憶していたり、表現したりしなければ信憑性がないと断
ずることはできない。また、本件においては、退去強制手続段階や難民認定手続段階の事情聴
取では、代理人が関与せずに英語の通訳人を通して行われており、申立人のような立場の者が、
取調官に対して信頼感を抱くことは容易でないことや、通訳人という第三者を通じての会話に
は意思の疎通に支障を来すことが少なくないことなどにかんがみれば、その後、申立人の信頼
を受けた代理人が十分な時間をかけて事情聴取をしたことにより新たな事実が判明したとして
も何ら不自然とはいえない。
さらに、相手方は、申立人に対する訴追は政治的意見に向けられたものではなく、政治的な
動機による行為に向けられたものであるから、これに対する刑罰が当事国の一般の法令に合致
しているのであれば、申立人は難民とはいえないものである旨主張する。確かに、相手方の主
張するところは難民の認定に当たっては慎重に判断すべき事項であるが、申立人に対する訴追
が政治的な動機に基づく行為のみに向けられたものか否かを判別するのは困難といわざるを得
ず、初期犯罪レポート(疎乙4の3)に書かれた公共施設の破壊、公務執行妨害行為等について
は、申立人自体はその関与を否定しているところであるから、現段階において、単に政治的な
動機による行為に向けられた刑罰であると断じて、申立人の難民性を否定するのは困難といわ
ざるを得ない。
さらに、相手方は、3年以上本邦に滞在していたのであるから、他国への入国許可を得るた
めに必要な措置を執るのに十分な時間的余裕を有していたことを指摘するが、不法残留である
とはいえ、その事実状態の継続が見込まれる以上、収容等を避ける意味で何ら手続を行わずに
滞在を続けることはさほど不自然なこととはいえないし、現に、申立人は、退去強制等の手続
を受ける前に自ら難民認定申請を行っているのであるから、手続の遅れのみから申立人の難民
性を否定するのは早計といわざるを得ない。
 よって、本件処分が、本件退去強制令書において申立人の送還先をパキスタンとした点で、
難民を迫害のおそれのある国に送還することを禁じた難民条約33条1項、法53条3項、拷問等
禁止条約3条のノン・ルフールマン原則に違反し取り消されるべきである旨の申立人の主張に
ついては、直ちに失当のものであるということができないのはもちろんのこと、申立人の主張
するその余の違法事由の当否は別にしても、本件処分の取消しを求める請求が第一審における
本案審理を経る余地がないほどに理由がないということはできない。確かに、相手方が申立人
の難民性について指摘した各点は、十分に検討すべき事項ではあるが、その指摘によっても現
段階において本案に理由がないと断ずることは困難で、むしろ、それらの点を含めて本案訴訟
において十分に解明すべきであって、現段階においては、本件申立てが、「本案について理由が
ないとみえるとき」に該当すると認めることはできない。
4 本件退去強制令書の収容部分について「本案について理由がないとみえるとき」に該当するか
否か
 申立人が難民に該当し、申立人の送還先をパキスタンとした点でノン・ルフールマン原則に
違反するとしても、これにより取り消されるべき範囲は、本件退去強制令書のうち送還先を指
定した部分にとどまり、本件退去強制令書の収容部分については別途その適法性を考慮しなけ
ればならないとの解釈もあり得ないではない。
このような解釈は、前記1アのとおり、退去強制令書発付処分に基づく収容の趣旨及び目
的に照らして誤りというべきであるが、念のため、このような解釈を前提として、本件退去強
制令書の収容部分の適法性について別途検討する。
 難民条約は、31条2項において、締約国は、同条1項の規定に該当する難民(その生命又は
自由が同条約1条の意味において脅威にさらされていた領域から直接来た難民であって許可な
く当該締約国の領域に入国し又は許可なく当該締約国の領域内にいる者)の移動に対し必要な
制限以外の制限を科してはならない旨規定するところ、同項は、難民が正規の手続・方法で入
国することが困難である場合が多いことにかんがみ、対象者が不法入国や不法滞在であること
を前提としてもなお、移動の制限を原則として禁じているのであるから、難民に該当する可能
性がある者について、不法入国や不法滞在に該当すると疑うに足りる相当な理由があることの
みをもって、退去強制令書を発付し、収容を行うことは、難民条約31条2項に違反するといわ
ざるを得ない。そして、難民条約が国内法的効力を有することにかんがみれば、主任審査官は、
不法滞在者が難民である場合には、不法滞在のみを理由にその者の身柄を拘束することは許さ
れないのであり、その者が無期又は1年を超える懲役若しくは禁固に処せられる有罪判決を受
けるなど不法滞在以外の退去強制事由が生じた場合やその者の身柄が不安定であり移動の制限
を行わなければ第三国への出国まで難民としての在留状況の把握が困難になる等移動の制限が
必要といえる場合にはじめて退去強制令書の発付が可能となるのであるから、論理的には難民
該当性の判断を退去強制令書発付の判断に先行させる必要があるというべきであって、実務的
には、主任審査官としては、退去強制令書の発付を行うに際して、法所定の要件に加え、対象者
が難民に該当する可能性を検討し、その可能性がある場合においては、同人が難民に該当する
蓋然性の程度や同人に対し移動の制限を加えることが難民条約31条2項に照らし必要なもの
といえるか否かを検討する必要があると解すべきである。このように移動制限の必要性を難民
該当性の蓋然性との比較において検討するとの運用を行う限りにおいては、難民に該当する可
能性が否定し得ない限り一切退去強制手続における収容ができないというような硬直的な運用
を避けつつ、収容の必要性を具体的に検討した上で退去強制令書の発付とその収容部分の執行
をすべきこととなり、まさに難民条約の要請するところに合致する運用が可能となるというべ
きである。
 前記3の事実によれば、申立人はパキスタンから直接入国したものではなく、難民条約31
条2項が同条1項に規定する「その生命又は自由が第1条の意味において脅威にさらされてい
た領域から直接来た難民」を対象としていることから、申立人がこれに該当するか否かについ
て検討する。
難民条約31条2項が同条の適用を受ける難民を脅威にさらされていた領域から直接来た者
に限った趣旨は、同条が不法入国や不法滞在といった違法な行為をした者については、その脅
威を逃れてから遅滞なく所定の手続をした場合に救済を施し、反面、他国に一時定住した者が
むやみに入国し、不法入国や不法滞在による不利益を免れることを防ぐことであるから、形式
的に脅威を受ける地域から直接入国することが必ずしも必要というわけではなく、脅威を免れ
るために領域を逃れる一連の移動をして締約国に入国した場合、仮にその移動の過程の中で第
三国を経由して来たとしても、同条にいう直接来た難民であると評価し得ると解すべきであ
る。
これを本件についてみると、申立人は脅威にさらされていた領域であるパキスタンにおい
て、既にしかるべき庇護国へ渡航しようと考え、その第一段階としてケニア共和国に向かった
にすぎず、同国で庇護を受ける意思はなく、現に、そこで3ヶ月あまり滞在した後シンガポー
ルを経由して本邦に入国したものであり、パキスタン出国の当初から日本に到着するまで一連
の移動と評価できるものであって、ケニア、シンガポールは単なる経由地と評価すべきもので
あるから、これらの国々を経由したことによって、直接性が否定されるものではない。
 前記3のとおり、申立人は難民としての保護を受けるべき地位にあると一応認められると
ころ、本件退去強制令書の発付に当たって、その執行が、難民条約31条2項所定の必要な移動
の制限といえるかについて検討する必要があることとなる。そこで、本件における収容の必要
性について検討する。
本件において、申立人は、本邦での不法残留者であり、独身であって本邦に家族等はいない
ものであるし、入国後1つの住居に定住することなく群馬県館林市、長野県、現在の東京都清
瀬市と転居していることが認められ、この点のみに着目すると、難民認定手続や後に退去強制
手続を行うこととなった場合に、確実に出頭が確保できるか否かについて疑問が生じないでも
ない状態であったということができる。しかし、相手方がこのような事情を考慮して本件処分
をしたものであることは何らうかがわれない。
他方、申立人が上記のように転居したのは、仕事の状況等やむを得ない事情によるものと認
められるし、申立人は、平成12年1月13日に自ら難民認定申請を行い(不法残留等により立件
され収容等を受けた後に申請を行ったものではない。)、同年3月8日には自ら出頭し事情聴取
を受けており、その後も同年7月28日、同年9月5日、同年11月6日に退去強制手続のため出
頭し、また、同年8月11日、同月24日には難民認定申請の事情聴取に出頭しており、その後同
人の身柄が不安定になったと認めるに足りる事情の変化が生じたとはいえないのであって、申
立人につき、本件処分の当時において収容に及ばなければ、出頭の確保や公共の福祉の観点で
具体的な困難や不安が生じていたとまでは認められない。むしろ、申立人については、カトリ
ック清瀬教会の司祭、同潮見教会の司祭及び元の勤務先の上司であるCの計3名が身元引受書
の提出をし、身元引受人が入国管理局等から定められた制限を申立人が遵守をするように監督
し、申立人が裁判所や入管から出頭要請を受けた場合に申立人を出頭させることを誓約してお
り、また、Cにおいて、監督の必要があれば自らの勤務先の寮において同居する可能性を示唆
しており、このような場合に、前記3のとおり難民としての保護を受けるべき地位を有する
と一応認められる申立人につき、退去強制令書の発付及びその収容部分の執行という方法を用
いてまで移動の制限の必要性があったとは認め難い。
 以上によると、本件における収容は、入国審査官が本来検討しなければならない要件につい
ての検討を欠いてされた蓋然性が高い上、これを検討したとしても、本件退去強制令書の収容
部分については、送還部分とは別の理由で、難民条約31条2項に反する違法なものとなる可能
性が十分存するから、行政事件訴訟法25条3項の「本案について理由がないとみえるとき」に
は該当しない。
なお、申立人が我が国に既に4年近く在留していることからすると、難民条約31条2項にい
う期間の猶予は既に与えられたとの見方もできないではないが、反面、近時、先進諸国におい
ては安全な第三国に相当期間在留した難民はもはや難民として受け入れないとの取扱が定着し
ており、しかも、我が国が難民の受け入れに消極的であることについて声高な非難がされてい
ることは、当裁判所に顕著な事実であり、これらのことからすると、申立人が難民であるとす
ると、パキスタンへの送還ができないばかりか、第三国での受け入れも期待できないことから、
結局、送還の見込みが立たない状況にあると考えられる。そうであるとすると、申立人を収容
することは、送還の見込みがないまま収容のみを継続することを意味し、送還に備えるものと
の収容の法的性質からしても、人道上の見地からも到底許されない違法なものといわざるを得
ない。
5 「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき」(行政事件訴訟法25条3項)に該当する
かどうかについて
相手方は、退去強制令書の収容部分の執行停止につき、退去強制令書の発付された外国人に対
して、収容部分の執行を停止することになれば、適法に入国・在留している外国人ですら、法に
より在留資格及び在留期間の点で管理を受け、法54条が定める仮放免についても、保証金の納付
等の相当程度の制約が存するのに比し、違法に在留する外国人についてはそのような規制を受け
ることがなく、全く放任状態のまま司法機関によって公認された形で在留させる結果となるが、
このことは、裁判所が強制処分に積極的に干渉して、仮の地位を定める結果を招来し、行政事件
訴訟法44条の趣旨に反し三権分立の建前にも反するばかりか、法の定める外国人管理の基本的支
柱たる在留資格制度(法19条1項)を著しく混乱させるものであるし、仮放免における保証金納
付等に対応する措置を採り得ないことから、逃亡防止を担保する一切の手段がないままに逃亡に
より退去強制令書の執行を不能にする事態が出現することも十分に予想されるところであり、か
かる在留形態の存在は、在留資格制度を根幹として在留外国人の処遇を行っている法上からは到
底容認し得ないもので、出入国管理に関する法体系を著しく乱すこととなるものといわざるを得
ず、特に、申立人は、不法入国者であり、在留資格を有していない者であるところ、いったん収容
の執行停止によって放免されるや否や、前述のとおり法上、何らの規制を受けずして本邦に在留
し得ることとなるのは、何ら在留資格を有しない者に対し実質上在留活動を許容する仮の地位を
与えたことと何ら異なるところがなく許されない旨主張し、また、送還部分の執行停止について
は、本案訴訟の係属している期間中、申立人のような法違反者の送還を長期にわたって不可能に
することになり、出入国管理行政の長期間停滞をもたらすことになる旨主張し、このような事態
を招く退去強制令書の執行の停止は、本件と同様に在留期間を経過して不法に残留し、退去強制
処分に付されるやこれを免れるために訴えを起こすという濫訴を誘発し助長するものであるか
ら、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあると主張する。
しかし、本件執行停止の可否は、前記1ないし4で説示したとおり、行政事件訴訟法25条所定
の要件の存在を判断した上でされるものであり、同条2項によって執行停止の申立てを却下する
ためには、当該処分の執行を停止することにより公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがある
ことが具体的に認められなければならないところ、相手方が主張するところは、いずれも退去強
制令書の執行停止による一般的な影響をいうものであって具体性がなく、主張自体失当であっ
て、本件において、本件退去強制令書に基づく執行を停止すると公共の福祉に重大な影響を及ぼ
すおそれがあるとの事情をうかがわせる疎明はない。
また、難民条約31条2項は、不法滞在している難民についても、締約国は当該難民に第三国へ
の入国許可を得るために妥当と認められる期間の猶予及びこのために必要なすべての便宜を与え
ることとしているが、我が国においては、このような不法滞在している難民が第三国へ出国する
までの間、当該難民に生活上の支援を与える旨の法制度は整備されていないのであるから、当該
難民は第三国に出国し得る状況となるまでの間自ら生計を立てるために活動せざるを得ない立場
に置かれているのであり、このような観点からすると、申立人が難民としての保護を受けるべき
地位にあると一応認められる以上、本件執行停止決定により、在留活動を許容する仮の地位を与
えるのと異ならない状態が生ずることもやむを得ないことというべきである。
6 結論
よって、本件申立ては理由があるからこれを認容し、申立費用の負担について、行政事件訴訟
法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり決定する。

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