第1条は、法律の目的です。

(目的)
第1条  出入国管理及び難民認定法は、本邦に入国し、又は本邦から出国するすべての人の出入国の公正な管理を図るとともに、難民の認定手続を整備することを目的とする。


ここは特に解説することもないでしょう。読んだそのままです。

ひとつだけ述べるなら、「すべての人」ですから、外国人の方だけでなく、日本人の出国・入国についての手続きもこの法律によって定められている、ということです。

第7章が日本人に関する部分です。

第1条については、以上です

 第2条では、この法律で使われる様々な言葉が定義されています。

(定義)
第2条  出入国管理及び難民認定法及びこれに基づく命令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

1  削除

2  外国人 日本の国籍を有しない者をいう。

3  乗員 船舶又は航空機(以下「船舶等」という。)の乗組員をいう。

3の2  難民 難民の地位に関する条約(以下「難民条約」という。)第一条の規定又は難民の地位に関する議定書第一条の規定により難民条約の適用を受ける難民をいう。

4  日本国領事官等 外国に駐在する日本国の大使、公使又は領事官をいう。

5  旅券 次に掲げる文書をいう。
 イ 日本国政府、日本国政府の承認した外国政府又は権限のある国際機関の発行した旅券又は難民旅行証明書その他当該旅券に代わる証明書(日本国領事官等の発行した渡航証明書を含む。)
 ロ 政令で定める地域の権限のある機関の発行したイに掲げる文書に相当する文書

6  乗員手帳 権限のある機関の発行した船員手帳その他乗員に係るこれに準ずる文書をいう。

7  削除

8  出入国港 外国人が出入国すべき港又は飛行場で法務省令で定めるものをいう。

9  運送業者 本邦と本邦外の地域との間において船舶等により人又は物を運送する事業を営む者をいう。

10  入国審査官 第六十一条の三に定める入国審査官をいう。

11  主任審査官 上級の入国審査官で法務大臣が指定するものをいう。

12  特別審理官 口頭審理を行わせるため法務大臣が指定する入国審査官をいう。

12の2  難民調査官 難民の認定に関する事実の調査を行わせるため法務大臣が指定する入国審査官をいう。

13  入国警備官 第六十一条の三の二に定める入国警備官をいう。

14  違反調査 入国警備官が行う外国人の入国、上陸又は在留に関する違反事件の調査をいう。

15  入国者収容所 法務省設置法 (平成十一年法律第九十三号)第十三条 に定める入国者収容所をいう。

16  収容場 第六十一条の六に定める収容場をいう。


「難民」
人種,宗教,国籍,特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由として迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために国籍国の外にある者で,国籍国の保護を受けることができないか又はそれを望まない者」であるとされています。

つまり、国で戦争あるいは内戦が起き、国外へ避難した戦争難民、国の経済破綻のため国外へ脱出した経済難民は、難民と認められません

「旅券」
まぁ、普通に考えてパスポートです。
で、パスポートというのは、その国が出す身分証明ですね。
ですから、日本が国と認めてない「国」のパスポートは「旅券」とは認められていなかったわけです。
で、そういう国の人たちは、いろいろそれに代わる書類が必要だったのですが、平成10年の改正で、一部の「国」のパスポートが旅券として認められることになりました。
それがこの「入管法第2条第5号ロ」です。

現在、政令で定める地域とされているのは、台湾とヨルダン川西岸地区及びガザ地区です。

「難民」の定義と「旅券」の定義は、普通考える内容とは違いますから、注意しておいてください。

第2条の2では、日本に滞在する外国人はすべて、いずれかの在留資格に該当していなければならないということと、それぞれの在留資格に認められた以外の活動をしてはいけない、ということが書いてあります。


(在留資格及び在留期間)

第2条の2  本邦に在留する外国人は、出入国管理及び難民認定法及び他の法律に特別の規定がある場合を除き、それぞれ、当該外国人に対する上陸許可若しくは当該外国人の取得に係る在留資格又はそれらの変更に係る在留資格をもつて在留するものとする。

2  在留資格は、別表第1又は別表第2の上欄に掲げるとおりとし、別表第1の上欄の在留資格をもつて在留する者は当該在留資格に応じそれぞれ本邦において同表の下欄に掲げる活動を行うことができ、別表第2の上欄の在留資格をもつて在留する者は当該在留資格に応じそれぞれ本邦において同表の下欄に掲げる身分若しくは地位を有する者としての活動を行うことができる。

3  第1項の外国人が在留することのできる期間(以下「在留期間」という。)は、各在留資格について、法務省令で定める。この場合において、外交、公用及び永住者の在留資格以外の在留資格に伴う在留期間は、三年を超えることができない。



第2項に書いてある「別表」は次の通りです。
在留資格と行うことができる活動が書いてあります。

別表第1

「外交」 日本国政府が接受する外国政府の外交使節団若しくは領事機関の構成員、条約若しくは国際慣行により外交使節と同様の特権及び免除を受ける者又はこれらの者と同一の世帯に属する家族の構成員としての活動

「公用」 日本国政府の承認した外国政府若しくは国際機関の公務に従事する者又はその者と同一の世帯に属する家族の構成員としての活動(この表の外交の項の下欄に掲げる活動を除く。)

「教授」 本邦の大学若しくはこれに準ずる機関又は高等専門学校において研究、研究の指導又は教育をする活動

「芸術」 収入を伴う音楽、美術、文学その他の芸術上の活動(2の表の興行の項の下欄に掲げる活動を除く。)

「宗教」 外国の宗教団体により本邦に派遣された宗教家の行う布教その他の宗教上の活動

「報道」 外国の報道機関との契約に基づいて行う取材その他の報道上の活動


別表第1の2

「投資・経営」 本邦において貿易その他の事業の経営を開始し若しくは本邦におけるこれらの事業に投資してその経営を行い若しくは当該事業の管理に従事し又は本邦においてこれらの事業の経営を開始した外国人(外国法人を含む。以下この項において同じ。)若しくは本邦におけるこれらの事業に投資している外国人に代わつてその経営を行い若しくは当該事業の管理に従事する活動(この表の法律・会計業務の項の下欄に掲げる資格を有しなければ法律上行うことができないこととされている事業の経営若しくは管理に従事する活動を除く。)

「法律・会計業務」 外国法律事務弁護士、外国公認会計士その他法律上資格を有する者が行うこととされている法律又は会計に係る業務に従事する活動

「医療」 医師、歯科医師その他法律上資格を有する者が行うこととされている医療に係る業務に従事する活動

「研究」 本邦の公私の機関との契約に基づいて研究を行う業務に従事する活動(1の表の教授の項の下欄に掲げる活動を除く。)

「教育」 本邦の小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、盲学校、聾学校、養護学校、専修学校又は各種学校若しくは設備及び編制に関してこれに順ずる教育機関において語学教育その他の教育をする活動

「技術」 本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野に属する技術又は知識を要する業務に従事する活動(1の表の教授の項の下欄に掲げる活動並びにこの表の投資・経営の項、医療の項から教育の項まで、企業内転勤の項及び興行の項の下欄に掲げる活動を除く。)

「人文知識・国際業務」 本邦の公私の機関との契約に基づいて行う法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する知識を必要とする業務に従事する活動(1の表の教授の項、芸術の項及び報道の項の下欄に掲げる活動並びにこの表の投資・経営の項から教育の項まで、企業内転勤の項及び興行の項の下欄に掲げる活動を除く。)

「企業内転勤」 本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において行うこの表の技術の項又は人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる活動

「興行」 演劇、演芸、演奏、スポーツ等の興行に係る活動又はその他の芸能活動(この表の投資・経営の項の下欄に掲げる活動を除く。)

「技能」 本邦の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動


別表第1の3

「文化活動」 収入を伴わない学術上若しくは芸術上の活動又は我が国特有の文化若しくは技芸について専門的な研究を行い若しくは専門家の指導を受けてこれを修得する活動(4の表の留学の項から研修の項までの下欄に掲げる活動を除く。)

「短期滞在」 本邦に短期間滞在して行う観光、保養、スポーツ、親族の訪問、見学、講習又は会合への参加、業務連絡その他これらに類似する活動


別表第1の4

「留学」 本邦の大学若しくはこれに準ずる機関、専修学校の専門課程、外国において十二年の学校教育を修了した者に対して本邦の大学に入学するための教育を行う機関又は高等専門学校において教育を受ける活動

「就学」 本邦の高等学校(中等教育学校の後期課程を含む。)若しくは盲学校、聾学校若しくは養護学校の高等部、専修学校の高等課程若しくは一般課程又は各種学校(この表の留学の項の下欄に規定する機関を除く。)若しくは設備及び編制に関してこれに準ずる教育機関において教育を受ける活動

「研修」 本邦の公私の機関により受け入れられて行う技術、技能又は知識の修得をする活動(この表の留学の項及び就学の項の下欄に掲げる活動を除く。)

「家族滞在」 1の表、2の表又は3の表の上欄の在留資格(外交、公用及び短期滞在を除く。)をもつて在留する者又はこの表の留学、就学若しくは研修の在留資格をもつて在留する者の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動


別表第1の5

「特定活動」法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動


別表第2

「永住者」 法務大臣が永住を認める

「日本人の配偶者等」 日本人の配偶者若しくは民法(明治二十九年法律第八十九号)第八百十七条の二の規定による特別養子又は日本人の子として出生した者

「永住者の配偶者等」 永住者の在留資格をもつて在留する者若しくは特別永住者(以下「永住者等」と総称する。)の配偶者又は永住者等の子として本邦で出生しその後引き続き本邦に在留している者

「定住者」 法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者
入管法では「入国」と「上陸」を分けて考えています。「入国」は日本の領空・領海に入ること「上陸」は日本の領土に降り立つことです。
つまり、船や飛行機に乗っていて日本の国境内に入ってきたら「入国」、日本に着いて飛行機や船を下りたら「上陸」です。

第3条は「入国」の条件についてです。(「上陸」の条件は第4条です。)


(外国人の入国)
第3条  次の各号のいずれかに該当する外国人は、本邦に入つてはならない。

一  有効な旅券を所持しない者(有効な乗員手帳を所持する乗員を除く。)
二  入国審査官から上陸許可の証印又は上陸の許可(以下「上陸の許可等」という。)を受けないで本邦に上陸する目的を有する者(前号に掲げる者を除く。)

2  本邦において乗員となる外国人は、前項の規定の適用については、乗員とみなす。



例えば、密入国しようとして船に乗ってやってきたとします。で、乗船中に発見されてしまった。ここで、パスポートを見せてもだめだということです。
退去強制刑事罰の対象になります。

 様々な「在留資格」は元々この第4条で規定されていました。
しかし、在留資格の種類が増えて複雑になってきたため、別表形式でまとめられることになり、第4条は削除されました。

第5条には「上陸拒否事由」が書かれています。下記のそれぞれに該当する人は日本に上陸することができません。

(上陸の拒否)
第5条  次の各号のいずれかに該当する外国人は、本邦に上陸することができない。

1  感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律 (平成十年法律第百十四号)に定める一類感染症、二類感染症若しくは指定感染症(同法第7条 の規定に基づき、政令で定めるところにより、同法第19条 又は第20条 の規定を準用するものに限る。)の患者(同法第8条 の規定により一類感染症、二類感染症又は指定感染症の患者とみなされる者を含む。)又は新感染症の所見がある者

2  精神保健及び精神障害者福祉に関する法律 (昭和二十五年法律第百二十三号)に定める精神障害者

3  貧困者、放浪者等で生活上国又は地方公共団体の負担となるおそれのある者

4  日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、1年以上の懲役若しくは禁錮又はこれらに相当する刑に処せられたことのある者。ただし、政治犯罪により刑に処せられた者は、この限りでない。

5  麻薬、大麻、あへん、覚せい剤又は向精神薬の取締りに関する日本国又は日本国以外の国の法令に違反して刑に処せられたことのある者

5の2  国際的規模若しくはこれに準ずる規模で開催される競技会若しくは国際的規模で開催される会議(以下「国際競技会等」という。)の経過若しくは結果に関連して、又はその円滑な実施を妨げる目的をもつて、人を殺傷し、人に暴行を加え、人を脅迫し、又は建造物その他の物を損壊したことにより、日本国若しくは日本国以外の国の法令に違反して刑に処せられ、又は出入国管理及び難民認定法の規定により本邦からの退去を強制され、若しくは日本国以外の国の法令の規定によりその国から退去させられた者であつて、本邦において行われる国際競技会等の経過若しくは結果に関連して、又はその円滑な実施を妨げる目的をもつて、当該国際競技会等の開催場所又はその所在する市町村(東京都の特別区の存する区域及び地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)第252の19第1項 の指定都市にあつては、区)の区域内若しくはその近傍の不特定若しくは多数の者の用に供される場所において、人を殺傷し、人に暴行を加え、人を脅迫し、又は建造物その他の物を損壊するおそれのあるもの
これは2002年のワールドカップ開催に当たり、いわゆるフーリガン対策として追加された条項です。

6  麻薬及び向精神薬取締法 (昭和二十八年法律第十四号)に定める麻薬若しくは向精神薬、大麻取締法 (昭和二十三年法律第百二十四号)に定める大麻、あへん法 (昭和二十九年法律第七十一号)に定めるけし、あへん若しくはけしがら、覚せい剤取締法 (昭和二十六年法律第二百五十二号)に定める覚せい剤若しくは覚せい剤原料又はあへん煙を吸食する器具を不法に所持する者

7  売春又はその周旋、勧誘、その場所の提供その他売春に直接に関係がある業務に従事したことのある者
「従事した事実」があれば、拒否事由になります。逮捕されたこと、刑に処せられたことがなくても、拒否されます。

8  銃砲刀剣類所持等取締法 (昭和三十三年法律第六号)に定める銃砲若しくは刀剣類又は火薬類取締法 (昭和二十五年法律第百四十九号)に定める火薬類を不法に所持する者

9  第6号若しくは前号の規定に該当して上陸を拒否された者で拒否された日から1年を経過していないもの又は第24条各号(第4号オからヨまで及び第4号の3を除く。)のいずれかに該当して本邦からの退去を強制された者で退去した日から5年を経過していないもの
今年の法改正で、次のように改正されました。
9 次のイからニまでに掲げる者で、それぞれ当該イからニまでに定める期間を経過していないもの
  イ 第6号又は前号の規定に該当して上陸を拒否された者 拒否された日から1年
  ロ 第24条各号(第4号オからヨまで及び第4号の3を除く。)のいずれかに該当して本邦からの退去を強制された者で、その退去の日前に本邦からの退去を強制されたこと及び第55条の3第1項の規定による出国命令により出国したことのないもの 退去した日から五年
  ハ 第24条各号(第4号オからヨまで及び第4号の3を除く。)のいずれかに該当して本邦からの退去を強制された者(ロに掲げる者を除く。) 退去した日から10年
  ニ 第55条の3第1項の規定による出国命令により出国した者 出国した日から一年
 

9の2  別表第1の上欄の在留資格をもつて本邦に在留している間に刑法 (明治四十年法律第四十五号)第2編第12章 、第16章から第19章まで、第23章、第26章、第27章、第31章、第33章、第36章、第37章若しくは第39章の罪、暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)第1条、第1条の2若しくは第1条の3(刑法第222条 又は第261条 に係る部分を除く。)の罪、盗犯等の防止及び処分に関する法律(昭和五年法律第九号)の罪又は特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律 (平成十五年法律第六十五号)第15条 若しくは第16条 の罪により懲役又は禁錮に処する判決の宣告を受けた者で、その後出国して本邦外にある間にその判決が確定し、確定の日から5年を経過していないもの

10  第24条第4号オからヨまでのいずれかに該当して本邦からの退去を強制された者

11  日本国憲法 又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入している者

12  次に掲げる政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入し、又はこれと密接な関係を有する者

イ 公務員であるという理由により、公務員に暴行を加え、又は公務員を殺傷することを勧奨する政党その他の団体
ロ 公共の施設を不法に損傷し、又は破壊することを勧奨する政党その他の団体
ハ 工場事業場における安全保持の施設の正常な維持又は運行を停廃し、又は妨げるような争議行為を勧奨する政党その他の団体

13  第11号又は前号に規定する政党その他の団体の目的を達するため、印刷物、映画その他の文書図画を作成し、頒布し、又は展示することを企てる者

14  前各号に掲げる者を除くほか、法務大臣において日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者

2  法務大臣は、本邦に上陸しようとする外国人が前項各号のいずれにも該当しない場合でも、その者の国籍又は市民権の属する国が同項各号以外の事由により日本人の上陸を拒否するときは、同一の事由により当該外国人の上陸を拒否することができる。
第6条に書かれていることは、外国人の方が日本に来る時は「旅券」と「査証(ビザ)」が必要ということです。

(上陸の申請)
第6条  本邦に上陸しようとする外国人(乗員を除く。以下この節において同じ。)は、有効な旅券日本国領事官等の査証を受けたものを所持しなければならない。ただし、国際約束若しくは日本国政府が外国政府に対して行つた通告により日本国領事官等の査証を必要としないこととされている外国人の旅券、第26条の規定による再入国の許可を受けている者の旅券又は第61条の2の6の規定による難民旅行証明書の交付を受けている者の当該証明書には、日本国領事官等の査証を要しない。

2  前項本文の外国人は、その者が上陸しようとする出入国港において、法務省令で定める手続により、入国審査官に対し上陸の申請をして、上陸のための審査を受けなければならない。


なお、現在「査証免除」となっているのは下表の59か国です。

査証免除措置国一覧表(2004年8月現在)(計59か国)
-------------------------------------------
査証免除国 | 滞在期間
(アジア地域)
シンガポール | 3か月以内
ブルネイ | 14日以内
香港 | 90日以内

(北米地域)
アメリカ | 90日以内
カナダ | 3か月以内

(中南米地域)
アルゼンチン | 3か月以内
ウルグアイ | 〃
エルサルバドル |  〃
グアテマラ |   〃
コスタリカ | 〃
スリナム | 3か月以内
チリ | 〃
ドミニカ(共) |  〃
バハマ |  〃
バルバドス | 90日以内
ホンジュラス | 3か月以内
メキシコ | 6か月以内(注2)

(欧州地域)
アイスランド | 3か月以内
アイルランド | 6か月以内(注2)
アンドラ | 90日以内
イタリア | 3か月以内
エストニア | 90日以内
オーストリア | 6か月以内(注2)
オランダ | 3か月以内
ギリシャ | 〃
クロアチア |  〃
キプロス |  〃
       
(欧州地域)
サンマリノ | 3か月以内
スイス | 6か月以内(注2)
スウェーデン | 3か月以内
スペイン | 〃
スロベニア |  〃
チェコ | 90日以内(注3)
デンマーク | 3か月以内
ドイツ | 6か月以内(注2)
ノルウェー | 3か月以内
ハンガリー | 90日以内
フィンランド | 3か月以内
フランス | 〃
ベルギー |  〃
ポーランド | 90日以内
ポルトガル | 3か月以内
マケドニア旧ユーゴスラビア | 〃
マルタ |  〃
モナコ | 90日以内
ラトビア | 〃
リトアニア |  〃
スロバキア |   〃
リヒテンシュタイン | 6か月以内(注2)
ルクセンブルク | 3か月以内
英国 | 6か月以内(注2)

(大洋州地域)
オーストラリア | 90日以内(注3)
ニュージーランド | 〃

(中東地域)
イスラエル | 3か月以内
トルコ | 3か月以内

(アフリカ地域)
チュニジア | 3か月以内
モーリシャス | 〃
レソト |  〃
-------------------------------------------

(注1) 3か月又は90日以内の査証免除措置に該当する場合、上陸許可の際に付与される在留資格は「短期滞在」、滞在期間は「90日」(ブルネイは「15日」)です。
(注2) 6か月以内の査証免除措置に該当する国の国民については、上陸時、原則として90日の在留期間が付与され、90日を超えて滞在する場合には、最寄りの各地方入国管理当局において在留期間更新手続を行う必要があります。
(注3) バングラデシュ人、パキスタン人については1989年1月15日以降、また、イラン人については1992年4月15日以降、査証免除措置を一時停止しています。
(注4) マレーシア人(1993年6月1日以降)及びペルー人(1995年7月15日以降)、コロンビア人(2004年2月1日以降)に対しては、査証取得勧奨措置を行っています。
(注5) 香港については、香港特別行政区(SAR)旅券所持者及び英国海外市民(BNO)旅券所持者(香港居住権者)に対して、査証免除措置が実施されます。
(注6) 香港については、30日以内滞在予定の修学旅行生のみ短期滞在査証が免除されています。
第7条は上陸審査の内容についてです。実際には在留資格認定証明書の交付を受けて来る方がほとんどですので、空港でこれら全ての審査を行うわけではありません。在留資格認定証明書を提示すれば、この審査は比較的スムーズに行われます。

(入国審査官の審査)
第7条  入国審査官は、前条第二項の申請があつたときは、当該外国人が次の各号(第26条第1項の規定により再入国の許可を受け又は第61条の2の6第1項の規定により交付を受けた難民旅行証明書を所持して上陸する外国人については、第一号及び第四号)に掲げる上陸のための条件に適合しているかどうかを審査しなければならない。

一  その所持する旅券及び、査証を必要とする場合には、これに与えられた査証が有効であること。

二  申請に係る本邦において行おうとする活動が虚偽のものでなく別表第1の下欄に掲げる活動(5の表の下欄に掲げる活動については、法務大臣があらかじめ告示をもつて定める活動に限る。)又は別表第2の下欄に掲げる身分若しくは地位(永住者の項の下欄に掲げる地位を除き、定住者の項の下欄に掲げる地位については法務大臣があらかじめ告示をもつて定めるものに限る。)を有する者としての活動のいずれかに該当し、かつ、別表第1の2の表及び4の表の下欄に掲げる活動を行おうとする者については我が国の産業及び国民生活に与える影響その他の事情を勘案して法務省令で定める基準に適合すること。

三  申請に係る在留期間が第2条の2第3項の規定に基づく法務省令の規定に適合するものであること。

二・三はつまり、その人が在留資格に該当しているかどうか調べるということです。実際には、在留資格認定証明書の申請の段階で実質的な審査は終了していますので、上陸時には交付を受けた証明書を提示すれば大丈夫です。

四  当該外国人が第5条第1項各号のいずれにも該当しないこと。

第5条には上陸拒否事由が書かれています。覚せい剤・銃砲等を所持していないかの持ち物検査です。

2  前項の審査を受ける外国人は、同項に規定する上陸のための条件に適合していることを自ら立証しなければならない。

3  法務大臣は、第1項第二号の法務省令を定めようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長と協議するものとする。

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 第一章 総則(第一条―第二条の二)
 第二章 入国及び上陸
  第一節 外国人の入国(第三条)
  第二節 外国人の上陸(第四条・第五条)
 第三章 上陸の手続
  第一節 上陸のための審査(第六条―第九条)
  第二節 口頭審理及び異議の申出(第十条―第十二条)
  第三節 仮上陸等(第十三条・第十三条の二)
  第四節 上陸の特例(第十四条―第十八条の二)
 第四章 在留及び出国
  第一節 在留、在留資格の変更及び在留期間の更新(第十九条―第二十二条の三)
  第二節 在留の条件(第二十三条・第二十四条)
  第三節 出国(第二十五条―第二十六条)
 第五章 退去強制の手続
  第一節 違反調査(第二十七条―第三十八条)
  第二節 収容(第三十九条―第四十四条)
  第三節 審査、口頭審理及び異議の申出(第四十五条―第五十条)
  第四節 退去強制令書の執行(第五十一条―第五十三条)
  第五節 仮放免(第五十四条・第五十五条)
 第六章 船舶等の長及び運送業者の責任(第五十六条―第五十九条)
 第六章の二 事実の調査(第五十九条の二)
 第七章 日本人の出国及び帰国(第六十条・第六十一条)
 第七章の二 難民の認定等(第六十一条の二―第六十一条の二の八)
 第八章 補則(第六十一条の三―第六十九条の三)
 第九章 罰則(第七十条―第七十八条)
 附則
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出入国に関する規定が2・3・4・5・6・7章
難民認定手続きに関する規定が7章の2
その他が1・8・9章となっています。

第7条の2では、在留資格認定証明書交付制度について書かれています。日本に上陸するときに、いちいち在留資格に該当するかどうか審査していたら、時間がかかってしょうがないし、そこで「あなたは在留資格に該当しないから帰国してください」と言われても困りますよね。それに、その国の大使館で査証(ビザ)を申請するときに、わざわざ日本の法務省に確認したりしていると、とても時間がかかりすぎて不便です。
そこで、この在留資格認定証明書交付制度が作られました。
前もって、在留資格認定証明書の交付を受けていれば、査証(ビザ)の取得もスムーズですし、上陸時の審査も比較的簡単に済みます。
現在はこの制度で来日する人がほとんどです。ただし、短期滞在の場合はこの制度は適用されません。

(在留資格認定証明書)
第7条の2  法務大臣は、法務省令で定めるところにより、本邦に上陸しようとする外国人(本邦において別表第1の3の表の短期滞在の項の下欄に掲げる活動を行おうとする者を除く。)から、あらかじめ申請があつたときは、当該外国人が前条第1項第2号に掲げる条件に適合している旨の証明書を交付することができる。

2  前項の申請は、当該外国人を受け入れようとする機関の職員その他の法務省令で定める者を代理人としてこれをすることができる。


「当該外国人を受け入れようとする機関の職員その他の法務省令で定める者」というのは、受け入れ機関以外では、日本に居住する親族と、入管協会・国際研修協力機構の職員や行政書士で法務大臣が適当と認める者です。


(船舶等への乗込)
第8条  入国審査官は、第7条第1項の審査を行う場合には、船舶等に乗り込むことができる。


「第7条第1項の審査」というのは入国審査のことです。
ポイントは上陸する際には、入国審査官から在留資格と在留期間を決めたスタンプをパスポートに押してもらわなければ、上陸してはいけない、ということです。
また、この決定をするのは入国審査官ですから、査証も在留資格認定証明書も上陸許可・在留期間を保証するものではありません。入国審査官の審査によっては上陸が不許可になったり、在留期間が短くなったりする可能性もあります。

(上陸許可の証印)
第9条  入国審査官は、審査の結果、外国人が第7条第1項に規定する上陸のための条件に適合していると認定したときは、当該外国人の旅券に上陸許可の証印をしなければならない。

2  前項の場合において、第5条第1項第一号又は第二号の規定に該当するかどうかの認定は、厚生労働大臣又は法務大臣の指定する医師の診断を経た後にしなければならない。

3  第1項の証印をする場合には、入国審査官は、当該外国人の在留資格及び在留期間を決定し、旅券にその旨を明示しなければならない。ただし、当該外国人が第26条第1項の規定により再入国の許可を受けて、又は第61条の2の6第1項の規定により交付を受けた難民旅行証明書を所持して上陸するものである場合は、この限りでない。

4  第1項の規定により上陸許可の証印をする場合を除き、入国審査官は、次条の規定による口頭審理を行うため、当該外国人を特別審理官に引き渡さなければならない。

上陸を許可されなかった場合の手続きです。第10条に書かれています。

5  外国人は、第4節に特別の規定がある場合を除き、第1項、次条第7項又は第11条第4項の規定による上陸許可の証印を受けなければ上陸してはならない

不法上陸となり、退去強制・刑事罰の対象となります。
入国審査官が上陸を認めなかった場合、特別審理官の口頭審理を受けることになります。空港の場合は空港内の別室に呼ばれていろいろ質問されます。

(口頭審理)
第10条  特別審理官は、前条第4項の規定による引渡を受けたときは、当該外国人に対し、すみやかに口頭審理を行わなければならない。

2  特別審理官は、口頭審理を行つた場合には、口頭審理に関する記録を作成しなければならない。

3  当該外国人又はその者の出頭させる代理人は、口頭審理に当つて、証拠を提出し、及び証人を尋問することができる。

4  当該外国人は、特別審理官の許可を受けて、親族又は知人の一人を立ち会わせることができる

ですから、何らかの事情があって、上陸拒否されるおそれがある場合は、誰かがすぐ駆けつけられるよう空港等で待機していたほうが良いと思います。

5  特別審理官は、職権に基き、又は当該外国人の請求に基き、法務省令で定める手続により、証人の出頭を命じて、宣誓をさせ、証言を求めることができる。

6  特別審理官は、口頭審理に関し必要がある場合には、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

7  特別審理官は、口頭審理の結果、当該外国人が第7条第1項に規定する上陸のための条件に適合していると認定したときは、直ちにその者の旅券に上陸許可の証印をしなければならない。

8  前条第3項の規定は、前項の証印をする場合に準用する。

在留資格・在留期間のスタンプをパスポートに押すということです。

9  特別審理官は、口頭審理の結果、当該外国人が第7条第1項に規定する上陸のための条件に適合していないと認定したときは、当該外国人に対し、速やかに理由を示してその旨を知らせるとともに、次条の規定により異議を申し出ることができる旨を知らせなければならない。

特別審理官の口頭審理でも不許可となった場合は、異議申立を行います。この手続きは第11条です。

10  前項の通知を受けた場合において、当該外国人が同項の認定に服したときは、特別審理官は、その者に対し、異議を申し出ない旨を記載した文書に署名させ、本邦からの退去を命ずるとともに、当該外国人が乗つてきた船舶等の長又はその船舶等を運航する運送業者にその旨を通知しなければならない。


上陸拒否された外国人を帰国させる責任はその外国人を乗せてきた飛行機・船等の会社にあります。費用も航空会社等の負担です。

それでは、あしたはこれでも上陸を許可されず、どうしても上陸したい、という場合の手続きです。
入国審査官から上陸の許可をもらえず、特別審理官の口頭審理の結果でも、上陸を許可されず、それでもその結果に不服があり、上陸を希望する場合は法務大臣に異議申立をします。この異議申立は書面で行います。

(異議の申出)
第11条  前条第9項の通知を受けた外国人は、同項の認定に異議があるときは、その通知を受けた日から三日以内に、法務省令で定める手続により、不服の事由を記載した書面を主任審査官に提出して、法務大臣に対し異議を申し出ることができる。

2  主任審査官は、前項の異議の申出があつたときは、前条第2項の口頭審理に関する記録その他の関係書類を法務大臣に提出しなければならない。

3  法務大臣は、第1項の規定による異議の申出を受理したときは、異議の申出が理由があるかどうかを裁決して、その結果を主任審査官に通知しなければならない。

4  主任審査官は、法務大臣から異議の申出が理由があると裁決した旨の通知を受けたときは、直ちに当該外国人の旅券に上陸許可の証印をしなければならない。

5  第9条第3項の規定は、前項の証印をする場合に準用する。

在留資格と在留期間のスタンプをパスポートに押すということです。

6  主任審査官は、法務大臣から異議の申出が理由がないと裁決した旨の通知を受けたときは、速やかに当該外国人に対しその旨を知らせて、本邦からの退去を命ずるとともに、当該外国人が乗つてきた船舶等の長又はその船舶等を運航する運送業者にその旨を知らせなければならない

上陸拒否された外国人を帰国させるのはその外国人を乗せてきた飛行機の航空会社や運送業者等です。費用も航空会社・運送業者等が負担します。


今日は9条・10条・11条の上陸審査についてまとめてみます。
上陸を許可されず、しかも不許可に不満がある場合は、次のような順序で審査されます。

入国審査官による上陸審査⇒特別審理官による口頭審理⇒法務大臣への異議申立

それぞれの段階で許可がおりれば、もちろん上陸ですし、不許可に不服がなければ、その場で帰国です。

というわけで、いちおう上陸審査に関しては「三審制」と同じ制度が保証されているとされています。
しかし、実際には入国審査官の不許可処分がひっくりかえることはほとんどありません。

「三審制」になってるとはいえ、裁判と違い、弁護士がつくわけでもありませんし、判定するのは同じ法務省の役人ですから、一旦でた結論がひっくり返らないのは容易に想像できるでしょう。

なお、口頭審理、法務大臣の裁決を待つ間は船の中あるいは空港の施設内にずっといなければなりません。

第12条はいわゆる上陸特別許可のお話です。

(法務大臣の裁決の特例)
第12条  法務大臣は、前条第3項の裁決に当たつて、異議の申出が理由がないと認める場合でも、当該外国人が再入国の許可を受けているときその他法務大臣が特別に上陸を許可すべき事情があると認めるときは、その者の上陸を特別に許可することができる。

2  前項の許可は、前条第4項の適用については、異議の申出が理由がある旨の裁決とみなす。


上陸拒否事由に該当する場合でも、「特別に上陸を許可すべき事情」があれば、上陸を許可されることもあるということです。

で、何が「特別に上陸を許可すべき事情」になるかは個別に判断されますが、家族状況、上陸拒否事由に該当するに至った事情が考慮されます。

例えば、日本人との間に生まれた子供が日本にいる場合とか、退去強制はされたけれど、その期間が短かった場合などは認められやすいようです。

上陸特別許可については、「みちくさ」さんのブログなどを参考にしてみてください。

今日は仮上陸のお話です。
9月6日にも書いたのですが、上陸を拒否され、口頭審理、法務大臣の裁決を待つ間は船の中あるいは空港の施設内にずっといなければなりません
この時、主任審査官の許可を受けて、仮上陸ができることがあります。
この場合、保証金を求められることもあります。

(仮上陸の許可)
第13条  主任審査官は、この章に規定する上陸の手続中において特に必要があると認める場合には、その手続が完了するときまでの間、当該外国人に対し仮上陸を許可することができる。

2  前項の許可を与える場合には、主任審査官は、当該外国人に仮上陸許可書を交付しなければならない。

3  第1項の許可を与える場合には、主任審査官は、当該外国人に対し、法務省令で定めるところにより、住居及び行動範囲の制限、呼出しに対する出頭の義務その他必要と認める条件を付し、かつ、二百万円を超えない範囲内で法務省令で定める額の保証金を本邦通貨又は外国通貨で納付させることができる。

4  前項の保証金は、当該外国人が第10条第7項若しくは第11条第4項の規定により上陸許可の証印を受けたとき、又は第10条第10項若しくは第11条第6項の規定により本邦からの退去を命ぜられたときは、その者に返還しなければならない。

保証金は、本人が逃亡しないための保証金ですから、上陸の許可が出たときだけでなく、日本から退去させられたときにも返還されます。

5  主任審査官は、第1項の許可を受けた外国人が第3項の規定に基き附された条件に違反した場合には、法務省令で定めるところにより、逃亡し、又は正当な理由がなくて呼出に応じないときは同項の保証金の全部、その他のときはその一部を没取するものとする。

当然ですが、逃亡すれば保証金は返してもらえません。仮上陸の条件に違反した場合も同じです。

6  主任審査官は、第1項の許可を受けた外国人が逃亡する虞があると疑うに足りる相当の理由があるときは、収容令書を発付して入国警備官に当該外国人を収容させることができる。

いったん仮上陸を許可されても、逃亡の疑いがあれば、仮上陸を取り消され、収容されます。

7  第40条から第42条第1項までの規定は、前項の規定による収容に準用する。この場合において、第40条中「前条第1項の収容令書」とあるのは「第13条第6項の収容令書」と、「容疑者」とあるのは「仮上陸の許可を受けた外国人」と、「容疑事実の要旨」とあるのは「収容すべき事由」と、第41条第1項中「三十日以内とする。但し、主任審査官は、やむを得ない事由があると認めるときは、三十日を限り延長することができる。」とあるのは「第三章に規定する上陸の手続が完了するまでの間において、主任審査官が必要と認める期間とする。」と、同条第3項及び第42条第1項中「容疑者」とあるのは「仮上陸の許可を受けた外国人」と読み替えるものとする。


仮上陸を取り消され収容されたときの手続きは、退去強制手続きと同じです。
上陸審査で上陸を認められなかった場合、その人を乗せて来た航空会社や船舶業者は、その人を帰国させる責任があります。その費用も航空会社や船舶会社が負担します。

乗ってきた飛行機あるいは船が再出発するまでに結論が出れば良いですが、間に合わなかった場合は、空港や港の近くの宿泊施設に泊まることになります。
この場合の費用も航空会社・船舶会社の負担です。

(退去命令を受けた者がとどまることができる場所)
第13条の2  特別審理官又は主任審査官は、それぞれ第10条第10項又は第11条第6項の規定により退去を命ずる場合において、当該外国人が船舶等の運航の都合その他その者の責めに帰することができない事由により直ちに本邦から退去することができないと認めるときは、法務省令で定めるところにより、当該外国人に対して、その指定する期間内に限り、出入国港の近傍にあるその指定する施設にとどまることを許すことができる。

2  特別審理官又は主任審査官は、前項の指定をしたときは、当該外国人及びその者が乗つてきた船舶等の長又はその船舶等を運航する運送業者に対しその旨を通知しなければならない。
第14条から第18条の2までは「上陸の特例」についてです。
第6条に書いてある通り、日本に上陸するためには有効な旅券と査証が必要なのですが、特別な場合には条件をつけた上で、上陸を許可するという制度です。

第14条は寄港地上陸についてです。

(寄港地上陸の許可)
第14条  入国審査官は、船舶等に乗つている外国人で、本邦を経由して本邦外の地域に赴こうとするもの(乗員を除く。)が、その船舶等の寄港した出入国港から出国するまでの間72時間の範囲内で当該出入国港の近傍に上陸することを希望する場合において、その者につき、その船舶等の長又はその船舶等を運航する運送業者の申請があつたときは、当該外国人に対し寄港地上陸を許可することができる。ただし、第5条第1項各号の一に該当する者に対しては、この限りでない。

例えばアメリカから日本を経由して韓国へ行く、という場合、72時間つまり3日間日本に滞在して良いということです。

注意点はは申請者はその個人ではなく、「その船舶等の長又はその船舶等を運航する運送業者」だということです。

また、「当該出入国港の近傍」というのは、入管法施行規則で「到着した出入国港の所在する市町村の区域内」とされています。
ただし、上陸港が成田空港の場合、原則として東京都内が含まれます。


2  前項の許可を与える場合には、入国審査官は、当該外国人の所持する旅券に寄港地上陸の許可の証印をしなければならない。

3  第1項の許可を与える場合には、入国審査官は、法務省令で定めるところにより、当該外国人に対し、上陸時間、行動の範囲その他必要と認める制限を付することができる。


上陸の特例の二つ目は「通過上陸」です。

(通過上陸の許可)
第15条  入国審査官は、船舶に乗つている外国人(乗員を除く。)が、船舶が本邦にある間、臨時観光のため、その船舶が寄港する本邦の他の出入国港でその船舶に帰船するように通過することを希望する場合において、その者につき、その船舶の船長又はその船舶を運航する運送業者の申請があつたときは、当該外国人に対し通過上陸を許可することができる。

例えば、船で日本へ来て、東京港で船を降りて観光する。その間に船は広島へ移動。本人も日本を観光しながら広島へ移動。広島で同じ船に乗って出国。という場合です。
なお、入管法施行規則により、上陸期間は15日以内とされています。


2  入国審査官は、船舶等に乗つている外国人で、本邦を経由して本邦外の地域に赴こうとするもの(乗員を除く。)が、上陸後三日以内にその入国した出入国港の周辺の他の出入国港から他の船舶等で出国するため、通過することを希望する場合において、その者につき、その船舶等の長又はその船舶等を運航する運送業者の申請があつたときは、当該外国人に対し通過上陸を許可することができる。

出入国港も船舶等も異なる場合です。通過経路が指定されます。
また、「出入国港の周辺の他の出入国港」というのは、両空港が隣同士の地方入国管理局の管轄区域内にある場合です。
例えば、名古屋空港と成田空港は良いですが、福岡空港と関西空港の場合はダメです。


3  前二項の許可を与える場合には、入国審査官は、当該外国人の所持する旅券に通過上陸の許可の証印をしなければならない。

4  第1項又は第2項の許可を与える場合には、入国審査官は、法務省令で定めるところにより、当該外国人に対し、上陸期間、通過経路その他必要と認める制限を付することができる。

5  前条第1項ただし書の規定は、第1項又は第2項の場合に準用する。


第5条の「上陸拒否事由」に該当する人はもちろん「上陸の特例」は認められません。昨日の「寄港地上陸」の場合も同様です。
第16条は「乗員上陸」についてです。要するにパイロットとかが日本に上陸するのにいちいち査証(ビザ)が必要だと、めんどくさいし、飛行機の乗り換えの間は空港内にいなければならないってすると不便なので、それは特別に上陸を認めましょう、ってことです。

(乗員上陸の許可)
第16条  入国審査官は、外国人である乗員(本邦において乗員となる者を含む。以下この条において同じ。)が、船舶等の乗換え(船舶等への乗組みを含む。)、休養、買物その他これらに類似する目的をもつて15日を超えない範囲内で上陸を希望する場合において、法務省令で定める手続により、その者につき、その者が乗り組んでいる船舶等(その者が乗り組むべき船舶等を含む。)の長又はその船舶等を運航する運送業者の申請があつたときは、当該乗員に対し乗員上陸を許可することができる。

第1項は1回きりの場合です。

この場合の上陸期間は次のように決められています。(入管法施行規則第15条)
イ 一の出入国港の近傍に上陸を許可する場合 7日以内
ロ 二以上の出入国港の近傍に上陸を許可する場合 15日以内
ハ 乗つている船舶等の寄港した出入国港にある他の船舶等への乗換えのため上陸を許可する場合 7日以内
ニ 他の出入国港にある他の船舶等への乗換えのため上陸を許可する場合 15日以内


2  入国審査官は、次の各号の一に該当する場合において相当と認めるときは、当該各号に規定する乗員に対し、その旨の乗員上陸の許可をすることができる。

一  本邦と本邦外の地域との間の航路に定期に就航する船舶その他頻繁に本邦の出入国港に入港する船舶の外国人である乗員が、許可を受けた日から一年間、数次にわたり、休養、買物その他これらに類似する目的をもつて当該船舶が本邦にある間上陸することを希望する場合であつて、法務省令で定める手続により、その者につき、その者が乗り組んでいる船舶の長又はその船舶を運航する運送業者から申請があつたとき。

二  本邦と本邦外の地域との間の航空路に定期に航空機を就航させている運送業者に所属する外国人である乗員が、許可を受けた日から一年間、数次にわたり、その都度、同一の運送業者の運航する航空機の乗員として同一の出入国港から出国することを条件として休養、買物その他これらに類似する目的をもつて本邦に到着した日から15日を超えない範囲内で上陸することを希望する場合であつて、法務省令で定める手続により、その者につき、当該運送業者から申請があつたとき。

第2項は定期的に日本便に乗ってくる人について。

3  前二項の許可を与える場合には、入国審査官は、当該乗員に乗員上陸許可書を交付しなければならない。

4  第1項の許可を与える場合には、入国審査官は、法務省令で定めるところにより、当該乗員に対し、上陸期間、行動範囲(通過経路を含む。)その他必要と認める制限を付し、かつ、必要があると認めるときは、指紋を押なつさせることができる。

ここから下(第5・6・7項)は、乗員の場合も上陸拒否事由に該当する人は上陸しちゃだめよ。それは他の人と同じだよってこと。
5  第14条第1項ただし書の規定は、第1項及び第2項の場合に準用する。

6  入国審査官は、第2項の許可を受けている乗員が、当該許可に基づいて上陸しようとする場合において、当該乗員が第5条第1項各号の一に該当することを知つたときは、直ちに当該許可を取り消すものとする。

7  前項に定める場合を除き、入国審査官は、第2項の許可を受けている乗員に対し、引き続き当該許可を与えておくことが適当でないと認める場合には、法務省令で定める手続により、当該許可を取り消すことができる。この場合において、その乗員が本邦にあるときは、当該乗員が帰船又は出国するために必要な期間を指定するものとする。
第17条は「緊急上陸」です。例えば船内で急病になった、あるいは怪我をしたという場合で、最終目的地まで行っていたら間に合わないというとき、査証(ビザ)がなければ上陸させない、というのは人道的に見て酷い話ですよね。
なので、そういうときはまた船に乗って出国できるようになるまで、上陸して病院に行って良いですよ、というのが「緊急上陸」です。

(緊急上陸の許可)
第17条  入国審査官は、船舶等に乗つている外国人が疾病その他の事故により治療等のため緊急に上陸する必要が生じたときは、当該外国人が乗つている船舶等の長又はその船舶等を運航する運送業者の申請に基づき、厚生労働大臣又は法務大臣の指定する医師の診断を経て、その事由がなくなるまでの間、当該外国人に対し緊急上陸を許可することができる。

2  前項の許可を与える場合には、入国審査官は、当該外国人に緊急上陸許可書を交付しなければならない。

3  第1項の許可があつたときは、同項の船舶等の長又は運送業者は、緊急上陸を許可された者の生活費、治療費、葬儀費その他緊急上陸中の一切の費用を支弁しなければならない。


この第3項がすごいですね。「緊急上陸」した場合の費用の全ては「船舶等の長又は運送業者」が負担しなければならないのです。
第18条は「遭難上陸」です。これも人道的に見て当然の規定ですね。遭難している人に「査証(ビザ)持ってないから上陸させません」なんて言えないですよね。

(遭難による上陸の許可)
第18条  入国審査官は、遭難船舶等がある場合において、当該船舶等に乗つていた外国人の救護のためその他緊急の必要があると認めたときは、水難救護法 (明治32年法律第95号)の規定による救護事務を行う市町村長、当該外国人を救護した船舶等の長、当該遭難船舶等の長又は当該遭難船舶等に係る運送業者の申請に基づき、当該外国人に対し遭難による上陸を許可することができる。

申請者に注意してください。本人が「私は遭難して漂着しました。」と言ってきてもだめです。
また、「水難救護法の規定による救護事務を行う市町村長」というのは、その遭難事件を「最初に認知」した市町村長のことです。


2  入国審査官は、警察官又は海上保安官から前項の外国人の引渡しを受けたときは、同項の規定にかかわらず、直ちにその者に対し遭難による上陸を許可するものとする。

3  前二項の許可を与える場合には、入国審査官は、当該外国人に遭難による上陸許可書を交付しなければならない。

4  第1項又は第2項の許可を与える場合には、入国審査官は、法務省令で定めるところにより、当該外国人に対し、上陸期間、行動の範囲その他必要と認める制限を附することができる。


ここでいう「上陸期間、行動の範囲その他必要と認める制限」は入管法施行規則第17条で次のように決められています。

1.上陸期間は、30日を超えない範囲内で定める。
2.行動の範囲は、入国審査官が特別の事由があると認めて別に定めた場合を除き、救護された外国人が救護を受ける場所の属する市町村の区域内とする。
3.前各号のほか、入国審査官が付するその他の制限は、報酬を受ける活動の禁止その他特に必要と認める事項とする。

「一時庇護」についてです。
「難民」として日本にやってきた人に対する対応です。

(一時庇護のための上陸の許可)
第18条の2  入国審査官は、船舶等に乗つている外国人から申請があつた場合において、次の各号に該当すると思料するときは、一時庇護のための上陸を許可することができる。

一  その者が難民条約第一条A(2)に規定する理由その他これに準ずる理由により、その生命、身体又は身体の自由を害されるおそれのあつた領域から逃れて、本邦に入つた者であること。

「難民条約第一条A(2)に規定する理由」とは「人種、宗教、国籍もしくは特定の社会集団の構成員であることまたは政治的理由」です。
戦争・内乱を逃れてきた「避難民」、経済的困窮から逃れてきた「経済難民」は「難民」とは認められません。


二  その者を一時的に上陸させることが相当であること。

2  前項の許可を与える場合には、入国審査官は、当該外国人に一時庇護許可書を交付しなければならない。

3  第1項の許可を与える場合には、入国審査官は、法務省令で定めるところにより、当該外国人に対し、上陸期間、住居及び行動範囲の制限その他必要と認める条件を付し、かつ、必要があると認めるときは、指紋を押なつさせることができる。


「上陸期間、住居及び行動範囲の制限その他必要と認める条件」は、入管法施行規則第18条第4項により次のように定められています。

1.上陸期間は、六月を超えない範囲内で定める。
2.住居は、入国審査官が一時庇護のための上陸中の住居として適当と認める施設等を指定する。
3.行動の範囲は、入国審査官が特別の事由があると認めて別に定めた場合を除き、指定された住居の属する市町村の区域内とする。
外国人の方が日本に滞在するためには何らかの「在留資格」に該当していなければなりません。そして、その「在留資格」で認められた以外の収入を得る活動をしてはいけません。

ただし、次のような場合は「仕事」ではないので、しても大丈夫です。(入管法施行規則 第19条の2)

1  業として行うものではない次に掲げる活動に対する謝金、賞金その他の報酬
イ 講演、講義、討論その他これらに類似する活動
ロ 助言、鑑定その他これらに類似する活動
ハ 小説、論文、絵画、写真、プログラムその他の著作物の制作
ニ 催物への参加、映画又は放送番組への出演その他これらに類似する活動

2  親族、友人又は知人の依頼を受けてその者の日常の家事に従事すること(業として従事するものを除く。)に対する謝金その他の報酬

(在留)
第19条  別表第一の上欄の在留資格をもつて在留する者は、次項の許可を受けて行う場合を除き、次の各号に掲げる区分に応じ当該各号に掲げる活動を行つてはならない。

一  別表第一の一の表、二の表及び五の表の上欄の在留資格をもつて在留する者 当該在留資格に応じこれらの表の下欄に掲げる活動に属しない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬(業として行うものではない講演に対する謝金、日常生活に伴う臨時の報酬その他の法務省令で定めるものを除く。以下同じ。)を受ける活動

「別表第一の一の表、二の表」は一般に言われている「就労ビザ」とよばれているもので、働くことのできる在留資格です。働くことはできますが、どんな仕事をしても良いわけではなく、「在留資格」で規定された以外の仕事をしてはいけません。ですから、別の在留資格に該当する職業に転職する場合には、在留資格の「変更」が必要です。

「別表第一の一の表、二の表」の在留資格は下記の通りです。
「外交」「公用」「教授」「芸術」「宗教」「報道」
「投資・経営」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「技術」「人文知識・国際業務」「企業内転勤」「興行」「技能」

「別表第一の五の表」は「特定活動」です。


二  別表第一の三の表及び四の表の上欄の在留資格をもつて在留する者 収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動

「別表第一の三の表及び四の表」の在留資格は
「文化活動」「短期滞在」「留学」「就学」「研修」「家族滞在」です。
これらの在留資格の人は働いてはいけません。


2  法務大臣は、別表第一の上欄の在留資格をもつて在留する者から、法務省令で定める手続により、当該在留資格に応じ同表の下欄に掲げる活動の遂行を阻害しない範囲内で当該活動に属しない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行うことを希望する旨の申請があつた場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。

一定の条件のもとで「資格外活動」が認められます。

3  第16条から第18条までに規定する上陸の許可を受けた外国人である乗員は、解雇により乗員でなくなつても、本邦にある間は、引き続き乗員とみなす。
「就労資格証明書」というのは、その人が日本で就労できる在留資格を持っているのか、持っているとしてどういう仕事をしても良いのかを証明するものです。
本来、パスポート、外国人登録証などを見れば、在留資格がわかりますし、在留資格が分かれば可能な仕事の範囲も分かりますので、このような証明書は不要です。
しかし、普段あまり外国人と関わらない企業の方が、初めて外国人を雇用しようとしたとき、パスポートのどこを見れば良いのか、その在留資格はどんな活動が許されるのか、分かりにくいですね。
で、そのために採用を拒否される外国人の方もいるかもしれません。
そこで作られたのが、この「就労資格証明書」です。
これがあれば、企業側としても「不法就労の助長」という心配をしなくてすみますね。

これは、上記のような便宜のために発行されるものですので、絶対に取得しなければ働くことができない、というものではありません。
また、これを持ってないから「採用しない」とか取得を採用の条件にするとかもだめです。

本来の用途とは異なりますが、転職をしようと考えたとき、転職予定先の職務内容を示して就労資格証明書を申請して、転職先の業務内容が自分の在留資格に合ったものかどうか確認する、という使い方もできます。

(就労資格証明書)
第19条の2  法務大臣は、本邦に在留する外国人から申請があつたときは、法務省令で定めるところにより、その者が行うことができる収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を証明する文書を交付することができる。

2  何人も、外国人を雇用する等に際し、その者が行うことができる収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動が明らかな場合に、当該外国人が前項の文書を提示し又は提出しないことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。
在留資格の変更についてです。
例えば、「留学」の在留資格で大学で勉強していた学生が、大学を卒業して就職するという場合、在留資格を変更しなければなりません。
変更が許可されるかどうかの基準は上陸審査基準に準じて行われています。
在留資格変更に関する注意点は以下の通りです。

1.就労不可の在留資格から就労可の在留資格へ変更する場合、変更が許可されるまでは働いてはいけません。資格外活動になってしまいます。

2.「永住者」の資格への変更は他の在留資格とは異なります。第22条第1項を参照してください。

3.「短期滞在」から他の在留資格への変更は「やむを得ない特別の事情」がなければ認められません。基本的には「短期滞在」からの在留資格変更はできない、と考えてください。

(在留資格の変更)
第20条  在留資格を有する外国人は、その者の有する在留資格(これに伴う在留期間を含む。以下第三項までにおいて同じ。)の変更(特定活動の在留資格を有する者については、法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動の変更を含む。)を受けることができる。

2  前項の規定により在留資格の変更を受けようとする外国人は、法務省令で定める手続により、法務大臣に対し在留資格の変更を申請しなければならない。ただし、永住者の在留資格への変更を希望する場合は、第22条第1項の定めるところによらなければならない。

3  前項の申請があつた場合には、法務大臣は、当該外国人が提出した文書により在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り、これを許可することができる。ただし、短期滞在の在留資格をもつて在留する者の申請については、やむを得ない特別の事情に基づくものでなければ許可しないものとする。

4  法務大臣は、前項の許可をする場合には、入国審査官に、当該許可に係る外国人が旅券を所持しているときは旅券に新たな在留資格及び在留期間を記載させ、旅券を所持していないときは当該外国人に対し新たな在留資格及び在留期間を記載した在留資格証明書を交付させ、又は既に交付を受けている在留資格証明書に新たな在留資格及び在留期間を記載させるものとする。この場合において、その許可は、当該記載又は交付のあつた時に、その記載された内容をもつて効力を生ずる。
在留期間の更新についてです。
例えば「日本人の配偶者等」の在留資格の場合、在留期間は最長でも3年です。
で、普通は婚姻はずっと続きますので、3年ごとに在留期間の更新をしなければなりません。
更新の申請を忘れると不法滞在になってしまいますので、ご注意ください。

(在留期間の更新)
第21条  本邦に在留する外国人は、現に有する在留資格を変更することなく、在留期間の更新を受けることができる。

2  前項の規定により在留期間の更新を受けようとする外国人は、法務省令で定める手続により、法務大臣に対し在留期間の更新を申請しなければならない。

3  前項の申請があつた場合には、法務大臣は、当該外国人が提出した文書により在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り、これを許可することができる。

「日本人の配偶者等」の在留資格の場合、それまでに離婚したとか、婚姻の実体がないとかの場合は、当然ですが更新できません。また、「留学」の在留資格なのに、学校へ行って勉強してるという実体がないという場合も更新できません。

4  法務大臣は、前項の許可をする場合には、入国審査官に、当該許可に係る外国人が旅券を所持しているときは旅券に新たな在留期間を記載させ、旅券を所持していないときは当該外国人に対し在留資格及び新たな在留期間を記載した在留資格証明書を交付させ、又は既に交付を受けている在留資格証明書に新たな在留期間を記載させるものとする。この場合においては、前条第4項後段の規定を準用する。
「永住許可」です。
「永住者」の在留資格に変更したい場合は、「在留資格の変更」の手続きではなく、「永住許可」の申請をしなければなりません。

(永住許可)
第22条  在留資格を変更しようとする外国人で永住者の在留資格への変更を希望するものは、法務省令で定める手続により、法務大臣に対し永住許可を申請しなければならない。

2  前項の申請があつた場合には、法務大臣は、その者が次の各号に適合し、かつ、その者の永住が日本国の利益に合すると認めたときに限り、これを許可することができる。ただし、その者が日本人、永住許可を受けている者又は日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法 (平成3年法律第71号。以下「平和条約国籍離脱者等入管特例法」という。)に定める特別永住者(以下「特別永住者」という。)の配偶者又は子である場合においては、次の各号に適合することを要しない。

永住許可を受ける条件です。
一  素行が善良であること。
二  独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること。
要するに今まで悪いことをしてなくて、一人で生活できる基盤があるということです。ですので、日本人・永住者・特別永住者の配偶者の場合は、本人が該当しなくても、相手に生活能力があれば大丈夫です。
なお、申請時にはこれらを証明する書類以外に日本に居住する身元保証人による身元保証書が必要です。


3  法務大臣は、前項の許可をする場合には、入国審査官に、当該許可に係る外国人が旅券を所持しているときは旅券に記載された在留資格及び在留期間をまつ消させた上当該旅券に永住許可の証印をさせ、旅券を所持していないときは永住を許可された旨を記載した在留資格証明書を交付させるものとする。この場合において、その許可は、当該証印又は交付のあつた時に、その効力を生ずる。
「日本人ではなくなった人」と「日本で外国人夫婦の間に生まれた子」のお話です。

(在留資格の取得)
第22条の2  日本の国籍を離脱した者又は出生その他の事由により前章に規定する上陸の手続を経ることなく本邦に在留することとなる外国人は、第2条の2第1項の規定にかかわらず、それぞれ日本の国籍を離脱した日又は出生その他当該事由が生じた日から60日を限り、引き続き在留資格を有することなく本邦に在留することができる。

「日本の国籍を離脱した者」・・・例えば、日本人と韓国人の間に生まれた子供は日本国籍と韓国籍の二重国籍になります。この場合22歳になるまでにどちらかの国籍を選択しなければなりません。そして韓国籍を選択すれば、日本国籍を喪失します。そういう人の場合です。

「出生その他の事由により前章に規定する上陸の手続を経ることなく本邦に在留することとなる外国人」・・・日本で生まれた外国人夫婦の子供です。

上記の者は60日間は在留資格なしで日本に滞在することができます。
60日を過ぎたら不法滞在です。


2  前項に規定する外国人で同項の期間をこえて本邦に在留しようとするものは、日本の国籍を離脱した日又は出生その他当該事由が生じた日から30日以内に、法務省令で定めるところにより、法務大臣に対し在留資格の取得を申請しなければならない。

上記の場合に該当する人で、60日以上日本に滞在しようと思う人は30日以内に在留資格の取得申請をしなければなりません。

3  第20条第3項及び第4項の規定は、前項に規定する在留資格の取得の申請(永住者の在留資格の取得の申請を除く。)の手続に準用する。この場合において、第20条第3項中「在留資格の変更」とあるのは、「在留資格の取得」と読み替えるものとする。

4  前条の規定は、第2項に規定する在留資格の取得の申請中永住者の在留資格の取得の申請の手続に準用する。この場合において、前条第1項中「在留資格を変更」とあるのは「在留資格を取得」と、「在留資格への変更」とあるのは「在留資格の取得」と、同条第3項中「旅券に記載された在留資格及び在留期間をまつ消させた上当該旅券に永住許可の証印」とあるのは「旅券に永住許可の証印」と読み替えるものとする。
第18条の2に「一時庇護」というのがありました。その「一時庇護」を受けた人が「在留資格」を取得し、日本への在留を継続しようとする場合は、第22条の2の「日本国籍を失った人」「日本で生まれた外国人夫婦の子供」と同じ手続きをします。

第22条の3  前条第2項から第4項までの規定は、第18条の2第1項に規定する一時庇護のための上陸の許可を受けた外国人で別表第一又は別表第二の上欄の在留資格のいずれかをもつて在留しようとするものに準用する。この場合において、前条第2項中「日本の国籍を離脱した日又は出生その他当該事由が生じた日から30日以内」とあるのは、「当該上陸の許可に係る上陸期間内」と読み替えるものとする。
この条文は在留資格取り消し制度について定めています。
これまでは、一度在留資格を取得すれば、たとえそれが嘘の申請によるものであっても、一度認められた在留資格が取り消されることはありませんでした。
今後はそのようなことがなくなり、嘘がばれた場合は在留資格が取り消されることになります。
また、3ヶ月以上該当する活動を行っていない場合も取り消しの対象となります。
これは例えば「留学」の在留資格の人が学校を辞めたのに帰国せず、3ヶ月以上に日本に居続けるような場合です。

(在留資格の取消し)
第22条の4 法務大臣は、別表第一又は別表第二の上欄の在留資格をもつて本邦に在留する外国人(第61条の2第1項の難民の認定を受けている者を除く。)について、次の各号に掲げるいずれかの事実が判明したときは、法務省令で定める手続により、当該外国人が現に有する在留資格を取り消すことができる。

 一 偽りその他不正の手段により、当該外国人が第5条第1項各号のいずれにも該当しないものとして、前章第一節又は第二節の規定による上陸許可の証印又は許可を受けたこと。

 二 偽りその他不正の手段により、上陸許可の証印等(前章第一節若しく
  は第二節の規定による上陸許可の証印若しくは許可(在留資格の決定を伴うものに限る。)又はこの節(第19条第2項を除く。)の規定による許可をいい、これらが二以上ある場合には直近のものをいうものとする。以下この号、次号及び第四号において同じ。)の申請に係る本邦において行おうとする活動が虚偽のものでなく、別表第一の下欄に掲げる活動又は別表第二の下欄に掲げる身分若しくは地位を有する者としての活動のいずれかに該当するものとして、当該上陸許可の証印等を受けたこと。

 三 前二号に掲げるもののほか、偽りその他不正の手段により、上陸許可の証印等を受けたこと。

 四 前三号に掲げるもののほか、不実の記載のある文書(不実の記載のある文書又は図画の提出又は提示により交付を受けた第7条の2第1項の規定による証明書及び不実の記載のある文書又は図画の提出又は提示により旅券に受けた査証を含む。)又は図画の提出又は提示により、上陸許可の証印等を受けたこと。

 五 前各号に掲げるもののほか、別表第一の上欄の在留資格をもつて在留する者が、当該在留資格に応じ同表の下欄に掲げる活動を継続して三月以上行わないで在留していること(当該活動を行わないで在留していることにつき正当な理由がある場合を除く。)

2 法務大臣は、前項の規定による在留資格の取消しをしようとするときは、その指定する入国審査官に、当該外国人の意見を聴取させなければならない。

3 法務大臣は、前項の意見の聴取をさせるときは、あらかじめ、意見の聴取の期日及び場所並びに取消しの原因となる事実を当該外国人に通知しなければならない。

4 当該外国人又はその者の代理人は、前項の期日に出頭して、意見を述べ、及び証拠を提出することができる。

5 法務大臣は、当該外国人が正当な理由がなくて第2項の意見の聴取に応じないときは、同項の規定にかかわらず、意見の聴取を行わないで、第1項の規定による在留資格の取消しをすることができる。

6 法務大臣は、第1項(第三号から第五号までに係るものに限る。)の規定により在留資格を取り消す場合には、30日を超えない範囲内で当該外国人が出国するために必要な期間を指定するものとする。

7 法務大臣は、前項の規定により期間を指定する場合には、法務省令で定めるところにより、当該外国人に対し、住居及び行動範囲の制限その他必要と認める条件を付することができる
日本にいる外国人はパスポートか外国人登録証をいつも持っていなければなりません。
そして、入国審査官、入国警備官、警察官、海上保安官などに求められたときは、これを見せなければなりません。
違反すると10万円以下の罰金です。(第76条)

(旅券又は許可書の携帯及び呈示)
第23条  本邦に在留する外国人は、常に旅券又は仮上陸許可書、乗員上陸許可書、緊急上陸許可書、遭難による上陸許可書若しくは一時庇護許可書を携帯していなければならない。ただし、外国人登録法 (昭和27年法律第125号)による外国人登録証明書を携帯する場合は、この限りでない。

2  前項の外国人は、入国審査官、入国警備官、警察官、海上保安官その他法務省令で定める国又は地方公共団体の職員が、その職務の執行に当り、同項の旅券又は許可書の呈示を求めたときは、これを呈示しなければならない。

3  前項に規定する職員は、第1項の旅券又は許可書の呈示を求める場合には、その身分を示す証票を携帯し、請求があるときは、これを呈示しなければならない。

4  第1項本文の規定は、16歳に満たない外国人には適用しない。
以下に挙げられた人は「退去強制」になります。

(退去強制)
第24条  次の各号のいずれかに該当する外国人については、次章に規定する手続により、本邦からの退去を強制することができる。

一  第3条の規定に違反して本邦に入つた者
二  入国審査官から上陸の許可等を受けないで本邦に上陸した者

一・二はいわゆる「不法入国」をした人です。

二の二 第22条の4第1項(第一号又は第二号に係るものに限る。)の規定により在留資格を取り消された者
二の三 第22条の4第6項の規定により期間の指定を受けた者で、当該期間を経過して本邦に残留するもの
「在留資格取消制度」の新設に伴い、在留資格を取り消された人は「退去強制」になります。

三  他の外国人に不正に前章第一節若しくは第二節の規定による証明書の交付、上陸許可の証印若しくは許可、同章第四節の規定による上陸の許可、又はこの章の第一節若しくは次章第三節の規定による許可を受けさせる目的で、文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は偽造若しくは変造された文書若しくは図画若しくは虚偽の文書若しくは図画を行使し、所持し、譲渡し、貸与し、若しくはその譲渡若しくは貸与のあつせんをした者

他の人の在留資格・上陸許可のために書類の偽造等をした人です。

四  本邦に在留する外国人(仮上陸の許可、寄港地上陸の許可、通過上陸の許可、乗員上陸の許可又は遭難による上陸の許可を受けた者を除く。)で次に掲げる者のいずれかに該当するもの

イ 第19条第1項の規定に違反して収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を専ら行つていると明らかに認められる者

「資格外活動」の違反です。

ロ 在留期間の更新又は変更を受けないで在留期間を経過して本邦に残留する者

いわゆる「オーバーステイ」です。

ハ及びニ 削除

ホ 第74条から第74条の6まで又は第74条の8の罪により刑に処せられた者

「集団密航」の手伝いをした人です。

ヘ 外国人登録に関する法令の規定に違反して禁錮以上の刑に処せられた者。ただし、執行猶予の言渡しを受けた者を除く。

ト 少年法 (昭和23年法律第168号)に規定する少年で昭和26年11月1日以後に長期3年を超える懲役又は禁錮に処せられたもの

チ 昭和26年11月1日以後に麻薬及び向精神薬取締法 、大麻取締法 、あへん法 、覚せい剤取締法 、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律 (平成3年法律第94号)又は刑法第2編第14章の規定に違反して有罪の判決を受けた者

覚せい剤関係の法律に違反した人は刑の重さを問いません。有罪であればどんなに軽い処分であっても退去強制です。

リ ホからチまでに規定する者のほか、昭和26年11月1日以後に無期又は1年を超える懲役若しくは禁錮に処せられた者。ただし、執行猶予の言渡しを受けた者を除く。

ヌ 売春又はその周旋、勧誘、その場所の提供その他売春に直接に関係がある業務に従事する者

逮捕されたり、有罪になったりしていなくても、「従事」していれば「退去強制」です。

ル 他の外国人が不法に本邦に入り、又は上陸することをあおり、そそのかし、又は助けた者

オ 日本国憲法 又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入している者

ワ 次に掲げる政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入し、又はこれと密接な関係を有する者
(1) 公務員であるという理由により、公務員に暴行を加え、又は公務員を殺傷することを勧奨する政党その他の団体
(2) 公共の施設を不法に損傷し、又は破壊することを勧奨する政党その他の団体
(3) 工場事業場における安全保持の施設の正常な維持又は運行を停廃し、又は妨げるような争議行為を勧奨する政党その他の団体

カ オ又はワに規定する政党その他の団体の目的を達するため、印刷物、映画その他の文書図画を作成し、頒布し、又は展示した者

ヨ イ、ロ及びホからカまでに掲げる者を除くほか、法務大臣が日本国の利益又は公安を害する行為を行つたと認定する者

四の二  別表第一の上欄の在留資格をもつて在留する者で、刑法第2編第12章 、第16章から第19章まで、第23章、第26章、第27章、第31章、第33章、第36章、第37章若しくは第39章の罪、暴力行為等処罰に関する法律第1条、第1条ノ2若しくは第1条ノ3(刑法第222条 又は第261条 に係る部分を除く。)の罪、盗犯等の防止及び処分に関する法律の罪又は特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律第15条 若しくは第16条 の罪により懲役又は禁錮に処せられたもの

四の三  短期滞在の在留資格をもつて在留する者で、本邦において行われる国際競技会等の経過若しくは結果に関連して、又はその円滑な実施を妨げる目的をもつて、当該国際競技会等の開催場所又はその所在する市町村(東京都の特別区の存する区域及び地方自治法第252条の19第1項 の指定都市にあつては、区)の区域内若しくはその近傍の不特定若しくは多数の者の用に供される場所において、不法に、人を殺傷し、人に暴行を加え、人を脅迫し、又は建造物その他の物を損壊したもの

日韓ワールドカップのとき、フーリガン対策のため付け加えられた条項です。

五  仮上陸の許可を受けた者で、第13条第3項の規定に基づき付された条件に違反して、逃亡し、又は正当な理由がなくて呼出しに応じないもの

五の二  第10条第10項又は第11条第6項の規定により退去を命ぜられた者で、遅滞なく本邦から退去しないもの

六  寄港地上陸の許可、通過上陸の許可、乗員上陸の許可、緊急上陸の許可、遭難による上陸の許可又は一時庇護のための上陸の許可を受けた者で、旅券又は当該許可書に記載された期間を経過して本邦に残留するもの

六の二  第16条第7項の規定により期間の指定を受けた者で、当該期間内に帰船し又は出国しないもの

七  第22条の2第1項に規定する者で、同条第3項において準用する第20条第3項及び第4項の規定又は第22条の2第4項において準用する第22条第2項及び第3項の規定による許可を受けないで、第22条の2第1項に規定する期間を経過して本邦に残留するもの

八 第55条の3第1項の規定により出国命令を受けた者で、当該出国命令に係る出国期限を経過して本邦に残留するもの
九 第55条の6の規定により出国命令を取り消された者

「出国命令制度」の新設に伴い、「出国命令」を受けたが、期限を守らなかったものは「退去強制」になることになりました。
「出国命令制度」については明日、第22条の4で解説します。

オーバーステイではあるけれども、オーバーステイであるということ以外には悪いところは無い人で、自ら入管へ出頭した人は「退去強制」しないで、「出国命令」によって出国させるという制度です。
「退去強制」の場合はその後の上陸拒否期間が5年ですが、「出国命令」の場合は1年に短縮されています。

(出国命令)
第24条の3
 前条第二号の三、第四号ロ又は第六号から第七号までのいずれかに該当する外国人で次の各号のいずれにも該当するもの(以下「出国命令対象者」という。)については、同条の規定にかかわらず、次章第一節から第三節まで及び第五章の二に規定する手続により、出国を命ずるものとする。
オーバーステイになった人や在留資格を取り消された人など、一度は上陸を許可されたが、期間を超過した人が対象です。最初から違法に入国・上陸した人には適用されません。

一 速やかに本邦から出国する意思をもつて自ら入国管理官署に出頭したこと。

二 前条第三号、第四号ホからヨまで、第八号又は第九号のいずれにも該当しないこと。
在留資格に関する犯罪に関わった人は対象外です。

三 本邦に入つた後に、刑法第2編第12章、第16章から第19章まで、第23章、第26章、第27章、第31章、第33章、第36章、第37章若しくは第39章の罪、暴力行為等処罰に関する法律第1条、第1条の2若しくは第1条の3(刑法第222条又は第261条に係る部分を除く。)の罪、盗犯等の防止及び処分に関する法律の罪又は特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律第15条若しくは第16条の罪により懲役又は禁錮に処せられたものでないこと。
その他刑法犯も対象外です。

四 過去に本邦からの退去を強制されたこと又は第55条の3第1項の規定による出国命令により出国したことがないこと。
2回目は認められません。

五 速やかに本邦から出国することが確実と見込まれること。

第25条は出国手続きについてです。日本人が海外行ったときも帰りに空港で「出国」のスタンプを押されますよね。あれのことです。
スタンプ貰わずに勝手に帰っちゃダメです。

(出国の手続)
第25条  本邦外の地域に赴く意図をもつて出国しようとする外国人(乗員を除き、第26条の規定により再入国の許可を受けて出国する外国人を含む。次条において同じ。)は、その者が出国する出入国港において、法務省令で定める手続により、入国審査官から出国の確認を受けなければならない。

2  前項の外国人は、出国の確認を受けなければ出国してはならない。

下記に該当する人は出国を認められないことがあります。

(出国確認の留保)
第25条の2  入国審査官は、本邦に在留する外国人が本邦外の地域に赴く意図をもつて出国しようとする場合において、関係機関から当該外国人が次の各号の一に該当する者である旨の通知を受けているときは、前条の出国の確認を受けるための手続がされた時から24時間を限り、その者について出国の確認を留保することができる。

一  死刑若しくは無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪につき訴追されている者又はこれらの罪を犯した疑いにより逮捕状、勾引状、勾留状若しくは鑑定留置状が発せられている者

二  禁錮以上の刑に処せられ、その刑につき執行猶予の言渡しを受けなかつた者で、刑の執行を終わるまで、又は執行を受けることがなくなるまでのもの(当該刑につき仮出獄を許されている者を除く。)

三  逃亡犯罪人引渡法 (昭和28年法律第68号)の規定により仮拘禁許可状又は拘禁許可状が発せられている者

2  入国審査官は、前項の規定により出国の確認を留保したときは、直ちに同項の通知をした機関にその旨を通報しなければならない。

在留資格を持って日本に在留する外国人の方が一時的に出国する場合は、事前に再入国の許可を得ていなければなりません。
再入国許可を取得せず、出国してしまった場合は、またあらためて査証の申請から行わなければならなくなり、在留資格ももう一度申請しなおすことになります。
注意が必要です。

(再入国の許可)
第26条  法務大臣は、本邦に在留する外国人(仮上陸の許可を受けている者及び第14条から第18条までに規定する上陸の許可を受けている者を除く。)がその在留期間(在留期間の定めのない者にあつては、本邦に在留し得る期間)の満了の日以前に本邦に再び入国する意図をもつて出国しようとするときは、法務省令で定める手続により、その者の申請に基づき、再入国の許可を与えることができる。この場合において、法務大臣は、その者の申請に基づき、相当と認めるときは、当該許可を数次再入国の許可とすることができる。

2  法務大臣は、前項の許可をする場合には、入国審査官に、当該許可に係る外国人が旅券を所持しているときは旅券に再入国の許可の証印をさせ、旅券を所持していない場合で国籍を有しないことその他の事由で旅券を取得することができないときは、法務省令で定めるところにより、再入国許可書を交付させるものとする。この場合において、その許可は、当該証印又は再入国許可書に記載された日からその効力を生ずる。

3  法務大臣は、再入国の許可(数次再入国の許可を含む。)を与える場合には、当該許可が効力を生ずるものとされた日から三年を超えない範囲内においてその有効期間を定めるものとする。

4  法務大臣は、再入国の許可を受けて出国した者について、当該許可の有効期間内に再入国することができない相当の理由があると認めるときは、その者の申請に基づき、一年を超えず、かつ、当該許可が効力を生じた日から四年を超えない範囲内で、当該許可の有効期間の延長の許可をすることができる。

5  前項の許可は、旅券又は再入国許可書にその旨を記載して行うものとし、その事務は、日本国領事官等に委任するものとする。

6  法務大臣は、数次再入国の許可を受けている外国人で再入国したものに対し、引き続き当該許可を与えておくことが適当でないと認める場合には、その者が本邦にある間において、当該許可を取り消すことができる。

7  第2項の規定により交付される再入国許可書は、当該再入国許可書に係る再入国の許可に基づき本邦に入国する場合に限り、旅券とみなす。
第3節は退去強制について規定しています。
まず最初は「違反調査」についてです。

(違反調査)
第27条  入国警備官は、第24条各号の一に該当すると思料する外国人があるときは、当該外国人(以下「容疑者」という。)につき違反調査をすることができる。


第24条各号というのは、9月26日に書きましたが、退去強制になる場合が列挙されています。
たとえば、オーバーステイ、資格外活動、犯罪、などですね。
要は、これらのことをしたという疑いがある外国人は、入国警備官が取り調べる。その権利が入国警備官にはあるってことですね。
(違反調査について必要な取調べ及び報告の要求)
第28条  入国警備官は、違反調査の目的を達するため必要な取調べをすることができる。ただし、強制の処分は、この章及び第8章に特別の規定がある場合でなければすることができない
2  入国警備官は、違反調査について、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。


1はつまり、言ってみれば入国警備官には入管法違反に関しては「警察」のような権限があるということです。
容疑者を取り調べたり。
但し、任意調査が原則ですから、強制調査を行いたいときは「令状」が必要です。
これも「警察」と同じですね。
(ここでは「警察」をドラマなどのイメージで使ってます。きちんと刑法等を勉強している人からは怒られるかもしれません。)

2のほうで「公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。」というのは、単に「しても良い」ということではなく、報告を求められた側は「報告しなければならない」ということです。
例えば、資格外活動違反で調査するとき、その外国人に関する勤務表などの提出を求められたら、提出しなければならない、ということです。
「違反調査」の手続きの規定です。

(容疑者の出頭要求及び取調)
第29条  入国警備官は、違反調査をするため必要があるときは、容疑者の出頭を求め、当該容疑者を取り調べることができる。

2  前項の場合において、入国警備官は、容疑者の供述を調書に記載しなければならない。

3  前項の調書を作成したときは、入国警備官は、容疑者に閲覧させ、又は読み聞かせて、署名をさせ、且つ、自らこれに署名しなければならない。

この第3項が多少問題になることがあります。
調書は当然日本語で書かれています。
容疑者である外国人の日本語能力によっては、調書を「閲覧」「読み聞かせ」されたとしても、内容を理解できない可能性があります。
そして、意味が分からないままに「ここに名前書いて」で「署名」させられてしまう可能性もあります。
「人権保障」という面からは制度の再考が必要な点でしょう。


4  前項の場合において、容疑者が署名することができないとき、又は署名を拒んだときは、入国警備官は、その旨を調書に附記しなければならない。
違反調査をするときは、容疑者だけでなく「証人」を呼び出して取り調べることもできます。
取調べにあたっての「調書」等の取り扱いの規定は第29条の「容疑者」の場合と同じです。

(証人の出頭要求)
第30条  入国警備官は、違反調査をするため必要があるときは、証人の出頭を求め、当該証人を取り調べることができる。

2  前項の場合において、入国警備官は、証人の供述を調書に記載しなければならない。

3  前条第3項及び第4項の規定は、前項の場合に準用する。この場合において、前条第3項及び第4項中「容疑者」とあるのは「証人」と読み替えるものとする。
第31条は違反調査にあたっての「臨検、捜索、押収」の手続きです。

(臨検、捜索及び押収)
第31条  入国警備官は、違反調査をするため必要があるときは、その所属官署の所在地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所の裁判官の許可を得て、臨検、捜索又は押収をすることができる。

「臨検・捜索・押収」には入国警備官の所属入管の所在地の地方裁判所または簡易裁判所の許可が必要です。

2  前項の場合において、急速を要するときは、入国警備官は、臨検すべき場所、捜索すべき身体若しくは物件又は押収すべき物件の所在地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所の裁判官の許可を得て、同項の処分をすることができる。

急ぐ場合は「臨検・捜索・押収」する場所の地方裁判所または簡易裁判所の許可でも良いです。

3  入国警備官は、第1項又は前項の許可を請求しようとするときは、容疑者が第24条各号の一に該当すると思料されるべき資料並びに、容疑者以外の者の住居その他の場所を臨検しようとするときは、その場所が違反事件に関係があると認めるに足りる状況があることを認めるべき資料、容疑者以外の者の身体、物件又は住居その他の場所について捜索しようとするときは、押収すべき物件の存在及びその物件が違反事件に関係があると認めるに足りる状況があることを認めるべき資料、容疑者以外の者の物件を押収しようとするときは、その物件が違反事件に関係があると認めるに足りる状況があることを認めるべき資料を添付して、これをしなければならない。

「臨検・捜索・押収」するには容疑を裏付けるそれなりの証拠が必要です。
容疑者以外に関するものを調べるときは容疑者とそれとの関係を裏付ける証拠も必要です。


4  前項の請求があつた場合においては、地方裁判所又は簡易裁判所の裁判官は、臨検すべき場所、捜索すべき身体又は物件、押収すべき物件、請求者の官職氏名、有効期間及び裁判所名を記載し、自ら記名押印した許可状を入国警備官に交付しなければならない。

「臨検・捜索・押収」するとき、立会人にこの許可状を見せなければなりません。(施行規則 第31条第2項)

5  入国警備官は、前項の許可状を他の入国警備官に交付して、臨検、捜索又は押収をさせることができる。
(必要な処分)
第32条  入国警備官は、捜索又は押収をするため必要があるときは、錠をはずし、封を開き、その他必要な処分をすることができる。


説明は必要ないと思いますが、「捜索・押収」するときは、鍵を開けたり、封筒を開けたりして、調べて良いってことですね。
ま、当たり前ですね。
これができなかったら、何も調べられませんもんね。
ただ、外側から見てるだけじゃ、「捜索」の意味がない。

(証票の携帯)
第33条  入国警備官は、取調、臨検、捜索又は押収をする場合には、その身分を示す証票を携帯し、関係人の請求があるときは、これを呈示しなければならない。


これも読んだそのままですね。
家宅捜索するときに身分証持ってない警官に調べさせたりしませんもんね。

ただ、テレビとかの刑事ドラマと違って、身分証を見せるのは相手が「身分証を見せろ」と言ったときです。
入国警備官が自分から見せる必要はありません。
(捜索又は押収の立会)
第34条  入国警備官は、住居その他の建造物内で捜索又は押収をするときは、所有者、借主、管理者又はこれらの者に代るべき者を立ち会わせなければならない。これらの者を立ち会わせることができないときは、隣人又は地方公共団体の職員を立ち会わせなければならない。


入国警備官が「捜索・押収」するときは立会人が必要ってことです。
ま、そりゃそうですね。
入国警備官が一人で誰かの家を調べて、「こんな証拠が出てきた」って言っても、本当にその証拠が最初からそこにあったかどうか証明できないですよね。
入国警備官による「でっちあげ」だって十分ありうる。。。

それと、第31条で出てきた裁判所の捜索・押収の許可状は、この立会人に見せなければなりません。
(時刻の制限)
第35条  入国警備官は、日出前、日没後には、許可状に夜間でも執行することができる旨の記載がなければ、捜索又は押収のため、住居その他の建造物内に入つてはならない。

入国警備官による建物内の捜索・押収は日の出前・日没後にやってはいけません。

2  入国警備官は、日没前に捜索又は押収に着手したときは、日没後でも、その処分を継続することができる。

とはいえ、やってる間に日が暮れちゃった場合は、続けてやっていいです。

3  左の場所で捜索又は押収をするについては、入国警備官は、第1項に規定する制限によることを要しない。
一  風俗を害する行為に常用されるものと認められる場所
二  旅館、飲食店その他夜間でも公衆が出入することができる場所。但し、公開した時間内に限る。


もともと夜間に主に人が出入りするような場所は夜間に捜索しても良いです。
っていうか、例えば「風俗店」を捜索するのに「昼間」調べても意味無いですよね。
(出入禁止)
第36条  入国警備官は、取調、臨検、捜索又は押収をする間は、何人に対しても、許可を得ないでその場所に出入することを禁止することができる。


解説の必要ないですね。
家宅捜索してるのに、人が勝手にうろうろ出入りしてたんじゃ、やりにくいし、証拠とか隠されちゃうかもしれませんもんね。
(押収の手続)
第37条  入国警備官は、押収をしたときは、その目録を作り、所有者、所持者若しくは保管者又はこれらの者に代るべき者にこれを交付しなければならない。

押収するときは誰の何を押収したか目録を作って、持ち主に渡す。(預り証のようなもの?)

2  入国警備官は、押収物について、留置の必要がないと認めたときは、すみやかにこれを還付しなければならない。


いちおう押収したけど、必要ないものはすぐに持ち主に返す
(調書の作成)
第38条  入国警備官は、臨検、捜索又は押収をしたときは、これらに関する調書を作成し、立会人に閲覧させ、又は読み聞かせて、署名をさせ、且つ、自らこれに署名しなければならない。

2  前項の場合において、立会人が署名することができないとき、又は署名を拒んだときは、入国警備官は、その旨を調書に附記しなければならない。

違反調査は基本的に容疑者を呼び出して行われる取調べです。
その結果、容疑が固まると、今度は「収容」されます。

(収容)
第39条  入国警備官は、容疑者が第24条各号の一に該当すると疑うに足りる相当の理由があるときは、収容令書により、その者を収容することができる。

2  前項の収容令書は、入国警備官の請求により、その所属官署の主任審査官が発付するものとする。

第39条は「収容」を行う際には主任審査官の発行する収容令書が必要というお話でした。
第40条はその収容令書の記載事項です。

(収容令書の方式)
第40条  前条第1項の収容令書には、容疑者の氏名、居住地及び国籍、容疑事実の要旨、収容すべき場所、有効期間、発付年月日その他法務省令で定める事項を記載し、且つ、主任審査官がこれに記名押印しなければならない。
第41条は「収容」の期間と場所の規定です。

(収容の期間及び場所並びに留置の嘱託)
第41条  収容令書によつて収容することができる期間は、30日以内とする。但し、主任審査官は、やむを得ない事由があると認めるときは、30日を限り延長することができる。

収容期間は最大60日です。

2  収容令書によつて収容することができる場所は、入国者収容所、収容場その他法務大臣又はその委任を受けた主任審査官が指定する適当な場所とする。

船に乗ってきて上陸しようとした場合にはその船の中、飛行機で来た場合には空港内の施設などに「収容」されます。

3  警察官は、主任審査官が必要と認めて依頼したときは、容疑者を警察署に留置することができる。
よく刑事ドラマなんかで、刑事が犯人を逮捕するときに「逮捕状」を見せて「○○の容疑で逮捕する」なんて言ってますよね。
入管法違反で入国警備官が容疑者を「収容」するときも同じです。
もっとも実際には「違反調査」からそのまま「収容」ということになるので、そんなにドラマティックではないと思いますが。

(収容の手続)
第42条  入国警備官は、収容令書により容疑者を収容するときは、収容令書を容疑者に示さなければならない。

2  入国警備官は、収容令書を所持しない場合でも、急速を要するときは、容疑者に対し、容疑事実の要旨及び収容令書が発付されている旨を告げて、その者を収容することができる。但し、収容令書は、できるだけすみやかに示さなければならない。
(要急事件)
第43条  入国警備官は、第24条各号の一に明らかに該当する者が収容令書の発付をまつていては逃亡の虞があると信ずるに足りる相当の理由があるときは、収容令書の発付をまたずに、その者を収容することができる。

容疑がはっきりしていて、収容令書が出るのを待ってたら逃げるだろうという場合は、収容令書がなくても収容することができます。

2  前項の収容を行つたときは、入国警備官は、すみやかにその理由を主任審査官に報告して、収容令書の発付を請求しなければならない。

収容令書なしで収容した場合は、収容後すぐに収容令書出してもらうようにしなければなりません。

3  前項の場合において、主任審査官が第1項の収容を認めないときは、入国警備官は、直ちにその者を放免しなければならない。

収容令書の発行が認められなかったときは、すぐに釈放しなければなりません。
収容後の審査は入国審査官が行います。
ですから、収容を行った入国警備官は収容後48時間以内に入国審査官に容疑者を引き渡さなければなりません。

(容疑者の引渡)
第44条  入国警備官は、第39条第1項の規定により容疑者を収容したときは、容疑者の身体を拘束した時から48時間以内に、調書及び証拠物とともに、当該容疑者を入国審査官に引き渡さなければならない。
収容されたあと「違反審査」を行うのは入国審査官です。
「収容」しているのだから、審査に時間をかけすぎてはいけません。
すぐに審査を始めなければなりません。
審査をしたら、調書を作成します。

(入国審査官の審査)
第45条  入国審査官は、前条の規定により容疑者の引渡を受けたときは、容疑者が第24条各号の一に該当するかどうかをすみやかに審査しなければならない。

2  入国審査官は、前項の審査を行つた場合には、審査に関する調書を作成しなければならない。


法改正
・「引渡」⇒「引渡し」
・「第二十四条各号の一」を「退去強制対象者(第二十四条各号のいずれかに該当し、かつ、出国命令対象者に該当しない外国人をいう。以下同じ。)」に改める。
・「すみやかに」を「速やかに」

法律全体の口語化の流れと、「出国命令制度」の新設に伴う変更です。
不法入国を疑われて収容された人がそうでないことを証明する責任は容疑者本人にあります。
容疑者本人が「シロ」であることを証明できなければ「クロ」ということになります。

(容疑者の立証責任)
第46条  前条の審査を受ける容疑者のうち第24条第1号(第3条第1項第2号に係る部分を除く。)又は第2号に該当するとされたものは、その号に該当するものでないことを自ら立証しなければならない。
入国警備官によって収容され、入国審査官に引き渡されたあとの審査後の手続きです。

審査の結果、退去強制事由に該当しないとされれば、当然放免されます。
退去強制事由に該当するとされ、それを本人が納得すれば、退去強制令書が発布され退去強制されます。
退去強制事由に該当するとされたが、本人が納得しない場合、特別審理官による口頭審理を受けることができます。


審査⇒退去強制事由に該当   ⇒本人が納得⇒退去強制令書の発布
                    ⇒本人が不満⇒口頭審理(第48条)
   ⇒退去強制事由に該当しない⇒放免
(審査後の手続)
第47条  入国審査官は、審査の結果、容疑者が第24条各号のいずれにも該当しないと認定したときは、直ちにその者を放免しなければならない。

2  入国審査官は、審査の結果、容疑者が出国命令対象者に該当すると認定したときは、速やかに主任審査官にその旨を知らせなければならない。この場合において、入国審査官は、当該容疑者が第55条の3第1項の規定により出国命令を受けたときは、直ちにその者を放免しなければならない。

 入国審査官は、審査の結果、容疑者が退去強制者該当すると認定したときは、速やかに理由を付した書面をもつて、主任審査官及びその者にその旨を知らせなければならない

 前項の通知をする場合には、入国審査官は、当該容疑者に対し、第48条の規定による口頭審理の請求をすることができる旨を知らせなければならない

5  第3項の場合において、容疑者がその認定に服したときは、主任審査官は、その者に対し、口頭審理の請求をしない旨を記載した文書に署名させ、速やかに第51条の規定による退去強制令書を発付しなければならない。


緑の文字部分は今回の法改正で改正された部分です。
出国命令制度の新設に伴い第2項が追加されました。
あとはそれによって項の番号がずれたことと、用語の訂正です。
入国審査官による審査の結果に不服がある人は特別審理官による口頭審理を受けることができます。

口頭審理の結果、退去強制事由に該当しないと認められれば、放免されます。
退去強制事由に該当するとされ、本人が納得すれば、退去強制令書が発布され退去強制されます。
退去強制事由に該当するとされたが、本人が納得できない場合は、法務大臣に対して異議申立をすることができます。(第49条)


(口頭審理)
第48条  前条第3項の通知を受けた容疑者は、同項の認定に異議があるときは、その通知を受けた日から三日以内に、口頭をもつて、特別審理官に対し口頭審理の請求をすることができる。

2  入国審査官は、前項の口頭審理の請求があつたときは、第45条第2項の調書その他の関係書類を特別審理官に提出しなければならない。

3  特別審理官は、第1項の口頭審理の請求があつたときは、容疑者に対し、時及び場所を通知して速やかに口頭審理を行わなければならない。

4  特別審理官は、前項の口頭審理を行つた場合には、口頭審理に関する調書を作成しなければならない。

5  第10条第3項から第6項までの規定は、第3項の口頭審理の手続に準用する。

6  特別審理官は、口頭審理の結果、前条第3項の認定が事実に相違すると判定したとき(容疑者が第24条各号のいずれにも該当しないことを理由とする場合に限る。)は、直ちにその者を放免しなければならない。

7  特別審理官は、口頭審理の結果、前条第3項の認定が事実に相違すると判定したとき(容疑者が出国命令対象者に該当することを理由とする場合に限る。)は、速やかに主任審査官にその旨を知らせなければならない。この場合において、特別審理官は、当該容疑者が第55条の3第1項の規定により出国命令を受けたときは、直ちにその者を放免しなければならない。

 特別審理官は、口頭審理の結果、前条第3項認定が誤りがないと判定したときは、すみやかに主任審査官及び当該容疑者にその旨を知らせるとともに、当該容疑者に対し、第49条の規定により異議を申し出ることができる旨を知らせなければならない

 前項の通知を受けた場合において、当該容疑者が同項の判定に服したときは、主任審査官は、その者に対し、異議を申し出ない旨を記載した文書に署名させ、速やかに第51条の規定による退去強制令書を発付しなければならない。


緑の部分が改正部分です。
挿入等によって項番がずれたことと、用語の変更を除けば、出国命令制度の新設に伴い、第6項に( )が追加され、また第7項が挿入されています。
退去強制事由に該当するとして収容され、入国審査官による審査、特別審理官による口頭審理でも退去強制事由に該当するとされたが、その結果に外国人本人が納得しないとき、最後は法務大臣に対して異議申立を行います。
法務大臣によって異議が認められれば放免され、認められなければ退去強制となります。この後はありません。

(異議の申出)
第49条  前条第8項の通知を受けた容疑者は、同項の判定に異議があるときは、その通知を受けた日から3日以内に、法務省令で定める手続により、不服の事由を記載した書面を主任審査官に提出して、法務大臣に対し異議を申し出ることができる。

2  主任審査官は、前項の異議の申出があつたときは、第45条第2項の審査に関する調書、前条第4項の口頭審理に関する調書その他の関係書類を法務大臣に提出しなければならない。

3  法務大臣は、第1項の規定による異議の申出を受理したときは、異議の申出が理由があるかどうかを裁決して、その結果を主任審査官に通知しなければならない。

4  主任審査官は、法務大臣から異議の申出(容疑者が第24条各号のいずれにも該当しないことを理由とするものに限る。)が理由があると裁決した旨の通知を受けたときは、直ちに当該容疑者を放免しなければならない。

5  主任審査官は、法務大臣から異議の申出(容疑者が出国命令対象者に該当することを理由とするものに限る。)が理由があると裁決した旨の通知を受けた場合において、当該容疑者に対し第55条の3第1項の規定により出国命令をしたときは、直ちにその者を放免しなければならない。

 主任審査官は、法務大臣から異議の申出が理由がないと裁決した旨の通知を受けたときは、速やかに当該容疑者に対し、その旨を知らせるとともに、第51条の規定による退去強制令書を発付しなければならない。


緑の部分が改正部分です。
第4項に( )が加えられたことと第5項が挿入されたことが主な改正です。
これは出国命令制度の新設に伴うものです。
いわゆる「在留特別許可」の規定です。
退去強制事由に該当する場合でも、その在留状況等によって、法務大臣が特別に在留を認めることがあります。
法務大臣の裁量行為ですので、「○○であれば許可される」とか「△△なら許可されない」という明確な基準はなく、それぞれ個別の事情に基づき判断されます。

日本への生活の定着度、在留状況などが判断の材料になります。

もう日本で何年も働き、日本で結婚・出産し、子供も日本の学校に通っている、というような場合には、日本への定着度が高いですから、在留特別許可を得られることが多いです。

また、「不法滞在」であるという以外の違反がなければ、在留状況が良いと判断されます。
未納の税金がないことなどです。

ただし、あくまでも「特別」許可ですので、安易に考えない方が良いでしょう。

(法務大臣の裁決の特例)
第50条  法務大臣は、前条第3項の裁決に当つて、異議の申出が理由がないと認める場合でも、当該容疑者が左の各号の一に該当するときは、その者の在留を特別に許可することができる。

一  永住許可を受けているとき。
二  かつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるとき。
三  その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき。

2  前項の場合には、法務大臣は、法務省令で定めるところにより、在留期間その他必要と認める条件を附することができる。

3  第1項の許可は、前条第4項の適用については、異議の申出が理由がある旨の裁決とみなす。
「退去強制令書」の記載事項の規定です。
他条文の改正に伴う項番の変更(緑字の部分)のみで、この条文の内容に関する改正はありません。

(退去強制令書の方式)
第51条  第47条第5項、第48条第9項若しくは第49条第6項の規定により、又は第63条第1項の規定に基づく退去強制の手続において発付される退去強制令書には、退去強制を受ける者の氏名、年齢及び国籍、退去強制の理由、発付年月日その他法務省令で定める事項を記載し、かつ、主任審査官がこれに記名押印しなければならない。

(退去強制令書の執行)
第52条  退去強制令書は、入国警備官が執行するものとする。

2  警察官又は海上保安官は、入国警備官が足りないため主任審査官が必要と認めて依頼したときは、退去強制令書の執行をすることができる。

退去強制を執行するのは入国警備官あるいは警察官・海上保安官です。

3  入国警備官(前項の規定により退去強制令書を執行する警察官又は海上保安官を含む。以下この条において同じ。)は、退去強制令書を執行するときは、退去強制を受ける者に退去強制令書又はその写を示して、すみやかにその者を第53条に規定する送還先に送還しなければならない。但し、第59条の規定により運送業者が送還する場合には、入国警備官は、当該運送業者に引き渡すものとする。

4  前項の場合において、退去強制令書の発付を受けた者が、自らの負担により、自ら本邦に退去しようとするときは、入国者収容所長又は主任審査官は、その者の申請に基づき、これを許可することができる。

退去強制するときの飛行機の切符は誰がお金を出して買うのか。
法律上は原則として日本の国が負担します。
本人が自分で飛行機の切符を買ったときはそれでも良い、ということになっています。

実際には、本人が切符を買うのが普通です。
入管でも退去強制が決まったら、切符を準備するように言われます。
どうしても切符を準備できない場合、国の負担で帰国させられます。


5  入国警備官は、第3項本文の場合において、退去強制を受ける者を直ちに本邦外に送還することができないときは、送還可能のときまで、その者を入国者収容所、収容場その他法務大臣又はその委任を受けた主任審査官が指定する場所に収容することができる。

上に書いたように、実際には強制帰国の場合の飛行機のチケット代は退去強制される人が払う、というのが基本になっています。
問題なのは、日本に知り合いがいなくてチケット代が準備できないと、収容期間が長引くことになっている現状です。


6  入国者収容所長又は主任審査官は、前項の場合において、退去強制を受ける者を送還することができないことが明らかになつたときは、住居及び行動範囲の制限、呼出に対する出頭の義務その他必要と認める条件を附して、その者を放免することができる。
不法滞在をしていた外国人を退去強制するとき、日本から出すのは良いとして、ではどこへ送り返せば良いのでしょう。
普通に考えれば、中国人は中国へ、アメリカ人はアメリカへ送り返せば良いですね。
これが基本です。
ところが、そう単純じゃない場合もあります。

その外国人が日本で不法滞在している間にその国で戦争が始まっていたらどうしましょう?
いくら不法滞在だとはいえ、戦争中の国へ帰れ、というのはちょっと酷すぎますよね?

または、かつてソ連が崩壊したときのように、その国が国としてなくなってたらどうでしょう?
帰国させようと思っても、その国がないんです。

その他様々な理由でその国籍のある国へ返すことができないとき、どこに送るかを決めてあるのがこの条文です。

(送還先)
第53条  退去強制を受ける者は、その者の国籍又は市民権の属する国に送還されるものとする。

2  前項の国に送還することができないときは、本人の希望により、左に掲げる国のいずれかに送還されるものとする。

一  本邦に入国する直前に居住していた国
二  本邦に入国する前に居住していたことのある国
三  本邦に向けて船舶等に乗つた港の属する国
四  出生地の属する国
五  出生時にその出生地の属していた国
六  その他の国

3  法務大臣が日本国の利益又は公安を著しく害すると認める場合を除き、前2項の国には難民条約第33条第1項に規定する領域の属する国を含まないものとする。
不法滞在をしていた外国人を退去強制するとき、日本から出すのは良いとして、ではどこへ送り返せば良いのでしょう。
普通に考えれば、中国人は中国へ、アメリカ人はアメリカへ送り返せば良いですね。
これが基本です。
ところが、そう単純じゃない場合もあります。

その外国人が日本で不法滞在している間にその国で戦争が始まっていたらどうしましょう?
いくら不法滞在だとはいえ、戦争中の国へ帰れ、というのはちょっと酷すぎますよね?

または、かつてソ連が崩壊したときのように、その国が国としてなくなってたらどうでしょう?
帰国させようと思っても、その国がないんです。

その他様々な理由でその国籍のある国へ返すことができないとき、どこに送るかを決めてあるのがこの条文です。

(送還先)
第53条  退去強制を受ける者は、その者の国籍又は市民権の属する国に送還されるものとする。

2  前項の国に送還することができないときは、本人の希望により、左に掲げる国のいずれかに送還されるものとする。

一  本邦に入国する直前に居住していた国
二  本邦に入国する前に居住していたことのある国
三  本邦に向けて船舶等に乗つた港の属する国
四  出生地の属する国
五  出生時にその出生地の属していた国
六  その他の国

3  法務大臣が日本国の利益又は公安を著しく害すると認める場合を除き、前2項の国には難民条約第33条第1項に規定する領域の属する国を含まないものとする。
収容者の仮放免についての規定です。
仮放免に必要なのは「保証金」か「保証人」です。

(仮放免)
第54条  収容令書若しくは退去強制令書の発付を受けて収容されている者又はその者の代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹は、法務省令で定める手続により、入国者収容所長又は主任審査官に対し、その者の仮放免を請求することができる。

2  入国者収容所長又は主任審査官は、前項の請求により又は職権で、法務省令で定めるところにより、収容令書又は退去強制令書の発付を受けて収容されている者の情状及び仮放免の請求の理由となる証拠並びにその者の性格、資産等を考慮して、三百万円を超えない範囲内で法務省令で定める額の保証金を納付させ、かつ、住居及び行動範囲の制限、呼出しに対する出頭の義務その他必要と認める条件を付して、その者を仮放免することができる。

3  入国者収容所長又は主任審査官は、適当と認めるときは、収容令書又は退去強制令書の発付を受けて収容されている者以外の者の差し出した保証書をもつて保証金に代えることを許すことができる。保証書には、保証金額及びいつでもその保証金を納付する旨を記載しなければならない。
仮放免されてそのまま逃げたり、呼び出しに応じなかったり、仮放免の条件に違反したりした場合、保証金は没収で身柄は再び拘束され、収容されます。

(仮放免の取消)
第55条  入国者収容所長又は主任審査官は、仮放免された者が逃亡し、逃亡すると疑うに足りる相当の理由があり、正当な理由がなくて呼出に応ぜず、その他仮放免に附された条件に違反したときは、仮放免を取り消すことができる。

2  前項の取消をしたときは、入国者収容所長又は主任審査官は、仮放免取消書を作成し、収容令書又は退去強制令書とともに、入国警備官にこれを交付しなければならない。

3  入国者収容所長又は主任審査官は、逃亡し、又は正当な理由がなくて呼出に応じないことを理由とする仮放免の取消をしたときは保証金の全部、その他の理由によるときはその一部を没取するものとする。

4  入国警備官は、仮放免を取り消された者がある場合には、その者に仮放免取消書及び収容令書又は退去強制令書を示して、その者を入国者収容所、収容場その他法務大臣又はその委任を受けた主任審査官が指定する場所に収容しなければならない。

5  入国警備官は、仮放免取消書及び収容令書又は退去強制令書を所持しない場合でも、急速を要するときは、その者に対し仮放免を取り消された旨を告げて、その者を収容することができる。但し、仮放免取消書及び収容令書又は退去強制令書は、できるだけすみやかに示さなければならない。
出国命令制度の新設に伴い、その審査手続きの規定が第5章として第55条の2から第55条の6までとして、ここに挿入されました。
なお、出国命令制度については第24条の2をご覧下さい。

第55条の2には出国命令の対象に該当するかどうかの審査は入国審査官が行う旨が規定されています。

(出国命令に係る審査)
第55条の2  入国警備官は、容疑者が出国命令対象者に該当すると認めるに足りる相当の理由があるときは、第39条の規定にかかわらず、当該容疑者に係る違反事件を入国審査官に引き継がなければならない

2  入国審査官は、前項の規定により違反事件の引継ぎを受けたときは、当該容疑者が出国命令対象者に該当するかどうかを速やかに審査しなければならない。

3  入国審査官は、審査の結果、当該容疑者が出国命令対象者に該当すると認定したときは、速やかに主任審査官にその旨を知らせなければならない

4  入国審査官は、当該容疑者が退去強制対象者に該当すると疑うに足りる相当の理由があるときは、その旨を入国警備官に通知するとともに、当該違反事件を入国警備官に差し戻すものとする。
各審査の段階で出国命令対象者と認められると主任審査官から出国命令書の交付を受け、15日以内に帰国しなければなりません。
帰国するまでは収容はされませんが、住居・行動範囲に制限を付けられます。

(出国命令)
第55条の3  主任審査官は、第47条第2項、第48条第7項、第49条第5項又は前条第3項の規定による通知を受けたときは、速やかに当該通知に係る容疑者に対し、本邦からの出国を命じなければならない。この場合において、主任審査官は、15日を超えない範囲内で出国期限を定めるものとする。

2  主任審査官は、前項の規定により出国命令をする場合には、当該容疑者に対し、次条の規定による出国命令書を交付しなければならない。

3  主任審査官は、第1項の規定により出国命令をする場合には、法務省令で定めるところにより、当該容疑者に対し、住居及び行動範囲の制限その他必要と認める条件を付することができる。
出国命令書への記載事項です。

(出国命令書の方式)
第55条の4  前条第2項の規定により交付される出国命令書には、出国命令を受ける者の氏名年齢及び国籍、出国命令の理由、出国期限交付年月日その他法務省令で定める事項を記載し、かつ、主任審査官がこれに記名押印しなければならない。
出国命令を受けた人の出国期限は15日以内ですが、「船舶等の運航の都合その他その者の責めに帰することができない事由」があるときに限り、延長が認められます。

(出国期限の延長)
第55条の5  主任審査官は、法務省令で定めるところにより、第55条の3第1項の規定により出国命令を受けた者から、当該出国命令に係る出国期限内に出国することができない旨の申出があつた場合には、船舶等の運航の都合その他その者の責めに帰することができない事由があると認めるときに限り、当該出国期限を延長することができる。

出国命令を受けた人は15日以内に出国しなければなりません。
命令を受けてから、出国するまで住居・行動範囲、その他の条件を付けられます。
その条件を守らなかったときは出国命令は取り消されます。

(出国命令の取消し)
第55条の6  主任審査官は、第55条の3第1項の規定により出国命令を受けた者が同条第3項の規定に基づき付された条件に違反したときは、当該出国命令を取り消すことができる。

第56条から第59条までが第六章で、「船舶等の長及び運送業者の責任」が規定されています。
要するに不法入国や不法上陸をしようとする人を乗せてきた飛行機会社、船舶会社にも責任がありますよってことです。

(協力の義務)
第56条  本邦に入る船舶等の長及びその船舶等を運航する運送業者は、入国審査官の行う審査その他の職務の遂行に協力しなければならない。
(報告の義務)
第57条  本邦に入り、又は本邦から出る船舶等の長は、その船舶等が到着し、又は出発する出入国港の入国審査官の要求があつたときは、乗客名簿及び乗員名簿を提出しなければならない。

2  本邦に入る船舶等の長は、有効な旅券又は乗員手帳を所持しない外国人がその船舶等に乗つていることを知つたときは、直ちにその旨をその出入国港の入国審査官に報告しなければならない。

3  本邦に入る船舶等の長は、当該船舶等に第16条第2項の許可を受けている乗員が乗り組んでいるときは、当該船舶等が出入国港に到着する都度、直ちに、当該乗員の氏名その他法務省令で定める事項をその出入国港の入国審査官に報告しなければならない。

「第16条第2項の許可を受けている乗員」というのは、定期便の乗員で、その船舶等が日本にいる間の上陸を認められた乗組員のことです。

4  本邦から出る船舶等の長は、その船舶等の出発する出入国港の入国審査官の要求があつたときは、第15条第1項の規定による通過上陸の許可を受けた者がその船舶に帰船しているかどうか、乗員上陸の許可を受けた者で当該船舶等に乗り組むべきものが乗り組んでいるかどうか及び第25条第2項又は第60条第2項の規定に違反して出国しようとする者が乗つているかどうかを報告しなければならない。

「第25条第2項又は第60条第2項の規定に違反して出国しようとする者」とは、出国手続をしないで出国しようとする者です。
船長・機長は密入国を企む者が自分の船・飛行機に乗っているのを発見したら、その者の上陸を防ぐよう手段を講じなければなりません。

(上陸防止の義務)
第58条  本邦に入る船舶等の長は、前条第2項に規定する外国人がその船舶等に乗つていることを知つたときは、当該外国人が上陸することを防止しなければならない。
上陸拒否事由に該当するような人、不法上陸をしようとする人を乗せてきたら、船長・機長、船会社・飛行機会社はその責任でその人を帰さなければなりません。

(送還の義務)
第59条  次の各号の一に該当する外国人が乗つてきた船舶等の長又はその船舶等を運航する運送業者は、当該外国人をその船舶等又は当該運送業者に属する他の船舶等により、その責任と費用で、速やかに本邦外の地域に送還しなければならない。

一  第3章第1節又は第2節の規定により上陸を拒否された者

港・空港での上陸審査にひっかかった人です。

二  第24条第5号から第6号の2までのいずれかに該当して本邦からの退去強制を受けた者

仮上陸の許可を受けて逃亡した人です。
仮上陸許可の申請は船長等がまとめて行いますので、逃げられたら責任は船長等にあります。


三  前号に規定する者を除き、上陸後5年以内に、第24条各号の一に該当して退去強制を受けた者のうち、その者の上陸のときに当該船舶等の長又は運送業者がその者について退去強制の理由となつた事実があることを明らかに知つていたと認められるもの

2  前項の場合において、当該運送業者は、その外国人を同項に規定する船舶等により送還することができないときは、その責任と費用で、すみやかに他の船舶等により送還しなければならない。

乗せてきた船・飛行機に乗せて帰すのが基本ですが、飛行機などの場合は審査している間に出発しちゃうこともあります。
その場合は他の飛行機でも船でも良いから責任持って帰してね、ってことです。


3  主任審査官は、前二項の規定にかかわらず、これらの規定により船舶等の長又はその船舶等を運航する運送業者が負うべき責任と費用の負担のうち、第13条の2第1項の規定によりとどまることができる場所として法務省令で定める施設の指定を受けている第1項第1号に該当する外国人を当該指定に係る施設にとどめておくことに伴うものについては、有効な旅券で日本国領事官等の査証を受けたものを所持する外国人に係るものに限り、その全部又は一部を免除することができる。

指定された施設に収容する場合で、収容されたひとが査証(ビザ)を持ってる場合は、航空会社等の責任は一部免除されます。
査証(ビザ)出したほうにも責任があるってことでしょう。
当然ですが、在留資格に関して入管が審査するとき、提出された書類を見てだけ審査するわけではありません。
必要なら、本人や関係者を呼び出して話を聞くこともできますし、警察その他の機関へ問い合わせをすることもできます。

(事実の調査)
第59条の2  法務大臣は、第7条の2第1項の規定による証明書の交付又は第12条第1項、第19条第2項、第20条第3項(第22条の2第3項(第22条の3において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)、第21条第3項、第22条第2項(第22条の2第4項(第22条の3において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)、第50条第1項若しくは第61条の2の5の規定による許可若しくは第22条の4第1項の規定による在留資格の取消しに関する処分を行うため必要がある場合には、入国審査官に事実の調査をさせることができる。

「第7条の2第1項の規定による証明書の交付」=在留資格認定証明書の交付申請です。
「第12条第1項」=上陸特別許可
「第19条第2項」=資格外活動許可
「第20条第3項」=在留資格の変更
「第22条の2第3項(第22条の3において準用する場合)」=在留資格の取得
「第21条第3項」=在留期間の更新
「第22条第2項」=永住許可申請
「第50条第1項の規定による許可」=在留特別許可
「第61条の2の5」=難民の永住許可
「第22条の4第1項の規定による在留資格の取消し」=新設の在留資格取消制度です。


※緑字は今回の改正部分※

2  入国審査官は、前項の調査のため必要があるときは、外国人その他の関係人に対し出頭を求め、質問をし、又は文書の提示を求めることができる。

3  法務大臣又は入国審査官は、第1項の調査について、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。
第7章の第60条・第61条は日本人の出入国に関してです。
入管法の対象は外国人だけではありません。

(日本人の出国)
第60条  本邦外の地域に赴く意図をもつて出国する日本人(乗員を除く。)は、有効な旅券を所持し、その者が出国する出入国港において、法務省令で定める手続により、入国審査官から出国の確認を受けなければならない。

2  前項の日本人は、出国の確認を受けなければ出国してはならない。

(日本人の帰国)
第61条  本邦外の地域から本邦に帰国する日本人(乗員を除く。)は、有効な旅券(有効な旅券を所持することができないときは、日本の国籍を有することを証する文書)を所持し、その者が上陸する出入国港において、法務省令で定める手続により、入国審査官から帰国の確認を受けなければならない。
第61条の2から第7章に入ります。
第7章は「難民」についてです。
今回の改正で大きな改正があった部分ですが、施行については「公布の日から1年以内で政令で定める日」となっています。
他の改正部分は12月2日に施行されましたが、この部分はまだ施行されていません。

(難民の認定)
第61条の2  法務大臣は、本邦にある外国人から法務省令で定める手続により申請があつたときは、その提出した資料に基づき、その者が難民である旨の認定(以下「難民の認定」という。)を行うことができる。

難民申請を事前に海外から行うことはできません。

2  前項の申請は、その者が本邦に上陸した日(本邦にある間に難民となる事由が生じた者にあつては、その事実を知つた日)から60日以内に行わなければならない。ただし、やむを得ない事情があるときは、この限りでない。

上陸の日から60日以内しか難民認定の申請ができないという、いわゆる「60日ルール」は、期間があまりにも短すぎるということで、日本の難民認定の少なさもあり、諸外国からの批判も多くありました。
そのため、今回の改正でこの第2項は削除されました。


 法務大臣は、難民の認定をしたときは、法務省令で定める手続により、当該外国人に対し、難民認定証明書を交付し、その認定をしないときは、当該外国人に対し、理由を付した書面をもつて、その旨を通知する。
今回の改正により加えられた条文です。
難民の認定を受けた場合に、一定の条件を満たせば一律に「定住者」の在留資格を認めることになりました。
これは難民の法的地位を早期に安定させることを目的としています。

(在留資格に係る許可)
第61条の2の2  法務大臣は、前条第1項の規定により難民の認定をする場合であつて、同項の申請をした外国人が在留資格未取得外国人(別表第一又は別表第二の上欄の在留資格をもつて本邦に在留する者、一時庇護のための上陸の許可を受けた者で当該許可書に記載された期間を経過していないもの及び特別永住者以外の者をいう。以下同じ。)であるときは、当該在留資格未取得外国人が次の各号のいずれかに該当する場合を除き、その者に定住者の在留資格の取得を許可するものとする。

下記に該当する人は在留資格を付与されません。
1.上陸後、6ヶ月以上たって申請した人。
2.他国を経由してから日本へ入った人。
3.退去強制事由に該当する人
4. 刑法犯罪を犯した人


一  本邦に上陸した日(本邦にある間に難民となる事由が生じた者にあつては、その事実を知つた日)から六月を経過した後前条第1項の申請を行つたものであるとき。ただし、やむを得ない事情がある場合を除く。
二  本邦にある間に難民となる事由が生じた場合を除き、その者の生命、身体又は身体の自由が難民条約第一条A(2)に規定する理由によつて害されるおそれのあつた領域から直接本邦に入つたものでないとき。
三  第24条第3号又は第4号ホからヨまでに掲げる者のいずれかに該当するとき。
四  本邦に入つた後に、刑法第2編第12章、第16章から第19章まで、第23章、第26章、第27章、第31章、第33章、第36章、第37章若しくは第39章の罪、暴力行為等処罰に関する法律第1条、第1条ノ2若しくは第1条ノ3(刑法第222条又は第261条に係る部分を除く。)の罪、盗犯等の防止及び処分に関する法律の罪又は特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律第15条若しくは第16条の罪により懲役又は禁錮に処せられたものであるとき。

2  法務大臣は、前条第1項の申請をした在留資格未取得外国人について、難民の認定をしない処分をするとき、又は前項の許可をしないときは、当該在留資格未取得外国人の在留を特別に許可すべき事情があるか否かを審査するものとし、当該事情があると認めるときは、その在留を特別に許可することができる。

難民として認定されなかった場合でも「在留特別許可」を受ける可能性があります。

3  法務大臣は、前2項の許可をする場合には、在留資格及び在留期間を決定し、入国審査官に、当該在留資格未取得外国人に対し当該在留資格及び在留期間を記載した在留資格証明書を交付させるものとする。この場合において、その許可は、当該交付のあつた時に、その記載された内容をもつて効力を生ずる。

4  法務大臣は、第1項又は第2項の許可をする場合において、当該在留資格未取得外国人が仮上陸の許可又は第3章第4節の規定による上陸の許可を受けているときは、当該仮上陸の許可又は上陸の許可を取り消すものとする。
前条の続きと言える条文です。
難民の認定を受けた人が、「定住者」への在留資格変更を申請すれば、他の条文の規定に関係なく認められます。
難民には一律「定住者」の在留資格が認められる、ということです。

第61条の2の3  法務大臣は、難民の認定を受けている外国人(前条第二項の許可により在留資格を取得した者を除く。)から、第20条第2項の規定による定住者の在留資格への変更の申請があつたとき、又は第22条の2第2項(第22条の3において準用する場合を含む。)の規定による定住者の在留資格の取得の申請があつたときは、第20条第3項(第22条の2第3項(第22条の3において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、当該外国人が前条第1項第1号に該当する場合を除き、これを許可するものとする。

   第61条の2の2第一項又は

   入国者収容所及び

   地方入国管理局に、収容令書の執行を受ける者を収容する収容場を設ける。

   入国者収容所又は収容場に収容されている者

   法務省の内部部局として

第61条の10  法務大臣は、出入国の公正な管理を図るため、外国人の入国及び在留の管理に関する施策の基本となるべき計画(以下「出入国管理基本計画」という。)を定めるものとする。

2  出入国管理基本計画に定める事項は、次のとおりとする。

一  本邦に入国し、在留する外国人の状況に関する事項
二  外国人の入国及び在留の管理の指針となるべき事項
三  前二号に掲げるもののほか、外国人の入国及び在留の管理に関する施策に関し必要な事項

3  法務大臣は、出入国管理基本計画を定めるに当たつては、あらかじめ、関係行政機関の長と協議するものとする。

4  法務大臣は、出入国管理基本計画を定めたときは、遅滞なく、その概要を公表するものとする。

5  前二項の規定は、出入国管理基本計画の変更について準用する。
第61条の11  法務大臣は、出入国管理基本計画に基づいて、外国人の出入国を公正に管理するよう努めなければならない。

第2次出入国管理基本計画(法務省告示第119号)はこちらです。
神奈川県警の警部補が不法滞在の韓国人女性と婚姻し、書類送検されるという事件がありました。
毎日新聞
http://www.mainichi-msn.co.jp/search/html/news/2004/12/25/20041225ddlk14040279000c.html
この警部補はなぜ書類送検されたのでしょうか。
その理由がこの条文の第2項にあります。

第62条  何人も、第24条各号の一に該当すると思料する外国人を知つたときは、その旨を通報することができる。

「第24条各号の一に該当すると思料する外国人」というのは、不法滞在等、退去強制事由に該当する外国人のことです。
そういう人の存在を知ったら一般の人は入管に通報することができます。
入管のサイトには
情報受付の窓口があります。
しかし、これは義務ではありませんので、通報しなくても何の問題もありません。


2  国又は地方公共団体の職員は、その職務を遂行するに当つて前項の外国人を知つたときは、その旨を通報しなければならない。

一般の方の通報は義務ではありませんが、「国又は地方公共団体の職員」の場合、通報は義務です。
今回書類送検された警部補の場合は、この義務を果たさなかったことが「不法残留ほう助」にあたるとされたわけです。


3  矯正施設の長(支所及び分院の長を含む。以下同じ。)は、第1項の外国人が刑の執行を受けている場合において、刑期の満了、刑の執行の停止その他の事由(仮出獄を除く。)により釈放されるとき、又は少年法第24条第1項第3号 若しくは売春防止法 (昭和31年法律第118号)第17条 の処分を受けて退院するときは、直ちにその旨を通報しなければならない。

4  地方更生保護委員会は、第1項の外国人が刑の執行を受けている場合又は少年法第24条第1項第3号 の処分を受けて少年院に在院している場合若しくは売春防止法第17条 の処分を受けて婦人補導院に在院している場合において、当該外国人について仮出獄又は仮退院の許可決定をしたときは、直ちにその旨を通報しなければならない。

刑法違反と退去強制は別の手続きです。
刑法違反による処分が終わったら、次は退去強制されます。
そのため、収容施設から出るとき、その収容施設から入管へ連絡するという規定です。
なお、刑事手続と入管法の関係は次の第63条に書かれています。


5  前4項の通報は、書面又は口頭をもつて、所轄の入国審査官又は入国警備官に対してしなければならない。
不法滞在者を発見し、入管へ通報した人に対して、その通報に基づいて退去強制が行われたら、5万円以下の報償金が支払われます。
但し、「国又は地方公共団体の職員」の場合は通報は義務なので報償金はありません。

第66条  第62条第1項の規定による通報をした者がある場合において、その通報に基いて退去強制令書が発付されたときは、法務大臣は、法務省令で定めるところにより、その通報者に対し、5万円以下の金額を報償金として交付することができる。但し、通報が国又は地方公共団体の職員がその職務の遂行に伴い知り得た事実に基くものであるときは、この限りでない。

「法務省令で定めるところにより」
出入国管理及び難民認定法施行規則の第60条でこの報償金の金額は「一件につき千円以上5万円以下」と定められています。

第67条  外国人は、次に掲げる許可を受ける場合には、当該許可に係る記載、交付又は証印の時に、1万円を超えない範囲内において別に政令で定める額の手数料を納付しなければならない。

一  第20条の規定による在留資格の変更の許可
二  第21条の規定による在留期間の更新の許可
三  第22条の規定による永住許可
四  第26条の規定による再入国の許可(有効期間の延長の許可を含む。)

「出入国管理及び難民認定法関係手数料令」により下記のように規定されています。

1.在留資格の変更の許可 4千円
2.在留期間の更新の許可 4千円
3.永住許可 8千円
4.再入国(数次再入国を除く。)の許可 3千円
5.数次再入国の許可 6千円

なお、在留資格認定証明書の交付には手数料はかかりません。
また、「許可」の手数料ですから、「不許可」の場合、手数料はかかりません。

第67条の2  外国人は、第19条の2第1項の規定により就労資格証明書の交付を受けるときは、実費を勘案して別に政令で定める額の手数料を納付しなければならない。

就労資格証明書の交付手数料は「出入国管理及び難民認定法関係手数料令」により、680円と定められています。
第68条  外国人は、第61条の2の12第一項の規定により難民旅行証明書の交付を受け、又は同条第7項の規定により難民旅行証明書に有効期間の延長の記載を受けるときは、手数料を納付しなければならない。

2  前項に規定する手数料の額は、難民条約附属書第3項の定めるところにより、別に政令で定める。


「出入国管理及び難民認定法関係手数料令」により、難民旅行証明書の交付手数料は5千円と定められています。
第69条  第2章からこの章までの規定の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、法務省令で定める。

これにより定められているのが「出入国管理及び難民認定法施行規則」です。今回の入管法の改正に伴い「施行規則」にも変更が加えられています。

第69条の2  出入国管理及び難民認定法に規定する法務大臣の権限は、法務省令で定めるところにより、地方入国管理局長に委任することができる。ただし、第22条第2項(第22条条の2第4項(第22条の3において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)に規定する権限及び第22条の4第1項に規定する権限(永住者の在留資格に係るものに限る。)並びに第61条の2の2第1項及び第61条の2の5に規定する権限については、この限りでない。

委任できない権限は
1.永住許可・出生等による永住資格の取得
2.難民に対する永住許可
3.難民認定の取消
です。

第69条の3  出入国管理及び難民認定法の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

法律が改正された時は「附則」として施行期日、経過措置が定められます。
これは省令・政令の場合も同じです。
ルールが変わったら、それをみんなに知らせる時間が必要だし、しばらくは例外も必要になるということです。
第70条からは第9章に入ります。第9章は「罰則」の規定です。
今回の入管法改正では罰金額の上限が大きく引き上げられています。
第70条では不法入国罪等の罰金額上限が300万円に引き上げられています。

第70条  次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役若しくは禁錮若しくは300万円以下の罰金に処し、又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科する。

一  第3条の規定に違反して本邦に入つた者
偽造旅券などで入国した人のことです。

二  入国審査官から上陸の許可等を受けないで本邦に上陸した者
密入国などをした人のことです。

三  第22条の4第1項(第一号又は第二号に係るものに限る。)の規定により在留資格を取り消された者で本邦に残留するもの
今回の法改正により新設された「在留資格取消制度」により、在留資格を取り消されたのに出国せず、日本に残留する人のことです。

三の二  第22条の4第6項(第61条の2の8第2項において準用する場合を含む。)の規定により期間の指定を受けた者で、当該期間を経過して本邦に残留するもの
在留資格を取り消され、指定された日までに出国しなかった人のことです。

四  第19条第1項の規定に違反して収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を専ら行つていると明らかに認められる者
資格外活動違反です。留学生が風俗営業の店で働いたり、決められた時間以上労働した場合です。

五  在留期間の更新又は変更を受けないで在留期間を経過して本邦に残留する者
いわゆる不法残留(オーバーステイ)です。

六  仮上陸の許可を受けた者で、第13条第3項の規定に基づき付された条件に違反して、逃亡し、又は正当な理由がなくて呼出しに応じないもの
七  寄港地上陸の許可、通過上陸の許可、乗員上陸の許可、緊急上陸の許可、遭難による上陸の許可又は一時庇護のための上陸の許可を受けた者で、旅券又は当該許可書に記載された期間を経過して本邦に残留するもの
七の二  第16条第7項の規定により期間の指定を受けた者で当該期間内に帰船し又は出国しないもの
臨時に特別に上陸を許可されたのに期日までに戻ってこなかった場合です。

八  第22条の2第1項に規定する者で、同条第3項において準用する第20条第3項及び第4項の規定又は第22条の2第4項において準用する第22条第2項及び第3項の規定による許可を受けないで、第22条の2第1項に規定する期間を経過して本邦に残留するもの
外国人夫婦の間に生まれた子供の在留資格取得申請を出生後30日以内に行わなかった場合です。

八の二  第55条の3第1項の規定により出国命令を受けた者で、当該出国命令に係る出国期限を経過して本邦に残留するもの
今回の法改正により新設された「出国命令制度」により、自ら出頭しながら期限までに出国しなかった人です。

八の三  第55条の6の規定により出国命令を取り消された者で本邦に残留するもの
出国命令を取り消され、そのまま日本に居続ける人です。

八の四  第61条の2の4第1項の許可を受けた者で、仮滞在期間を経過して本邦に残留するもの
難民認定申請中の仮滞在期間を過ぎた人です。

九  偽りその他不正の手段により難民の認定を受けた者

2  前項第一号又は第二号に掲げる者が、本邦に上陸した後引き続き不法に在留するときも、同項と同様とする。
不法入国・密入国に時効が働かないようこの規定がおかれています。
第70条の2  前条第1項第1号、第2号、第5号若しくは第7号又は同条第2項の罪を犯した者については、次の各号に該当することの証明があつたときは、その刑を免除する。ただし、当該罪に係る行為をした後遅滞なく入国審査官の面前において、次の各号に該当することの申出をした場合に限る。

一  難民であること。
二  その者の生命、身体又は身体の自由が難民条約第一条A(2)に規定する理由によつて害されるおそれのあつた領域から、直接本邦に入つたものであること。
三  前号のおそれがあることにより当該罪に係る行為をしたものであること。


不法入国・不法残留の罰則は、難民であることを証明されれば免除されます。
外国人の場合も日本人の場合も、日本から出る場合には決められた手続きをしなければなりません。これらの手続きをしなかった場合は罰則があります。

第71条  第25条第2項又は第60条第2項の規定に違反して出国し、又は出国することを企てた者は、1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金に処し、又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科する。
第72条  次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役若しくは20万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一  収容令書又は退去強制令書によつて身柄を拘束されている者で逃走したもの

二  第52条第6項の規定により放免された者で、同項の規定に基づき付された条件に違反して、逃亡し、又は正当な理由がなくて呼出しに応じないもの
仮放免中に逃亡した場合です。

三  一時庇護のための上陸の許可を受けた者で、第18条の2第3項の規定に基づき付された条件に違反して逃亡したもの

三の二  第55条の3第1項の規定により出国命令を受けた者で、同条第3項の規定に基づき付された条件に違反して逃亡したもの

三の三  第61条の2の4第1項の許可を受けた者で、同条第3項の規定に基づき付された条件に違反して、逃亡し、又は正当な理由がなくて呼出しに応じないもの
仮滞在中に逃亡した場合です。

四  第61条の2の7第3項の規定又は第61条の2の13の規定に違反して難民旅行証明書又は難民旅行証明書を返納しなかつた者

五  第61条の2の12第8項の規定ににより難民旅行証明書の返納を命ぜられた者で、同項の規定により付された期限内にこれを返納しなかつたもの
資格外活動に関する罰則です。

第73条  第70条第1項第4号に該当する場合を除き、第19条第1項の規定に違反して収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行つた者は、1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは200万円以下の罰金に処し、又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科する。

「第70条第1項第4号」も資格外活動に関する罰則を定めています。
違いは「第70条第1項第4号」がそのような「活動を専ら行つていると明らかに認められる者」であるのに対し、第73条は「活動を行つた者」である点です。

単純にいうと留学生が学校にも行かず、毎日長時間のアルバイトをしていれば、これは「学生」とは呼べませんので、「第70条第1項第4号」により罰金300万円です。
学校にもきちんと通っているけれど、アルバイトの時間が規定より長かったという場合は、第73条により罰金200万円になります。

不法就労した外国人だけでなく、不法就労させた企業も罰せられます。
今回の改正で罰金も300万円に引き上げられています。ご注意下さい。

ここでいう不法就労とは、密入国者・不法残留者等の在留資格を持たない外国人を雇用することだけでなく、留学生等在留資格はあるが資格外活動許可を取っていない者を雇用したり、資格外活動許可はあるが、許可されている時間以上勤務させることを含みます。

第73条の2  次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一  事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者
二  外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者
三  業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は前号の行為に関しあつせんした者

2  前項において、不法就労活動とは、第19条第1項の規定に違反する活動又は第70条第1項第1号から第3号の2まで、第5号、第7号、第7号の2若しくは第8号の2から第8号の4までに掲げる者が行う活動であつて報酬その他の収入を伴うものをいう。
集団密航をした人だけでなく、させた人も罰せられます。
特に、営利目的で行った場合は罰則が重くなっています。

第74条  自己の支配又は管理の下にある集団密航者(入国審査官から上陸の許可等を受けないで、又は偽りその他不正の手段により入国審査官から上陸の許可等を受けて本邦に上陸する目的を有する集合した外国人をいう。以下同じ。)を本邦に入らせ、又は上陸させた者は、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。

2  営利の目的で前項の罪を犯した者は、1年以上10年以下の懲役及び1000万円以下の罰金に処する。

3  前二項の罪(本邦に上陸させる行為に係る部分に限る。)の未遂は、罰する。
集団密航をした者、集団密航を手伝った者以外に、集合密航者を輸送した者も罰則の対象です。
集団密航者を乗せてきた船の船長等も罰則の対象になるということです。

第74条の2  自己の支配又は管理の下にある集団密航者を本邦に向けて輸送し、又は本邦内において上陸の場所に向けて輸送した者は、3年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処する。

2  営利の目的で前項の罪を犯した者は、7年以下の懲役及び500万円以下の罰金に処する。
第74条の3  第74条第1項若しくは第2項又は前条の罪を犯す目的で、その用に供する船舶等を準備した者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。情を知つて、その用に供する船舶等を提供した者も、同様とする。

「その用に供する船舶等を準備」「その用に供する船舶等を提供」すなわち、集団密航者へ船などを準備・提供した者も罰則の対象になるということです。
前条までは集団密航者と集団密航者の送り出し側に対する罰則でした。
本状は受け入れ側に対する罰則です。
集団密航者を移動させたり、匿ったりすると罰則の対象になります。

第74条の4  第74条第1項又は第2項の罪を犯した者からその上陸させた外国人の全部若しくは一部を収受し、又はその収受した外国人を輸送し、蔵匿し、若しくは隠避させた者は、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。当該外国人の全部若しくは一部を、これを収受した者から収受し、又はその収受した外国人を輸送し、蔵匿し、若しくは隠避させた者も、同様とする。

2  営利の目的で前項の罪を犯した者は、1年以上10年以下の懲役及び1000万円以下の罰金に処する。

3  前二項の罪の未遂は、罰する。
集団密航者の受け入れ側として準備していた者も罰則の対象です。

第74条の5  前条第1項又は第2項の罪を犯す目的で、その予備をした者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
「第70条第1項第1号又は第2号」すなわち不法入国の手助けを営利目的でした場合に罰則があります。
偽造した旅券・乗員手帳を提供した者も同様です。

第74条の6  営利の目的で第70条第1項第1号又は第2号に規定する行為の実行を容易にした者は、3年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。所持人について効力を有しない旅券若しくは乗員手帳又は旅券若しくは乗員手帳として偽造された文書を提供して、当該行為の実行を容易にした者も、同様とする。

   次の各号

   前条の罪

第74条の7  第73条の2第1項第2号及び第3号、第74条の2(本邦内における輸送に係る部分を除く。)、第74条の3並びに前条の罪は、刑法第2条 の例に従う

「刑法第2条の例に従う」というのは、違反者が国外にいる場合も日本法を適用し、罰則の対象にするということです。

この対象になるのは、下記の通りです。
「第73条の2第1項第2号及び第3号」
…「外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者」
…「業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は前号の行為に関しあつせんした者」

「第74条の2」
…「自己の支配又は管理の下にある集団密航者を本邦に向けて輸送し」た者

「第74条の3」
…「船舶等を準備した者」

「第74条の6」
…「不法入国の幇助」
退去強制者を逃がすために、かくまったりした人は罰則の対象です。

第74条の8  退去強制を免れさせる目的で、第24条第1号又は第2号に該当する外国人を蔵匿し、又は隠避させた者は、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

2  営利の目的で前項の罪を犯した者は、5年以下の懲役及び300万円以下の罰金に処する。

3  前二項の罪の未遂は、罰する
上陸審査で口答審理に回された者、退去強制事由に該当し口頭審理に回された者が、呼び出し期日に出頭しなかったり、宣誓や証言を拒否したり、虚偽の証言をしたら罰せられます。

第75条  第10条第5項(第48条第5項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、正当な理由がなくて出頭せず、宣誓若しくは証言を拒み、又は虚偽の証言をした者は、20万円以下の罰金に処する。
外国人は日本にいる間、常にパスポート等を持ち歩き、入国審査官、入国警備官、警察官、海上保安官等に見せるように言われたら、必ず見せなければなりません。
これに違反すると、罰金になります。
ただし、外国人登録をして、外国人登録証を持ち歩いていれば、パスポート等を持ち歩く必要はありません。

第76条  次の各号のいずれかに該当する者は、10万円以下の罰金に処する。

一  第23条第1項の規定に違反して旅券又は許可書を携帯しなかつた者(特別永住者を除く。)
二  第23条第2項の規定に違反して旅券又は許可書の提示を拒んだ者
不法就労・集団密航などに関わった場合、実行した者だけではなく実行者の所属する法人も処罰の対象になります。
例えば、不法就労者の雇用をした場合に雇用担当者だけでなくその会社自体が処罰の対象になりますし、密航者を乗せて車で移動した場合は運転者だけでなく、運転者が所属する法人も処罰の対象になるということです。

第76条の2  法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して第73条の2から第74条の6まで又は第74条の8の罪を犯したときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する
入管法では運送業者・船舶等の長に対していくつかの義務が課せられています。
この義務に違反した場合は、過料が課せられます。

(過料)
第77条  次の各号のいずれかに該当する者は、50万円以下の過料に処する。

一  第56条の規定に違反して入国審査官の行う審査その他入国審査官の職務の執行を拒み、又は妨げた者
二  第57条第1項の規定に違反して名簿の提出を拒み、若しくは名簿を提出せず、同条第2項若しくは第3項の規定に違反して報告せず、又は同条第4項の規定に違反して報告を拒み、若しくは報告をしなかつた者
三  第58条の規定に違反して上陸することを防止しなかつた者
四  第59条の規定に違反して送還を怠つた者
第77条の2  特別永住者が第23条第1項の規定に違反して旅券又は許可書を携帯しなかつたときは、10万円以下の過料に処する。

特別永住者以外が「罰金」であるのに対し、特別永住者の場合は「過料」です。
「罰金」が刑事罰であるのに対し、「過料」は行政罰です。
なお、特別永住者というのはいわゆる「在日」の方のことを指します。
不法入国、集団密航等に使用された船舶・車両等は没収されます。

第78条  第70条第1項第1号、第74条、第74条の2又は第74条の4の犯罪行為の用に供した船舶等又は車両で、犯人の所有又は占有に係るものは、没収する。ただし、その船舶等又は車両が犯人以外の者の所有に係り、かつ、その者が次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。

一  第70条第1項第1号、第74四条、第74条の2又は第74条の4の犯罪が行われることをあらかじめ知らないでその犯罪が行われた時から引き続きその船舶等又は車両を所有していると認められるとき。

二  前号に規定する犯罪が行われた後、その情を知らないでその船舶等又は車両を取得したと認められるとき。

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