収容の執行停止決定に対する抗告事件
平成17年(行ス)第86号
東京高等裁判所第10民事部(裁判官:大内俊身・江口とし子・大野和明)
平成17年12月13日
決定
主 文
本件抗告を棄却する。
抗告費用は抗告人の負担とする。
理 由
1 本件抗告の趣旨は、原決定を取消し、本件申立てを却下する旨の裁判を求めるというのであり、
その理由は、別紙抗告理由書に記載のとおりである。
2 当裁判所も、本件退去強制令書に基づく執行は、本案事件の第1審判決の言渡しの日から起算し
て15日後まで停止するのが相当と判断するが、その理由は、原決定が説示するとおりである。
抗告理由は、「留学」の在留資格を有する外国人が経費支弁能力を失い、資格外の報酬を受ける活
動を行って、その活動が本邦滞在中の必要経費を賄おうとする程度にまで至っている場合には、在
留目的たる活動が「留学」から変更されたことになる旨主張するが、原決定が説示するように、相手
方が本件退去強制の事由である「報酬を受ける活動を専ら行っていると明らかに認められる者」に
当たるかどうかについては、相手方の本邦における学生としての生活及び就労等の状況、就労に至
った経緯、学費及び生活費の支出の状況、本国からの送金の状況及び使途等並びにこれらの事実の
評価等に関し、更に本案における審理を尽くす必要があるのであって、現時点において、相手方の
在留目的たる活動が「留学」から変更されたものと直ちに認めることはできない。そして、相手方
の上記在留資格にかんがみれば、極めて計画的かつ意欲的に学業に励んでいた若年の相手方にとっ
て、収容が更に継続されることによって学業に支障を生ずることによる不利益は、回復が容易でな
く重大なものということができ、原決定にいう特段の事情が認められることも、原決定の説示する
とおりである。
3 よって、本件抗告は理由がないので棄却することとし、主文のとおり決定する。

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