退去強制令書に基づく執行停止申立事件
平成15年(行ク)第17号
申立人(被控訴人):A、被申立人(控訴人):名古屋入国管理局主任審査官
名古屋地方裁判所民事第9部(裁判官:加藤幸雄・舟橋恭子・平山馨)
平成15年10月24日
決定
主 文
1 被申立人が申立人に対し平成14年1月18日に発付した退去強制令書に基づく執行は、本案事
件の判決が確定するまで(ただし、送還部分については平成15年10月26日から)、これを停止す
る。
2 申立費用は被申立人の負担とする。
事実及び理由
1 申立の趣旨
主文と同旨
2 事案の概要
本件は、旧ビルマ連邦(現ミャンマー連邦)において出生した申立人が、不法入国の退去強制事
由がある旨の入国審査官の認定に誤りがないとの特別審理官の判定に対して、出入国管理及び難
民認定法49条1項に基づき法務大臣に異議の申出をしたところ、同大臣がこれを理由がないと裁
決し、その裁決に基づいて、被申立人が申立人に対して平成14年1月18日に退去強制令書(以下
「本件退令」という。)を発付したため、申立人が、被申立人に対し、申立人は難民の地位に関する
条約上の難民に当たるなどと主張して、その取消しを求めたところ、平成15年9月25日に言い渡
された本案事件の第一審判決(以下「本件第一審判決」という。)でこれが認容されたが、その提
訴と同時にされた本件退令に基づく執行の停止の申立てについては、その送還部分に限り、本件
第一審判決言渡しの日から1か月を経過する日(平成15年10月25日)まで停止するものとされて
いた(疎甲1)ため、本件第一審判決に対する被申立人による控訴後に、申立人が改めてその執行
の停止を申し立てた事案である。
3 判断
そこで検討するに、本件疎明資料によれば、本件が、本案について理由がないとみえるときに
は当たらないと判断することができ、しかも、本件退令に基づき、申立人がミャンマー連邦に送
還されるときには、軍事政権によって、身体的、精神的な危害が加えられることが容易に予想さ
れることも一応認められるから、申立人に対する回復の困難な損害を避けるため、その送還部分
の執行を停止する緊急の必要があることも明らかである。
また、送還の前提としての収容についても、人身の自由に対して最大の配慮を払う旨の規定を
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置いた憲法(34条)下においては、回復の困難な損害となる余地が十分にあり、特に、一旦仮放免
(疎甲3)により申立人に対する退去強制のための拘禁状態が解消された後にあっては、その身柄
の再度の収容は、申立人にとって回復の困難な損害に当たるというべきである(申立人が不法に
入国したこと自体に対する制裁としての拘禁は、刑事司法の枠内で執行されるべきであって、退
去強制手続にこれを化体させることは許されない。)から、これを避けるため、その収容部分の執
行を停止する緊急の必要もあると認められる。
さらに、被申立人が公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれとして主張する事情も、執行停止
制度が予定している抽象的、一般的影響を超えるものではなく、かかる事情をもって公共の福祉
に重大な影響を及ぼすおそれがあるとはいえない。
以上に反する被申立人の意見は採用することができない。
4 結論
そうすると、本件申立ては理由があるから、これを認容することとし、申立費用の負担につき
行政事件訴訟法7条、民事訴訟法122条、61条を適用して、主文のとおり決定する。

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